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FiiOのCEOが来日、ヘッドフォン祭で近日発売の新製品を公開

2017年11月03日 10時38分更新

モデルが手にしているのが「X7 MarkII」

 ハイレゾ対応のポータブルプレイヤーなどで知られるFiiO。そのCEOを務めるJames Chan氏が来日し、新製品やFiiOのコンセプトについて紹介した。FiiOの製品はこれまでオヤイデが扱ってきたが、今後一部の製品をエミライが扱う。国内でまだ販売が開始されていない製品が該当するという。

 具体的な製品としては、海外で既発売のハイエンドDAP「X7 MarkII」、エントリーDAP「X3 Mark III」、USB DAC内蔵ヘッドフォンアンプ「Q1 Mark II」、ユニバーサルイヤホン「F9」などがある。さらに開発中の機種としてDAC内蔵ヘッドフォンアンプ「Q5」、ユニバーサルイヤホン「F9 PRO」「FH1」などがあり、近く市場投入する予定だ。

 国内での販売時期や価格などの詳細は代理店を通じて、今後発表するとのこと。

日本のユーザーの声を聞きたい

 FiiOは“Infinity Sound”を標榜し、バランス駆動に対応した、アンプ、プレイヤー、イヤホンに注力していく。音場の広さにメリットがあり、今後発表していく全てのジャンルで対応を進めていくのが基本方針だという。

FiiOのCEO、James Chan氏

 James氏はHead-Fiなどに自分自身で投稿し、積極的にユーザーと交流しながら、その意見を聞き、積極的に製品に反映していくことで知られている。しかし言語の壁などもあり、海外のフォーラム上で日本のユーザーが発言する機会は少ない。そのため「日本市場が分からないのが悩みのひとつだった」とする。

 新しい販売代理店が加わったことは、それを変えるいい機会になると考えているようだ。発表会などに登壇する機会があまりない同氏だが、11月3日から開催中のヘッドフォン祭では、新製品発表会に自ら登壇し、FiiOについて紹介したほか、プレスからの質問も受けた。日本ユーザーの声を積極的に聞き、今後の製品開発につなげていくきっかけと考えているようだ。

 ブランドの由来は「Hi-Fi」とデジタルを意味する「10」の造語。James氏によると、ブランドとして重視しているのは「イノベーション」「品質」「サービス」の3点だという。研究開発にも注力しており、約70名のスタッフを擁する(その数名は25年近く音響技術に取り組んできた技術者だという)。6000m2あり、年間100万台の生産能力を持つ工場では、許容差ゼロを目標としている。

オーディオメーカーの“トヨタ”になりたい

 FiiOの製品は、リーズナブルな価格で“いい音”を届けるという点に注力している。市場では高音質・高機能だが、驚くほど高価な製品が増えている。そんな事情を踏まえ、限られた人だけが“最高の体験”を得るのとは異なるアプローチで製品を開発していきたいとした。

 また「すべてはマーケットが決める」とも発言。新しいというだけではなく、本当に求められている機能を選び、リーズナブルな価格で提供していくことを重視しているとした。

 例えば、4.4mm5極端子の搭載やMQA対応などは時期尚早とする一方で、LDACやaptX HDに関しては、近くサポートしていく方針だ。ただし4.4mm端子の需要が日本で高まっているという認識はあるので、代理店のエミライなどと相談しながら、要望が高まれば積極的に検討していきたいとした。FiiOのDAPには、アンプモジュールを交換できる仕組みがあり、こうしたオプションに4.4mm端子を搭載していくことは難しくないそうだ。

FiiOの製品は価格帯や機能に応じて、様々なメーカーのDACチップを採用しているが、これは製品ごとにユーザーのニーズにあった音質や機能が必要であると考えるため。上位と下位機種の狙いの違いは何かという質問については、「透明性」と「ウォーム」、「ベースの量感の違い」などだと説明。例えるならピュアウォーターとコカ・コーラ、あるいは素材を生かした日本料理と、スパイスにこだわる中華料理だとした。

 Hi-Fi機器の市場では「価格は品質」という信仰が根強かったが、欧米市場ではそういった考え方が徐々に崩れてきている。「目指すのはオーディオメーカーの“トヨタ”のような存在」だとした。その表れとして、後述するX7 MarkIIはバランス駆動をはじめとした高付加価値の製品でありながら、10万円を切る手ごろな価格に収めている。

据え置き向けのDACやクイックチャージなど多機能な「X7 Mark II」

X7 MarkII

 X7 Mark IIは、ESS9028 PROを採用したハイレゾプレーヤーで、あえてモバイルではなく据え置き用のハイエンドチップを使っている。3種類のクロック、7種類のデジタルフィルターを切り替えて利用できる。

 アナログ回路も物量投入しており、内部基板の製造品質の高さや不良の少なさにも配慮しているという。CPUの高速化も図っており前モデルより40%高速。64GBのストレージと 2GBのメモリーを内蔵する。OSはAndroid 5.1をカスタマイズしたもの。2つのモードを持ち、Androidモードと、オーディオ専用のPure Music Modeが選べる。microSDカードは最大256GB×2を搭載可能。USB DAC機能、光同軸デジタル出力機能を持つ。Bluetooth、Wi-Fi接続が可能で、aptXコーデックにも対応する。バッテリー容量は3800mAh。Quick Charge 2.0/Pump Express対応で、従来比2.7倍の高速充電が可能だ。

 GUIは3種類用意しており、今後のアップデートで変更していくそうだ。歌詞表示やスクリーンロック機能を持つ。付属品も豊富で、標準でPUレザーケース、樹脂ケース、ガラスクリーンプロテクターなどを同梱する。

 新開発のアンプモジュール「AM3A」との組み合わせで、出力、S/N、歪み率などの数値が改善している。アンプモジュール部は独立しており、交換できる。国内価格は未定。FiiOとしてはハイエンドの5~10万円程度のレンジを狙っている。

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