ルートビア(Root Beer)です。ビアといってもアルコールは含みません。18世紀、建国された頃のアメリカにおいて、自家醸造により低アルコール(2%程度)のハーブ飲料を作っていたのがルーツだそうです。
ASCII.jp的に「root」と聞くとroot権限かと思うかもしれませんが、リコリスやサルサパリラ(ユリ科の植物)の根(root)のことです。ほかにも、バニラ、樹皮、スパイス、ハーブ、その他もろもろを入れて独自に作られていたとか。
つまりもともとは家庭の味というか、レシピはバラバラだったわけですが、1866年5月16日にチャールズ・エルマー・ハイアーが開発したものが、現在のルートビアの元祖と言われています。ハイアーは1876年、フィラデルフィアにおける建国百年祭でハーブやスパイスなどをブレンドした紅茶に入れるための粉末を展示。そして1893年には、ビン詰めの炭酸飲料としてルートビアを発売したそうです。
アメリカでは一定のシェアがある飲み物です。たとえば漫画「Peanuts」のスヌーピーや、「Xファイル」のモルダー捜査官の好物として描かれています。
ルートビアにアイスを浮かべたルートビア・フロートは、「ブラック・カウ(Black Cow)」と呼ばれています。スティーリー・ダンの1977年の大名盤「Aja」の1曲目、「Black Cow」で歌われている(「Drink your big black cow and get out of here」)アレです。
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彩(エイジャ)ユニバーサル ミュージック
日本ではあまりなじみがありませんが、沖縄県や小笠原諸島ではそれなりに飲まれています。沖縄では特に「A&Wレストラン」(通称「エンダー」)ではおかわり自由で提供され、名物として愛されていますね。
11月25日、自作虎の巻こと“ジサトラ”が、全国各地のPCショップで自作のすばらしさを伝える「ジサトラ出張版」で、沖縄県「パソコン工房 グッドウィル 那覇新都心店」さんを訪れました(関連記事)。その際のおみやげとして、筆者のところにA&Wのルートビアを持ってきてくれたのですね。うれしいです。
ルートビアの最大の特徴は、あまりに個性的な味です。強いて言うなら「ドクター・ペッパー」に近いです。バニラコーラに湿布の匂いをプラスしたような、かなり独特なテイスト。まったく受け付けない人もいるそうです。筆者は好きで好きでたまらないのですが、嫌いという人の気持ちもわかります。あまりにもオリジナリティーがありますし、無理もないと思います。
ネットで「ルートビア」で検索すると「ルートビア 味」「ルートビア まずい」などがサジェストされるので、怖いもの見たさ(飲みたさ?)で試してみる人もいれば、たぶんおいしくないのだろうと最初からあきらめている人もいるでしょう。でも、飲んでいくうちに好きになった人も、少なからずいるのです。ASCII編集部でいうと家電担当の盛田さんとか。
盛田さん「最初は否定的でした。でもドクター・ペッパーとかと同じ、そういうちょっと変わったテイストのジャンルの炭酸なのねと思ったら受け入れられるようになった。今では好きです」
というわけで、別に世間的にルートビアに関する大きな動きがあったわけではないのですが、久々に飲んだらやっぱり好きだったので、この思いをみなさまに伝えるべく筆を取った次第でございます。いつの日かルートビアが日本全国で発売されるようになると信じて……。
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モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。ショートコラム「MCコジマのカルチャー編集後記」ASCII倶楽部で好評連載中!
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