セキュリティカンファレンス「Black Hat Europa 2017」のサイトにて、10月15日(現地時間)、無線LANの暗号化方式の規格「WPA2」に脆弱性が発見されたと報告され、ネットを中心に話題になった(報告はこちら)。
報告主は、ルーヴェン・カトリック大学でネットワークプロトコルなどを研究しているMathy Vanhoef氏。同月16日に詳細が公開されたこの脆弱性は、「KRACK」と呼ばれている。
シマンテックは10月16日、公式ブログでKRACKに対する基礎知識を解説する記事「KRACK: Wi-Fi 暗号化で見つかった新しい脆弱性についての基礎知識」を公開した。こちらを参考に、KRACKの概要と対策を紹介する。
「KRACK」とはKey Reinstallation AttaCKの略。この脆弱性の悪用に成功すると、攻撃者は Wi-Fiネットワーク上で送信されるデータを傍受し、盗み取れるようになる。場合によっては、ウェブページを改ざんしたり、マルウェアを拡散したりするなど、インジェクションによって送信中のデータを操作できる恐れもあるという。
具体的にはどのような対策ができるのか。まず、Wi-Fiを使用している場合は、Wi-Fi対応機器にパッチを適用する必要がある。Wi-Fiのパスワードを変更しても、攻撃を防ぐことはできない。
パッチが公開されるまでの対策はどうしたら良いのか。当面の対策としてはVPN(Virtual Private Network、仮想プライベートネットワーク)を使い、ウェブトラフィックに暗号化を追加して傍受を防ぐ方法がある。
また、HTTPS対応のウェブサイトだけを使うようにすれば、ウェブトラフィックはSSLで暗号化されるので、傍受に対するそなえになる。ただ、この対策で効果が期待できるのは、「HTTPSがウェブサイトで適切に設定されている場合に限られる」とVanhoef氏は述べている。
なお、シマンテックの報告によれば「攻撃者が実際にこの脆弱性の悪用を試みたという報告は、今のところまだありません。とは言え、新たに発見された脆弱性の常として、攻撃が確認されるのは時間の問題です」としている。
ちなみに、セキュリティーベンダーとしては、トレンドマイクロも公式ブログでKRACKの解説記事を公開している。
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