ホームボタンが無くなった問題
iPhone Xでの解決策その1:フリック
iPhoneそのものの操作性に関わるホームボタン。これを有機ELの全面ディスプレイのために廃止する。AppleにとってのiPhone Xにおける最大のチャレンジといっても過言ではありません。なにしろ、10年間変わらないインターフェイスとして採用し続けており、2017年モデルのiPhone 8シリーズにも搭載されているのですから。
その解決策は、フリックによるジェスチャーでした。
ホームボタンを押し込む動作を、いくつかのフリック操作のジェスチャーに振り分けたのです。
まず、ホーム画面を開く、ホーム画面に戻るといったホームボタンを1度押しこむ動作は、画面下の縁から上へのフリックというジェスチャーが割り当てられました。同じ動作でホーム画面の2ページ目以降から、1ページ目に戻ることもできます。
iPhone Xを使い始めた当初は、無意識にホームボタンが配置されていた付近を押し込んでいた自分がいましたが、この動作だけでは画面が点灯するだけです。そう、画面のどこをタップしても、点灯させられるというジェスチャーも追加されているのです。
次に覚えるべきは、アプリ切り替え画面の表示。これに慣れるまで、若干時間がかかります。操作はホームボタンの代替の、下から上へのフリックを途中で止めて、感触フィードバックを得るという手順です。
当然1秒以内に終わりますが、フィードバックを待たずに動かしてしまうと、通常の下から上のフリックと認識され、ホーム画面に戻ってしまいます。
さらに、これまでアプリ切り替え画面はアプリを下から上にフリックすれば強制終了できましたが、iPhone Xでは下から上のフリックはホーム画面に帰る、に割り当てられているのでアプリ終了できず、ホーム画面に戻ってしまいます。
アプリを長押ししてから終了ボタンを押すか、下から上のフリックをしなければならず、これは1週間たっても、いまだに慣れない操作です。
これが面倒という人は、画面下縁を左から右にフリックすると、アプリをペラペラとめくることができ、これでもアプリ切り替えが可能です。2つのアプリを頻繁に切り替えるときには、この方法が便利だと思いました。
ホームボタンが無くなった問題
iPhone Xでの解決策その2:サイドボタン、大型仕様
ホームボタンとアプリの操作に関わる機能がフリックに割り当てられていましたが、それ以外の機能の振り分け先は、デバイス右側面にあるサイドボタンです。このサイドボタン、iPhone 8シリーズのものよりも2倍のサイズに巨大化しています。
ホームボタンが担っていたダブルクリックを含むボタン操作の頻度が大幅に高まることから、おそらく、強度を高めるために大きくしたと考えられます。
サイドボタンはこれまでどおりに、画面を点灯させたり電源を入れたりする役割を担いますが、電源をオフにするには、サイドボタンとボリューム下ボタンの同時押しになりました。
さて、サイドボタンの長押しには、Siriの呼び出しが割り当てられました。もちろん「Hey Siri」と声でSiriを呼び出すこともでき、こちらに慣れている人はおそらく使わなくても済みそうです。
またロック画面でのサイドボタンのダブルクリックでApple Payの呼び出し、サイドボタンとボリューム上ボタンの同時押しでスクリーンキャプチャ、サイドボタンの3度押しでアクセシビリティのズーム機能の呼び出し、がそれぞれ割り当てられています。
画面をタップすれば点灯するようになったので、サイドボタンの1度押しはさほど使われなくなりそうですが、繰り返し押す操作が増えたことから、強度の確保は必須だったのではないでしょうか。
ホームボタンが無くなった問題
iPhone Xでの解決策その3:Face ID
最後に、Touch IDです。
これまでのiPhoneのホームボタンにはTouch IDのための指紋センサーが内蔵されています。360度の指紋読み取りに対応するため、端末が縦でも横でも、逆さでも認証を取ることができました。
また第2世代センサーになって、その認識速度が飛躍的に向上し、iOSの進化によって、ホームボタンを押し込みながらTouch IDで指紋認証を済ませるという操作をまとめることができ、ポケットから取り出しながらホーム画面を開くというテクニックを毎日活用してきました。
そのホームボタンがなくなり、紆余曲折もありましたが、結局指紋に頼らない新しい生体認証、Face IDが採用されました。
Face IDは1つのiPhone Xに1つの顔を登録すると、アクセサリや眼鏡、メイク、帽子などにかかわらず、また暗い場所でも、瞬時に顔を照合し、ロック解除やApple Payの支払い認証をしてくれる仕組みです。片方の頬を手で覆っても認証できました。
登録作業も、指で何度もタップしなければならなかったTouch IDよりも素早く、首をぐるりとiPhone Xの前で回すだけです。このFace IDを実現するために、赤外線カメラとドットプロジェクターを前面に配置したTrueDepthカメラが採用されて有機ELディスプレイにせり出し、「センサーハウジング」や「ノッチ」と言われる部分が構成されています。
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