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Ultrasone Edtion 15、金とチタンの振動板を使った4年ぶりの開放型

2017年11月04日 19時00分更新

 Ultrasoneは11月3日、“秋のヘッドフォン祭2017”の会場で、“Edition”シリーズとしては、4年ぶりの開放型モデル「Edition 15」を公開した。999台限定で、価格は36万円(税抜)。年内の発売を予定している。

 新製品発表会にはCEOのミハエル・ツィルケル氏、CTOのアンドレアス・ヴァイティンガー氏がゲストとして招かれ、ライターの山本敦氏の質問に応じる形で製品を紹介した。

右がCEOのミハエル・ツィルケル氏、左がCTOのアンドレアス・ヴァイティンガー氏

 製品で用いられている技術は大きく6点。ダイナミック型ドライバーを使用する開放型の機種であること、広い音場を実現するS-Logic EXの採用、ミューメタルという特殊な金属を用い電磁波を低減するUltra Low Emission技術、新開発の振動板を利用したドライバーの開発、金属とウッド素材を組み合わせたイヤーカップ、マグネットで簡単に着脱できるイヤーパッドだ。

 この中で注目したいのが、ハイブリッド振動板を採用した新開発のドライバーだ。GTCドライバー(GTCはGold Titanium Compaundの略)と名付けており、周辺にゴールド、中心にチタンを配合している。それぞれの素材にはいい面と物足りない面があった。ゴールドはスムーズな低域だが、高域が物足りない。チタンは使い慣れているが、エージングに時間がかかる。そこで両者を使って、完璧な周波数特性を得るための試行錯誤をしたという。

GTCドライバー

展示されていた実際のドライバー

 熱心なファンの期待に答えるために、ドライバーの開発には時間をかけた。結果的には9月頭まで練り上げることになり、ようやく最終決定にこぎつけたそうだ。

 もうひとつは、新開発のイヤーパッドだ。

交換用に用意したレザー素材のイヤーパッド

 マグネット着脱式のパッドはEdition 8以降採用している。素材についてはマイクロベロアを標準とした。もともと革製にしていたが、偶然試してみたところ、音抜けや情報のきめ細かさが良質だった。そこでベロアをベースに、サウンドチューニングを突き詰め、改めて革製と比較したところ、低域の表現などに違いがあることが分かった。そこでベロア素材を標準としつつ、メリノシープスキンパッドも用意し、選べるようにしたそうだ。ベロアは自然な開放感、レザーは引き締まった低域が得られるそうで、雰囲気に合わせて交換してほしいとのこと。

 なおパッドは使っていくうちに痩せてくるが、裏側に樹脂の層を設けて時間が経ってもボリューム感に差が出ないようにした。

 ウッド素材に金属を組み合わせた外観もプレミアムだ。例として最新のプレミアムカーを挙げていたが、異なる材質を組み合わせて上質感を演出するのはヨーロッパのトレンドだという。ウッド部に使われるアメリカンチェリーウッドはギターなどにも使われる素材。これをステンレスと組み合わせることで、先進性を出すのが狙いだという。

 ステンレスプレートにパンチされたパターンも特徴的だ。音響的には開放型なので、メタルプレートの抜けをよくするために1200個もの穴を開けている。さらに音場感を作り出す、S−LOGIC EXの効果を視覚的に表現するために、ドライバー位置に合わせて穴の間隔が変わる演出を取り入れた。

穴の開き方に注目

 音だけでなく、デザインにも満足できる高級感溢れる素材を選択した。ツィルケル氏は「メーカーとして、素材選びも妥協してこなかったと自負している。完成品として質の高いものを作るのが専業ブランドとしてのこだわりだ」と話した。Ultrasoneのラインアップの中でも「Signature」と「Edition」はハンドクラフトで生産している。

 イヤーカップの木材加工は、ドイツ本社近くの工房で実施している。従来のラッカーフィニッシュから、無垢の状態でワックスを重ね塗る、家具のようなつくり方にした。長年使って、経年変化による風合いの変化を楽しめるようにするためだ。

 Ultrasoneが4年ぶりに開放型に取り組んだ理由としては、開放型のヘッドフォンが市場でブームになってきていると感じたためだという。ヘッドフォンはポータブルで使うだけではない。アナログレコード再生の再燃などもあり、自宅の静かな環境で音楽をゆったりと楽しむスタイルへの回帰があるという。そこに開放型のニーズがマッチするのではないかと分析した。

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