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グローバルスタートアップの優位性(前編)

2017年11月14日 09時00分更新

 台湾を拠点にグローバルスタートアップを果たしたODMメーカー 株式会社ハタプロ 代表取締役CEO 伊澤諒太氏を招き、台湾進出の理由、IoT時代におけるODMの優位性、近未来の社会についてお話いただきます。


出席者

●株式会社ハタプロ 代表取締役CEO 伊澤諒太(いざわ りょうた)

●Planetway 代表取締役CEO/ファウンダー 平尾 憲映(ひらお のりあき)


平尾 伊澤さんと初めてお会いしてハタプロの事業展開のお話を聞いていると、Planetwayと非常に相性がよい事に気づきました。

 IoTデバイスODMメーカーとしてグローバルスタートアップを実現し、台湾政府と連携するなど、とても先進性があり、今後の世界的なトレンドとなるべく事業展開に必要な要素を満たしていると思います。

 「TAKT発表記者会見」や「IoTイニシアチブ2015」にも来ていただき、Planetwayへの理解も高めていただけていると思います。近いうちに具体的な両社によるクリエイティブも実現できそうですね。 伊澤 先日お会いしてお話した時よりもこうやってフラットな場でお話する時のほうが平尾さんってしゃべりますね。

ハタプロの台湾との連携にとても興味がありました。ハタプロの台湾との連携にとても興味がありました。

平尾 僕、奥手なので・・・。

 お会いした時に、ちょうど弊社(Planetway)がエストニアとの連携が動き出した時で、ハタプロの台湾との連携にとても興味がありました。

 いろいろと伺いたいなと。

 一緒になにかやったら面白そうだなって思いました。

 じっくりとお話する場に持ち込めたらと思いながらの初対面でしたね。

 Facebookやメールなどではいろいろとやりとりしてきましたね。

伊澤 平尾さんのメールは熱いですよね。情熱がたっぷり伝わってきます。

平尾 熱いです(笑)

 IoTデバイスと通信プラットフォームの最適な関係

伊澤 最近は、ソフトウェアとハードウェアを同時に開発してほしいという依頼が増えていて、このような新しいニーズへの対応という点で、既存のメーカーは苦手としていると思います。

 ハタプロはこの面でチャンスを感じています。

平尾 ハタプロは、既存の大手ODMメーカーではなかなか実現できないところを提供できていることが強みだと思います。

 具体的に言うと、IoTデバイスをODM生産する際には、大量ロットに特化されてしまうのが普通ですが、ハタプロは小ロットでもODM提供を可能とする点です。

 これは、ODMメーカーに最も求められていた事だと思います。

伊澤 PlanetwayのグローバルIoT通信プラットフォームと、ハタプロのIoTデバイスは、各役割としてパズルが当てはまるところから、パートナーとして最適です。

 自分たちだけではなく、エストニア、台湾、日本による政府間の結びつきにも協力していけたら良いと思います。

 閉じた日本の通信マーケットと
「IOT(インターオペラビリティテスト)」という課題

平尾 グローバル通信は、IoTデバイスには欠かせないものです。

 しかし、IOT(インターオペラビリティテスト)に代表されるように、日本の事業者がグローバルIoT通信ビジネスを展開する際のデバイスにおけるネットワーク「テスト」だけでも数千万、数億という費用が発生した例があります。

 プラットフォームが確立されていないことが原因で、グローバルIoTデバイスの生産も滞っているように思えます。

Planetwayが提供するグローバルSIMを基本機能とした通信プラットフォームを利用すれば、世界中の国のIOTを受ける必要がなくなり、すぐにグローバルIoT製品として展開できるようになる。

 これは、日本の通信マーケットは、内需で十分な収益を上げてしまったことで、グローバル通信に関しては弱いことが問題です。

 簡単に言うと、グローバル展開を無視していたと言えます。

 IoTデバイスはグローバルで使用できるものが当然ですので、全世界フラットレートで統一化された低価格の通信環境が当然求められます。

 弊社の通信プラットフォームはそれを実現できるので、是非アピールしていきたいですね。

 お客様との話の中で、通信については当然のごとく出てきますねお客様との話の中で、通信については当然のごとく出てきますね。

伊澤 お客様との話の中で、通信については当然のごとく出てきますね。

 ハタプロとしてもグローバルで展開する案件の通信についてはPlanetwayで提供できるので最近はいろいろなところでお話しています。

平尾 ありがとうございます。

 ハタプロといろいろとやっていきたいですね。

 ハタプロはコアパートナーとして組みたいと思える会社です。

 技術やODMメーカーとして優秀な点はもちろんですが、政府との連携を実現できているところで、私が掲げるIoT推進に必要な要素と経験値をお持ちです。

伊澤 フットワークが軽い小規模な会社のメリットはIoTというスピード社会において重要です。小規模な会社でもグローバル展開を実現するには産官学連携はとても重要です。

平尾 IoTという言葉自体はBUZZワードながら、実際にデバイスを作り提供し、使ってもらうという流れを実現するためにも必要な概念です。

IoTというBUZZワードの本質

伊澤 私は面白いこと、新しいことを産み出したいという気持ちでハタプロを立ち上げたら、俗に言う「IoT」に関わっていました。

 こういうBUZZワードがあると、人とお話する時は楽ですね。

北欧のシリコンバレーと称されるIT先進国エストニアEU、NATOおよびOECD加盟国で、電子政府(e-Government)・電子行政サービスを実現し「北欧のシリコンバレー」と称されるIT先進国エストニアとの出会いは、Planetway事業に大きな影響を与えました。

平尾 エストニアの人と同じこと言いますね。

 彼らはそもそも国家自体がICTインフラ化を推進しているので、IoTという言葉がエストニアに追いついてきたという感じでしょうか?

 日本ではIoTアレルギーがあるようで、異常に毛嫌いする人がいますね。

伊澤 「IoTは、今に始まったことじゃなくて、昔からユビキタスっていうのがあって、ただのBUZZワードにすぎない!」と言われることもありますが、私はユビキタスが社会の変化と共に現在の時代に求められる役割に再構築されたものがIoTだと思っているので、新しいものと捉えています。

 ハタプロのような若い会社でもチャンスがある分野です。

平尾 IoTは、ただのBUZZワードなのですが、会話の時に楽なだけです。

 だから、あまり気にしないでほしいですね。

 IoT社会という言葉は大切ではなく、それを実現することによる社会的なメリットを具体的にお話したいのですが、なかなか本質の方向に会話が進みません。

 そんな中、伊澤さんはよくわかってらっしゃるので、共感が持てました。

 本物志向というか。

 私は面白いこと、新しいことを産み出したいという気持ちでハタプロを立ち上げたら、俗に言う「IoT」に関わっていました。「IoTはBUZZワード」というのは本質とは関係ないですよね。

 次のアクションに進むための言葉のキャッチボールをすることが重要だと思います。

伊澤 「IoTはBUZZワード」というのは本質とは関係ないですよね。

 次のアクションに進むための言葉のキャッチボールをすることが重要だと思います。

 平尾さんは、海外の人たちからすると異国の地で会社を立ち上げているという敬意が、真剣に話を聞いてくれるというところにつながっているのかもしれません。

平尾 それはわかります。私のような世界一の企業を作る!という「夢物語」を語る人を日本では笑われて終わることが多いのですが、エストニアの人はとにかく真剣に聞いてくれて、「じゃあ、僕はなにをすればよいの?」と具体的に進めることを考えてくれます。

 日本と違い、エストニアの人たちは全力で向き合えることが多いので、自分自身が殻に閉じこもることもなく、我慢しなくてよいですね。

伊澤 そもそも、グローバル事業を実施するにあたり、発言力ある人の音頭がないと進まないことも多いので、いかに早く自分のすべきことをしバトンタッチしていくか、そこに本質以外の話は不要というのを意識している人たちと出会えているのかもしれませんね。

平尾 そう考えると日本にもそういう人がいると思うので、もっと出会いたいですね。

 でも、日本はイノベーターが育つ環境が弱い気がしています。

 その中でも教育に問題を感じます。

後編につづく


撮影協力:bottle aobadai

〒153-0042 東京都目黒区青葉台3-1-18

 


伊澤 諒太(いざわ りょうた)

2010年に株式会社ハタプロを創業。米国シリコンバレー発のベンチャー企業Evernoteの初代アンバサダーを務める傍、ITとモノづくりを融合させた新しい時代のキャリア教育や起業家教育を推進。2012年にアジアの戦略拠点としてハタプロ台湾支部設立。台湾政府の経済産業省や工業技術研究院が推進するIoT・ハードウェア起業家教育事業のInternational Partnerに選抜される。現在は事業で培った日本と台湾のアセットを活かしグローバルメイカーとして様々なIoTプロダクトを開発中。

平尾 憲映(ひらお のりあき)

2008年米カリフォルニア州立大ノースリッジ校卒業後、ソフトバンクモバイル㈱に入社。孫正義氏、松本徹三氏との出会いから新規事業創設に従事。サーコムジャパン㈱を経て14年2月、(株)ワイヤレスゲート新事業イノベーション室長、現Planetway Corp.代表取締役CEO/ファウンダー。

(提供:プラネットウェイ)

■関連サイト

※この記事はプラネットウェイのオウンドメディア「avenuJam」に掲載された記事を再編集したものです。

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