フランスのFOCALは11月3日、ヘッドフォン祭の会場で近く国内投入する“NEW MEDIA”ラインの新製品を紹介した。スマートフォンやポータブル機器との連携を想定したヘッドフォン/イヤフォン。
国内向けに披露されたのはヘッドフォンの「Listen」「Listen Wireless」、イヤフォンの「Spark」「Spark Wireless」「Sphere S」の合計5機種となる。価格や発売時期は後日発表する。
ドライバー開発で培った技術をヘッドフォンに応用
フランス・リヨン近くのサン・テティエンヌに本社を置くFOCALは、海外市場に強く製品の7割が国外向けだという。約220名の従業員のうち40名がエンジニアという技術志向の会社で、2011年にイギリスのNAIMを買収したことで、欧州資本のオーディオメーカーとしてはヨーロッパ最大規模の企業となった。
製品は5つのカテゴリーに分けて展開しており、ここで紹介するNEW MEDIAシリーズのほか、スピーカーや室内で使うヘッドフォンを含む“ホームクラシック”、“車載機器”“プロ用機器”などがある。国内ではスピーカー製品をラックスマンが扱っているが、屋外での利用を中心としたNEW MEDIA製品に関してはエミライが扱う。
ゲストとしてHeadphone Sales ManagerのRomain Vet氏とAsia/Africa Home Sales ManagerのQuentin Morieux氏が招かれた。発表会では、FOCALがドライバーユニットを設計する際の理念として、「軽量性」「高剛性」、そして色付けのない音を出すための「高減衰性」の3つを重視している点を紹介。そのためにさまざまなタイプのドライバーを自社開発しているとした。
さらにヘッドフォンでは、スピーカーと異なる、耳の合わせた調整が必要になる。外耳や耳介の影響を受けるため、一般的に言うフラットな特性ではなく、中域が少しへこみ高域が盛り上がったような調整を加える必要がある。また騒音などの問題もあり、これに合わせた最適化が必要になるそうだ。
オーソドックスで上質な「Listen」
Listenは、過渡特性の良さ、減衰の速い低音、フラットなトーンバランスなどを念頭に置いた密閉型ヘッドフォン。振動板はマイラー・チタンドーム型。軽量で高剛性なドライバーを作るため、エッジに近い部分はマイラーのまま。強度を上げる中央部分だけチタンコートしている点が独特だ。結果として振動板の強度を保ちつつ、エッジ部分を柔軟に動かすことが可能となる。ユニットだけでなく、アコースティック面でのチューニングにも自信を見せる。イヤーパッドは22mm厚の低反発タイプで、ウレタンフォームとマイクロファイバー製のクッションで構成。このパッドも音質チューニングに一役買っている。
Listen Wirelessは、ListenをBluetooth化したもので、aptXコーデックにも対応する。有線タイプ、無線タイプで価格差が生じるが、両機種の価格は3~4万円前後になる見込み。海外製ヘッドフォンのボリュームゾーンを狙う形となる。
実際に聴いてみると、ヨーロッパのヘッドフォンに見られる濃厚でしっかりとした音。しっかりとした低域に支えられ、密度感を感じる。有線モデルが3万円台前半で出てくれば、なかなか競争力があるように感じる。
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