大幅価格下落で気になる シャープ「IGZO」ディスプレーの今
2017年11月05日 12時00分更新
シャープが2013年に発売した32インチの4K IGZOディスプレー「PN-K321」が実売で10万円を切る価格となっている。もともと45万円前後で登場した製品なので、4分の1以下の価格だ。
今や4K液晶ディスプレーの相場は、40インチクラスで5~8万円ほど。そう考えるとPN-K321は古くて高い、となるのだが、そこはあこがれのIGZOディスプレー。ずいぶんと安くなったと感じてしまう。
そもそもIGZOとは何? そのメリットは!?
IGZOは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)で構成される酸化物半導体を用いたディスプレー技術。
電子移動度が速く、通常の液晶パネルに採用されている半導体(アモルファスシリコン)よりも20~50倍の電流を流すことが可能なのが特徴。

電子移動度のグラフ。アモルファスシリコン(a-Si)と比べて移動度が高い

電子移動度の向上によりトランジスタの小型化が可能
これにより、素子を制御するトランジスタが小型化できるため、画素が細かくなっても十分にバックライトの光を通過させることができる。このため、比較的小さな画面でも高精細化が可能となった。

画面の更新がない場合に一時的に電流をストップできる
また、画面の書き換えがない場合、電流を止めても絵を表示し続けられるのも特徴。静止状態の絵であれば一時的に電流を止められるので消費電力を低減できる。

ノイズ発生の様子を表したグラフ。左が通常の液晶パネルで右がアイドリングストップ時のIGZO
さらに、タッチパネルとして利用する場合、タッチ入力を受けている際に電流を止めることでノイズの発生を抑え、タッチ検出精度を高めることができる。
つまり、高精細で、低消費電力で、タッチセンサーの感度を高められる、夢のようなディスプレー技術なのである。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう