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“完全ワイヤレス”を実現するイヤフォン「WF-1000X」:Xperia周辺機器

2017年11月26日 10時00分更新

 Xperiaにとても相性がいい、ソニーのワイヤレスノイズキャンセリングヘッドフォン「1000Xシリーズ」のうち、以前連載でオーバーヘッドタイプの「WH-1000XM2」をご紹介しました。今回は、左右完全独立タイプでハンズフリーなのがうれしい「WF-1000X」をご紹介したいと思います。

 ソニーのワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット「WF-1000X」は、左右がそれぞれ独立しており、耳に装着すると一切ケーブルもなくノイズキャンセリング効果も得られるという超便利イヤフォンです。

 ケーブルがないということは、イコール耳の穴(外耳孔)だけで本体を保持するということになるのですが、果たして耳に入れていて落ちたりしないのか、という不安がつきまといます。

 WF-1000Xの形状をよく見ると、一般的なカナル型イヤフォンに比べて耳に挿し込む部分が長くなっていることがわかります。加えて、装着性をアップするために、ドライバーの根元部分に付いているフィッティングサポーターなるものが、耳の内側にうまくひっかかり、この二重の工夫で装着時の安定度が随分と増します。

 通常のものと比較すると明らかに長めの「ハイブリッドイヤーロングピース」がSS/S/M/Lの4種類、2種類の硬度のシリコンゴムに独自開発のシリコンフォーム素材を組み合わせた「トリプルコンフォートイヤーピース」がS/M/Lの3種類付属します。

 「ハイブリッドイヤーロングピース」の長さや、「トリプルコンフォートイヤーピース」の発泡シリコンの柔らかさもフィッティングに影響します。しっかりと耳の中で保持されることと、密閉感につながる聴きごこちや低域感や遮音性にも関わってくるところです。

 実際にWF-1000Xを装着してみると、イヤーピース部分の長さとフィッティングサポーターが耳の穴近くのフチ(耳甲介腔)にあるホールド感もあり、適度な装着感が得られます。激しく首を振ってもジャンプしても、そうそう外れそうにありません。

 両耳でしっかり装着できていれば「落ちるかも」という意識もなくなるので、まさに両手フリーな気分が味わえます。ただし、あくまでもインナーイヤー型を装着している状態と同じなため、長時間付けておくと疲れる場合もあります。

 WF-1000Xには、バッテリー充電機能が付いたイヤフォン収納ケースが付属します。microUSBケーブルをキャリングケースにつないで充電しておくことでWF-1000Xを2回フル充電できるため、移動時にはまさに必須アイテム。

 イヤフォン収納ボックスとしてもかなりの省スペースなので、カバンに忍ばせても邪魔にならないサイズ感です。左右のイヤフォンをそれぞれに所定の場所にカチッと音がするまで挿し込むと、イヤフォンの電源が自動的にオフになって充電が開始されます。ケースから取り出すと自動的に電源がオンになり、それと同時に左右チャンネルのペアリングも自動で行なわれてすぐに使えるようになります。

 フル充電にかかる時間は約1.5時間です。WF-1000Xのバッテリー駆動時間は公称値で3時間で、それ以上は連続して長時間の使用はできませんが、聴き終わったらキャリングケースにしまい、また聴きたいときに取り出すといった通勤や出張のようなシチュエーションであれば、特に不便なく使えそうです。

 WF-1000Xの性能としては、6mm径のダイナミック型ドライバーにCCAWボイスコイルやネオジウムマグネットを採用。イヤフォンの形状としてはカナル型タイプで、再生周波数帯域は20Hz-20kHz。

 Xperiaと連携して使うには、Bluetoothのペアリングが必須です。もちろんカンタン便利なNFCが備わっていますが、NFCでのペアリングは、イヤフォン本体ではなくキャリングケースと行ないます。

 ケースからイヤフォンを取り出して電源が入った状態にして、キャリングケースの裏側のNFCマークにXperiaを近づければペアリング完了です。これ以降は、NFCを近づけるだけで切断も再接続もワンタッチです。

 そして小さいながらも、操作系の物理ボタンが左右イヤフォンにひとつづつ備わっています。左側イヤフォンのボタンでは、電源ON/OFF(2秒押し)、ノイズキャンセリングON、アンビエントサウンド(外音取込)、OFF。

 右側イヤフォンのボタンでは、電源ON(OFF時は左のみ)、再生(1回押し)、曲送り(2回押し)、曲戻し(3回押し)、着信時に受ける終話する(1回押し)といった動作ができます。さすがにボタンの役割を変更するカスタマイズはできませんでした。

 さらにXperiaとの親和性を向上させるのが、スマホ専用アプリ「Headphones Connect」をインストールしての連携です。

 このアプリを使うと、ノイズキャンセリングをオンオフしたり、外音のコントロールとして、音楽を聴きながらも周囲の音を取り込んですべてが聞こえる「ノーマルモード」と、騒音は低減しつつ人の声だけは取り込む「ボイスモード」の使い分けができます。

 また「音質モード(音質優先モード/接続優先モード)」の切り替えや、「イコライザー」といった音質調整もこのアプリから操作できます。

 あらかじめ止まっている時/歩いている時/走っている時/乗り物に乗っている時の4パターンから、それぞれ外音取り込みの状態をこのみで設定しておくと、自動的にノイズキャンセリングの設定を自動的に切り替えてくれる「アダプティックサウンドコントロール」も非常に便利です。

 XperiaのOSであるAndroidの「Googleアシスタント」の呼び出し(右側ボタンを2秒押し)も可能です。なにしろWF-1000Xが小さく、遠目に見ると何もつけてない人が独り言を言っているようにも見えるので少し気恥ずかしさもありますが、手放しでGoogleに問いかけられるので、なかなか便利に使えます。

 ただし、WF-1000Xに弱点がないわけでもありません。まず、BluetoothのコーデックがSBCとAACしかなく、最近のXperiaが対応するLDACに非対応ということです。

 意外にも、耳へのフィット感の良さとノイズキャンセリングで静けさを手に入れられることもあり、左右独立したワイヤレスインナーイヤーだからといって音質が悪いということもなく、心地よく音楽に浸れます。

 音質の部分よりも、左右のヘッドセットへ音声通信の橋渡しをしているという構造上、Xperiaで再生した音からの遅延は気になるところ。特に動画視聴時には人物のセリフの口の動きと聞こえてくる音声のズレがあったり、アプリでゲームをプレイした場合の画面と音の遅れはかなり気になるレベル。音楽鑑賞がメインの使い方が向いています。

 また、無線の電波が飛び交っている場所では、左側のイヤフォンから聴こえるものの右側のイヤフォンから聞こえなくなるという現象が発生したのも気になりました。

 ツッコミどころも多々ありながら、WF-1000Xの圧倒的な魅力は、両耳に装着したイヤフォンだけですべてが完結することです。ケーブルの煩わしさがなくなるうえノイズからも解き放たれるという快適さは、音楽をスマートに聴きたい、かっこよくスタイリッシュに使いたいといったユーザーにはピッタリではないかと思います。

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