損金として算入できない「使途不明金」が生じやすいのはどういった時なのでしょうか?
使途不明金を発生させないためのコツをご紹介します。
使途不明金とは
「使途不明金」とは、「支出額や支払先がわかっているものの、支出目的が不明なもの」を言います。
具体的には接待交際費、機密費等で金銭による支出をともなうものであり、支出内容が不明なものです。使途不明金は会社として負担すべきものかどうか、会社の事業と関係があるかどうかも含めて支出目的が不明確なため、会計処理では支払手数料等で処理しますが、税務上は損金として認められないものです。
なお、使途不明金に似たものとして「使途秘匿金」があります。
「支出先の氏名または名称がわからない」「住所または所在地がわからない」「支出した理由がわからない」場合に使途秘匿金とされ、支出先等の記録を一切残さないことから違法性が高いため、税務上損金算入されないだけでなく、支出した金額に対して別途 40%の法人税の負担が生じ、課税所得が赤字の会社であっても法人税を納める必要があります。
使途不明金が発生しやすいのはどんな時?
使途不明金は、取引先等の関係で領収書が発行できない場合、領収書の紛失、記録漏れ等により支出目的が不明の際に発生します。
使途不明金を発生させないためのコツ
上記使途不明金の発生に対応し、使途不明金を発生させないためのコツを記載します。
(1)取引先等の関係で領収書が発行できない場合
取引先等の関係で領収書が発行できない場合は、取引先関係を維持するために仕方ないところもありますが、取引を隠ぺいし決算操作をしようとする会社とはなるべく取引をしないことが必要です。
(2)領収書の紛失
領収書の紛失は、発生日付順、仕訳順等で仕訳等に関連させて書類を整理して厳重に管理すれば防ぐことができます。
(3)記録漏れ
仕訳を記帳する際に、特殊な取引や取引先等の取引は、支出目的を摘要欄に記載することを心がけましょう。
福留 聡(ふくどめ さとし))
公認会計士・米国公認会計士・税理士・米国税理士 福留聡事務所代表
「慶應義塾大学商学部卒。監査法人トーマツ、あずさ監査法人勤務後、独立。主に上場企業の決算支援、IFRS導入支援、国際税務などを得意としている。著書に『7つのステップでわかる 税効果会計実務入門』(2014年10月税務経理協会)、『公認会計士・税理士・米国公認会計士・米国税理士 資格取得・就職・転職・開業ガイドブック』(2014年11月税務経理協会)、『経理業務を標準化する ワークシート活用ガイド』(共著、2013年10月、中央経済社)。また、(社)日本士業協会よりIFRS、日米税務等DVD36巻を刊行している。
※本記事は「ROBOTPAYMENT公式ブログ」に掲載されたものを転載しております。
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