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攻殻機動隊っぽい光学迷彩からARアートまで目白押し

影がつくり出すアートとVRの融合がスゴイ!その意外な仕組みとは

2017年11月02日 11時00分更新

編集部 VRでの作品というと、VRヘッドセットを被って、VRで何かを「見る」モノが一般的だと思うのですが、なぜこのような作品をつくられたのですか。

坪倉 私は1年で12会場くらい、海外でも中国、韓国6会場ほどで開催されている「魔法の美術館」という企画展にて、作品を多く展示しています。美術館だと、いろんな人が作品を展示していますが、作品が似通ってくるんですよね。なんか違うテイストの作品を出したいと思っていました。

 そこで、美術館に置いた時に面白いモノは何だろうと考えたのですが、美術館ってみんな白い展示台に載っていて見るモノが多いんです。そこで、白い展示台の上に何かしらが載っているのが当たり前ならその逆で、展示台はあるのに、「展示されている作品がない」作品をつくったら面白いんじゃないだろうか、といったところから「不可視彫像」という作品のアイディアが生まれ、そこから観覧する作品を増やして、今回の「不可視美術館」という形で展示させて貰っています。

メディアアーティストの坪倉輝明氏

編集部 影の演出は最初から考えていたのですか?

坪倉 7年ぐらい前に同じように懐中電灯を使って影を探し、触れると何かしらの立方体が転がり、掴み上げると持ち上げた際の影ができるという「シャドウタッチ」という作品をつくりました。今回は、そのノウハウを元に、今の技術で懐中電灯と影を使ったインタラクティブな作品をつくろうと考え、このスタイルに行きつきました。

編集部 そうした演出を可能にするため、すべて3Dデータでつくられているのですか。

坪倉 そうですね、部屋のサイズや展示台の位置、サイズなどを計測し、3Dの中でも同じ空間を制作します。シミュレーションに近いんですが、プロジェクターの位置や角度、投射角、レンズシフトがどれぐらいかかっているか、壁、額の位置などもすべて合わせて、(現実空間と)同じ状態をつくっていくんです。そこから、VIVEのトラッキングシステム「Lighthouse」によって、コントローラーを搭載した「懐中電灯」の位置をトラッキングし、3D空間のその位置に光源を置きます。そうすることにより、その懐中電灯の位置から光を当てた際に、どう影ができるかシミュレーションし、その影を最終的にプロジェクター1台で(現実空間に)再現しています。

 すべてをシミュレーションしているため、先ほどご覧になって頂いたように、懐中電灯を使って彫像に触れると当たり判定があり、影が転がる現象をつくれるんです。

VIVEを被って見ると、どんな彫像が隠れていたのかを確認できる

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