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「全作品」ストリーミング・サービスで解禁

名門ECMついにストリーミングに! 必聴アルバム25選

2017年11月21日 17時00分更新

ECMらしい音色の名盤

 ECMを愛する人たちは、スピーカーの前で、レーベル特有の深い残響をたたえた音に耳を傾けている……そんなイメージがあります。いかにもこのレーベルらしいと感じる空気を持つ、ECM初心者にもオススメの名作たちを紹介しましょう。

Kenny Wheeler「Gnu High」(1976年)

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GNU HIGH

 ジャケット、演奏内容、音質、すべてにおいて、実にこのレーベルらしい1枚。ちょっと煤けたような音色のケニー・ホイーラーのフリューゲルホルンがすばらしいですね。ECMの録音に特有の残響の深さが、ホイーラーの響きを助長しています。

 キース・ジャレットのきらめくようなソロ、デイブ・ホランドの哲学的(でも難解ではない)ベース、ジャック・ディジョネットの小気味よいドラミング(特にシンバルの音色!)も圧巻。落ち着いているのに、躍動感もある、みごとなカルテット作品。

Charles Lloyd / Jason Moran「Hagar's Song」(2013年)

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ヘイガーズ・ソング

 1960年代から第一線で活躍し続けるベテランのサックス奏者チャールス・ロイドが、ピアニストのジェイソン・モランとデュオで録音したアルバム。リラックスした雰囲気の中にも、精緻なコンビネーションが楽しめます。

 スタンダードはもちろん、フリー気味な演奏が聴ける組曲もありますが、なんといってもアルバムの最後、ロックの大名曲「I Shall Be Released」(ボブ・ディラン)と「God Only Knows」(ビーチ・ボーイズ)をとりあげた流れは必聴。メロディーを丁寧に歌い上げるサックスとピアノの音色は感動的です。

Steve Kuhn「Remembering Tomorrow」(1996年)

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Remembering Tomorrow

 ジャズの定番編成であるピアノ・トリオ(ピアノ、ベース、ドラム)も、ECMではこうなるという恒例。スティーブ・キューンの哲学的なピアノが堪能できるだけではなく、各楽器のインタープレイにも聴きどころがあります。

 特に、ジョーイ・バロンのぐいぐいと切り込んでくるドラムに耳を奪われるはず。各楽器の間に丁々発止の掛け合いがありますが、決して粗暴になることなく、凛とした緊張感を保ち続けています。透き通った音質が、それをよくとらえていますね。

Ketil Bjørnstad / Svante Henryson「Night Song」(2011年)

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Night Song

 ピアニストのケティル・ビヨルンスタと、チェリストのスヴァンテ・ヘンリソンによるデュオ作品。いわゆるジャズとはちょっと違います。訥々と旋律を歌う両楽器の演奏は、叙情的でありながら、退屈ではありません。

 シューベルトに捧げられたという本作ですが、ロマン派のクラシック楽曲のように、旋律主体かというとそういうわけでもない。どちらが目立つこともなく、主部と伴奏をきっちり分けるでもない。静かに互いが絡み合っていく、落ち着いた雰囲気が魅力です。

Norma Winstone「Stories Yet to Tell」(2010年)

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Stories Yet to Tell

 歌ものも取り上げておきましょう。ジャズ・シンガーとしてのキャリアが長いノーマ・ウィンストンは、たっぷり歌い上げるスタイルではなく、楽器の音の隙間に歌声をさらりと入れていくのがうまい。伴奏はピアノのグラウコ・ベニエと、クラリネットとサックスを担当するクラウス・ゲシング。

 音の数が少なく、各楽器とノーマの声がたゆたうように現れる内容。一般的なジャズ・ボーカルというよりは、アンビエントな趣もある作品です。それでもスタンダード「Like A Lover」などでは、ほっと胸を和ませる歌が聴けて、ただ暗いだけではないのがさすがです。

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