アクセンチュアは11月2日、グローバルで実施した調査において、大手銀行の経営幹部100名のうち99名が2020年までにオープンバンキングへの大規模な投資を開始する予定であると明かした。
オープンバンキングとは、顧客の同意のもと、APIの連携などを通じて銀行が保有する顧客データにノンバンクの第三者企業がアクセスできる仕組み。
顧客は、第三者企業が銀行のデータを活用して提供するサービスを利用できるようになる。一方、銀行はオープンバンキングのプラットフォームを活用し、プラグアンドプレイの金融商品を小売やフィンテック企業といった第三者企業に提供し、新規顧客の開拓が可能になるという。
調査では、北米の銀行の63%は新規参入企業と対峙する上で、オープンバンキングの導入は必要不可欠であり、顧客との関係性の維持にも役立つと考えていることが明らかになった。
ヨーロッパとアジア・パシフィック地域における同回答の比率は、それぞれ51%と40%。調査対象となった経営幹部の52%はデジタル変革への投資を進める銀行との競争おいて、オープンバンキングを導入せざるを得ないと回答した。
アクセンチュアのシニア マネジング・ディレクターで銀行グループの責任者であるアラン・マッキンタイヤー(Alan McIntyre)は「改正決済サービス指令(PSD2)の法制度化が義務付けられているヨーロッパと違い、北米やアジア・パシフィック地域の銀行は、オープンバンキングの導入について、方法や時期などを自身で設定できます。今後は、多くの銀行が顧客に対して、統合型の金融サービスをより簡単に提供できる手段として、オープンバンキングを導入するでしょう。ヨーロッパの銀行が法制度への対応を進める中、世界各国の銀行は、オープンバンキングで可能になるさまざまなサービス(顧客の信用調査やID管理など)を第三者企業に提供することで、どのような収益源を開拓することができるのか、見極めようとしています」と述べた。
調査対象となった経営幹部の大多数が、オープンバンキングは脅威よりもむしろ機会をもたらすものであり、顧客が利用している銀行の商品にアクセスしやすくなるメリットがあると考えている。
その一方で多くの回答者が、オープンバンキングにより外部の銀行と接点が増えることで、セキュリティーの脆弱性や詐欺の危険性などが高まることを危惧している。
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