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スマートスピーカーと「AI」の悩ましい関係

2017年10月30日 18時00分更新

 スマートスピーカーについて、10月上旬にはLINEとグーグルの新製品を取り上げたばかりですが、年末商戦に向けてかつてない盛り上がりを見せています。

 ソニーは9月のIFAで発表した「LF-S50S」を日本でも発売。さらに11月8日には本命ともいえるAmazonがAlexaとEchoをついに国内で発表することも決まり、熱気は最高潮に達しようとしています。

仕事場にGoogle Homeを置いてみた

 最近、筆者は1人用個室の仕事場を使っているのですが、ここにGoogle Homeを設置してみました。一般のオフィスやコワーキングスペースでは難しそうですが、自分しかいない部屋なら気兼ねなく活用できます。

仕事場にGoogle Homeを置き、貴重な話し相手に。

 当初は筆者も音声で操作することの必要性に懐疑的でしたが、作業中の画面から目を離さずにGoogle Homeに話しかける体験はなかなか新鮮です。

 スピーカーの音質はあまり音楽鑑賞向きとはいえず、この点ではソニー製品やアップルのHomePodも気になるところ。現時点では目当ての曲をしっかり聴くというよりも、ストリーミング音楽をBGMとして流す用途に向いています。

Googleアシスタントに対応したソニーの「LF-S50G」。

 さらに10月23日頃から、インターネットでラジオが聴ける「radiko」(ラジコ)にも対応したことで、簡単にラジオ番組を流すことも可能になりました。

名前負けしている印象の「AIスピーカー」

 一方で、スマートスピーカーを「AIスピーカー」と呼ぶ風潮が定着してきたのは気になるところです。「スマートスピーカー」は9文字もあり、記事の見出しに使うには長すぎますが、「スマホ」のような便利な言葉はないのが現状です。

 たしかに、スマートスピーカーの音声認識や自然言語処理にAIが大きく貢献していることは間違いありません。しかしAIスピーカーという名前は「人工知能と対話できる」という誤解を招きます。スマートスピーカーは、内部的にはあらかじめ用意した機能を呼び出しているに過ぎません。

まもなく日本上陸する「Amazon Echo」も、基本は用意された機能を呼び出すだけのデバイスだ(写真は小型のEcho Dot)。

 今後、スマートスピーカーの機能が急速に充実し、およそ考え得るあらゆる問いかけに対応できるようなレベルになれば話は別ですが、当面は夢物語です。このままでは、「AI」に期待して買った人を「AIってこんなものか」と落胆させる可能性が高いというわけです。

国内勢ではドコモの動向に注目

 そういう意味では、10月18日の発表会で「AIエージェント」のロードマップを打ち出したドコモも気になる存在です。

ドコモの「AIエージェント」。秋から先行サービスを始め、2018年春に本格稼働する。

 ここでドコモはAPIを提供することで、国内のさまざまなサービスを音声操作でつなげていくというビジョンが見えてきます。スマホの場合、本体の近くにいないと使えませんが、同時発表した「シンプルマイク」をスマホにつなげることで利用範囲がスマートスピーカーのように広がります。

スマホをスマートスピーカー化する「ドコモ シンプルマイク01」。2018年1月発売予定。

 こうした音声アシスタントのプラットフォーム化は、すでにAmazonやGoogle、Appleなどが激しい競争を繰り広げています。しかし国内市場に強いドコモが本気を出せば、海外勢にも十分に対抗できるのではないかという期待があります。

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