ポータブル機でも扱いやすくなった
リッケ HD 660 Sに関して、もうひとつ言っておきたいのは「オーディオファイル(のニーズ)に対して、フレキシブルであること」ですね。インピーダンスが150Ωと半分になったので、Astell&Kern、ソニー、Acoustic Researchといった、ハイエンドのポータブルプレーヤーと組み合わせやすくなっています。ここは大きな変更点で、300ΩあるHD 800などと比べて、格段に使いやすくなっていると思います。
── 音質傾向が異なるとのことですが、HD 650は併売しますか?
リッケ いいえ。ディスコンになります。音質傾向の違いについて話しましたが、ここで補足したいのは「HD 650 S」ではなく、HD 660 Sという名称にしたのはまったく異なるヘッドフォンだと認識しているからです。ドライバーを新規に開発した大きな理由も、このサウンドキャラクターの改善のためです。
── バランス駆動用の同梱ケーブルに、4.4mm5極端子(ペンタコン端子)が追加されました。ウォークマンが採用していますが、ドイツでも人気がありますか?
リッケ はい。ウォークマンは、日本同様ドイツでも人気がありますよ。ペンタコン端子の採用は日本、韓国、中国といった、アジア諸国向けという意味合いが強いですが、欧米でも徐々に関心が高まっています。
── 開発時のリファレンスにしているプレーヤーやアンプについて教えてください。
リッケ 製品によって異なりますが、オーバーヘッドタイプは、やはり「HDV820」アンプとなります。ポータブルタイプではAcoustic ResearchとAstell&Kernです。
IE 800 Sは日本向けのチューニング
── IE 800 Sについてお伺いします。この製品の音質は日本市場向けにチューニングしたと言っていましたが。
リッケ はい。これが日本で発表会を開いた理由でもあるのですが、正直に言うと、このカテゴリーの製品は、北米ではあまり動かないんですよね。日本は規模が大きいですし、牽引のキーになるマーケットだと思っています。そのため、日本の趣向に合ったリニアで、ベースを少し控えめにしたチューニングとしています。
── 日本からのフィードバックは上がっていますか?
リッケ ローンチしてまだ間もないため、あまり収集できていないのですが、直接話を聞いた人がひとりいます。彼は「とてもいいし、今年1番のヘッドフォンじゃないか」と言ってくれました。いずれにしても、フィードバックはもっともっと集めていきたいですね
── 従来機種のIE 800はとてもいいヘッドフォンでした。クリアーかつ高解像度で。
リッケ ありがとうございます。私自身の意見では、IE 800 Sでは付属品としてComplyのイヤーフォームを付けた点が特に重要なんじゃないかと。多くのイヤフォンでうまく装着できずに本来の性能が発揮できないというのが課題になっているんですね。耳にフィットするし、音質面でも快適性の面でも改善できると思います。マットブラックのハウジングも評判がいいですね。
── マットブラックは、プレミアムな質感ですね。小型である点もいいです。最後に読者に対して一言をお願いします。
リッケ 日本の皆さん、こんにちは。マニュエル・リッケです。ゼンハイザーで、プロダクトマネージャーをしています。今回は新製品IE 800 S、IE 80 S、HD 660 Sを紹介します。東京にこれてハッピーです。ありがとうございました。
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