動画コミュニティーサービスのniconicoは21日、大阪府吹田市にある万博記念公園にて「ニコニコ町会議 全国ツアー 2017 in 吹田市 大阪文化芸術フェス2017」を開催した。8月から青森、福岡、広島、新潟、北海道、名古屋と回ってきて、7ヵ所目のファイナルとなる場所だ。現地をがっつり取材したので、その熱気をレポートしていこう。
過去6年で間違いなく3本指に入るバッドコンディション
今回、町会議の現場で聞かれたのは「とにかくヤバい」の声だった。
何がヤバいかといえば、天候だ。関西方面にも大きな被害をもたらした台風21号のピークは避けられたものの、朝から夜までずっと強い雨が降り続くという過酷な環境だった。町会議は基本、屋外で実施するため、お客さんも今回も傘をさしたり、雨合羽を着たりと雨対策の上で参加していたが、それでも着替えが必要なレベルで濡れていた人も多いように感じられた。
さらに、地面が泥化しているというのもヤバさに輪を掛ける。会場となった万博記念公園の「東の広場」は土がむき出しのところも多く、雨が続くと地面が柔らかくなって、まるで田んぼのようにドロドロになっていた。
出演者らがTwitterで流した事前情報を見て、長靴で来ていたお客さんも見受けられたが、多くは普通の靴で足元がドロドロになってしまっていた。靴の中がジメジメして、泥跳ねでズボンが否応なしに汚れていくというのは、想像しただけでも嫌な気分になるはず。
実は大阪の町会議は、今年に限らず5回中4回が雨と、雨の神様に非常に好かれている(ひょっとして大阪が「水都」をうたうせい?)。しかし、過去の会場であった湊町リバープレイスや中之島公園は、まだ地面がコンクリートのところが中心だったので耐えられたが、地面が泥なのは……。正直、筆者も何度も心が折れかけた。過去6年の全会場と比較しても、2014年の愛媛県宇和島市、2016年の富山県南砺市などと並んで、間違いなく3本の指に入る過酷回といえるだろう。
しかし、現地が「負け組」でネットで見ていた人たちが「勝ち組」かというと、案外そうではない。
11月3日の「ニコニコ超パーティー」にも出演する有名ユーザーたちのパフォーマンスを本当に間近で楽しめるし、なんなら握手したり会話することも可能だ。直接会えることで、ネットで見ていた彼ら・彼女らのよさを改めて実感できるのだ。さらに吉本のお笑い、NMBのバラエティーステージなどが開催されるなど、見どころが多すぎてとにかく楽しい。
そうした素晴らしい出し物を、大人になったらなかなかないずぶ濡れ・泥だらけになりながら体験するというのは、非日常的で逆に思い出に残ることだろう。筆者も過去6年間の町会議をほとんど取材してきたが、強く印象に残っているのはそうした「つら楽しい」会場だ。ロックフェスなどと同様に、逆境だからこそ逆に「伝説」と呼ぶべき興奮がそこで生まれるのだ。
本場の笑いステージで体も心も温まる!?
そんな会場の逆境を吹き飛ばす熱気の一端を作っていたのが、吉本芸人の皆さんとNMBのメンバーたちだった。
たとえば、メインステージの「かまいたちに続け!! 発掘ナニワのNEXT 笑キング」コーナーでは、「桜」の稲垣早希さんをMCに迎え、「マユリカ」「もみちゃんズ」「ニッポンの社長」「蛙亭」の4組の芸人がキレッキレの持ちネタを披露していた。
この10月に「キングオブコント2017」で10代目キングに輝いた「かまいたち」に続く若手を探せというコンセプトで、実際にかまいたちもCDショップのコントを披露。お客役の濱家隆一さんがタイトルがわからないけどメロディーからCDを探したいと、店長役の山内健司さんに相談して、山内さんが濱家さんの制止をものともせずひたすらフル尺で歌を歌い上げながら対応するという不条理ネタで観客を大いに沸かせていた。
生放送でのアンケート投票を受けて、4組で優勝したのはマユリカ。落ち込んでいる女の子を慰めるというシチュエーションで、慰め役となった阪本さんのサイコパスっぷり(?)が衝撃を与えたことに加えて、中谷さんが生放送のコメントで「HIKAKINに似てる」と人気を集めていた。
ちなみに今回の来場者は、地元のお祭り「大阪文化芸術フェス2017」との合算で2万1000人、ネットの累計視聴者数は19万7800人とのこと。あのハードな現場で多くの方々を迎えて、大成功させた出演者、運営・ボランティアスタッフのみなさんには、「グッジョブ」という言葉しか出てこない。
運営といえば、今年の名古屋会場を最後に、6年間ずっと町会議を担当して来た長谷川プロデューサーが別部署に異動になった。運営側のスタッフも出演者も徐々に入れ替わっており、時代の流れを非常に感じさせる。
しかし、いまだに町会議自体は独特のパワーを放っている。今回の生放送のエンディングでも、「おわってほしくない」「涙が出て来た」というコメントが出ていたように、ファンを惹きつけてやまない。
筆者が現地で心に響くのは、「niconicoが自分たちの地元に来てくれて本当にうれしい」という若者の素朴な喜びが伝わってくることだ。その熱気は筆者が取材を始めた6年前からどの会場でも同じで、またその笑顔が見たくなって町会議に来てしまう。このピュアな「ニコニコ」が生まれる場はなかなか貴重だ。来年以降、もし自分が住む場所の近くで町会議が開催されたら、ぜひ現地を訪れて実感してみよう。
(次ページでは出演者の秘蔵ショットをお届け!)
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります