11月3日と4日の2日間、中野サンプラザで開催された“秋のヘッドフォン祭 2017”。イベントの様子は記事でもお伝えしているが、ここでは紹介しきれなかった展示を中心に、年末に向けた注目機種を見ていこう。
ハイエンドは開放型に回帰
開放型(オープンバック)は10年ほど前には、ハイエンドヘッドフォンの代名詞的な存在であった。最近は、モバイルでの利用に注目が集まっていたので、密閉型が多く発売される傾向があったが、開放型には広い音場や自然な音調といった利点がある。自宅の静かな環境でゆっくりと音楽を楽しみたいという層に向けて再評価が進んでいる印象だ。多くは数十万円のハイエンド機種。一般的なダイナミック型のほかにも平面駆動型や静電容量型など様々な方式がある。一般的なダイナミック型でも振動板素材に工夫を凝らすなど技術面での工夫があり、注目したい存在だ。
ATH-ADX5000は新開発のバッフル一体型で直径58mmのドライバーを採用。約270gと軽い。アルミニウムをベースとした特殊形状のハウジングもプレミアムだ。日本の職人の手による匠のプレス技術を用いている。
KuRADAのスタイリッシュヘッドフォン「KD-P1」。昨年のヘッドフォン祭でも展示されていた。直径53mmのドライバーを搭載。42Ωで感度は96dB/mW。重量は550g。価格は税抜48万円。
Klipschのセミオープン型ヘッドホン「Heritage Hp-3」。参考出展のモデル。直径52mmのFree-Edge Biodynamicドライバーを採用。ハウジング部に使用する木材はウォールナット、エボニー、オークがある。国内発売は現時点で未定だが、海外では発売済。10万円台前半になるのではないかと思われる。
平面振動板を使ったプロ用ヘッドフォン「T50RP mk3g」などを販売しているフォステクスは、これをベースとしながら、リスニング向けチューニングを施した「T60RP」という製品を参考展示。重量は380g。ニス塗りで長期間使うことによる風合いの変化も楽しめそうだ。12月中旬発売予定で、価格は3万円前後になるそうだ。
ULTRASONEのEdition 15は今回のヘッドフォン祭の目玉機種のひとつ。ハイブリッド振動板を採用した新開発ドライバーは、周辺にゴールド、中心にチタンを配合したもの。GTCドライバーと呼んでいる。999台限定で、価格は36万円(税抜)。年内の発売を予定している。11月10日に、2017年12月20日の発売と決定。各個体の測定グラフが付属し、品質管理者によるサインが加わるとのこと。
MrSpeakersの静電型ヘッドフォン「ETHER ES」は、2018年第1四半期の販売開始に向けて鋭意調整中。88mmと大口径な自社開発の静電型ドライバユニットを採用。金属製のステーターを採用している。音質も素晴らしく要注目機種のひとつだ。
AUDEZEの「LCD-MX4」は11月中旬の発売を予定している新製品。平面駆動型で国内初お披露目。予想売価は38万円前後(税抜)とのこと。
ほかにも整理券配布のfinalの「D8000」、発売されたばかりのゼンハイザーの「HD 660 S」なども人気。試聴に長い列ができていた。
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