── それぞれについて簡単に教えていただけますか?
片岡 「武術魔法系には『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』『ゼロから始める魔法の書』『ソード・オラトリア』『終末何してますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』『武装少女マキャヴェリズム』の5作品が入ります。
萌え系のグループにも入れているのですが、武装少女マキャヴェリズムは、このグループの中で唯一、舞台設定がファンタジーではなく学園です。ファンの人たちはバトル要素が強い作品として、受け取っていることになります。なお縦軸はリフト値4.0を上限にとっていますが、これはすごく高い数字です。
萌え系は『ひなこのーと』『エロマンガ先生』『フレームアームズ・ガール』『つぐもも」。これに『武装少女マキャヴェリズム』を加えた5作品です。リフト値が高くて、接触率はそんなでもないという傾向があります。武装魔法系と比べると、リフト値は変わらないけれど、接触率が少し左に寄っています。
グラフで注目してほしいのは、武装少女マキャヴェリズムです。武術魔法系が好きな人はみな“萌”が好きだけど、“萌”が好きでも“バトル”が好きではない場合もあるのでしょう」
── ダークファンタジー系についてはいかがですか?
片岡 「ここは『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』と『ベルセルク』の2作品だけです。遠く離れてぽつんと右上にプロットされていて、明らかに同じファン層の作品なんだなと分かります。この2作品を見る人が、サブ作品として選んでいるのが、『アトム ザ・ビギニング』や『クロックワーク・プラネット』、『ID-O』ですが、いずれも分かりやすい日常ドラマではなく非日常、バトル要素があり、未来や宇宙など架空の世界を舞台にしたものという共通点があります」
── Twitter分析に関してはいかがでしょう?
中村 「まず“人気作品型”“話題先行型”“がっつり視聴型”の3つに分類し、スタッフや放送時間、キャスト、原作の有無、シリーズ構成・監督、共通するキャストなどの情報を加味して分析しています」
── それぞれの分類について教えてください。
中村 「前提としては“萌度”が高いとTwitterが盛り上がる傾向が強いですね。次に共感できるキャラクターがいるかどうかというのもポイントです。
人気作品型について、Tweetランクの筆頭は『エロマンガ先生』でしたが、上位は『僕のヒーローアカデミア』『冴えない彼女の育て方』『ロクでなし魔術講師と禁忌経典』『ゼロから始める魔法の書』などです。ラノベ原作・キャラ萌えの作品のTweet数が多くて、視聴ランクが高い傾向が出ました。アニメファンのコアはここだと言えそうですね」
── 人気作品型は視聴ランクもTweetランクも高い作品ですが、片方に寄っている作品の傾向はいかがですか?
中村 「話題先行型は、クールによっても全然違いますが、リアル世界もので、物語がどうなるかが気になり、加えて軽い萌の要素があるものですね。共通項はコメディー要素が高く、ツッコミを入れやすい、原作がなく、物語自体の先が気になり、予想できる要素があるものです。声優やスタッフなどの共通項はあまりありません。『スタミュ』だけが女性向けでした。
がっつり視聴型は『ベルセルク』『夏目友人帳』などで、作品の性格はあまり関係ないようです。オリジナルアニメはゼロで、漫画原作が5つあります。知っているから、つぶやかないけど、視聴はされている人気作品です。内容自体を楽しむのが共通項。一見盛り上がっていないように見えますが、悲観してはいけません。Tweetを伸ばすのであれば、仮に原作があっても、違う要素を入れるなど、多少のフックが必要かもしれませんね」
片岡 「個別作品で見ると、『Re:CREATORS』は、総集編でTwitterが一気に盛り上がりました。これは、メテオラが自分が戦う場面の歴史を書き換えたり、自分のキャラのみスタイルを抜群にしたり、放送に合わせて公式サイトの情報も修正したりとか、制作側もグルになった仕掛けによってバズらせようとしたためです。実際Tweet数も伸びているのですが、予約率と再生率は下がっていて、総集編だからと止めてしまった人が多かったようです。番組名や説明に、“単なる総集編ではない”といった情報を入れたら変わったかもしれません」
中村 「エロマンガ先生では、第8話、12話は、原作者オリジナル脚本回で盛り上がっていましたね。主演・松岡禎丞さんご本人による、キリト(ソードアート・オンライン)の登場など、実作品のパロディーもブレイクしました。また『銀魂』や『三月のライオン』では、アニメと実写映画をつなぐプロモーションがあり、小栗旬さんら、実写キャストによるアニメのアテレコが話題になっていましたね。そういう架け橋の効果として現れていました。
共通して言えるのは、温泉会や水着回、浴衣などは分かりやすく盛り上がりますね。話題のしやすさもあり、ライブ視聴が増える傾向です。女性視点で見た場合、魅力的なキャラクターがいる作品はイベントや声優ライブなどが多く、Tweetが盛り上がるきっかけになります。女性は妄想を膨らませて、自分好みに表現し、共感する人達によって拡散され、それがまた新たな妄想を生み出していく様子が見られますが、ポイントは“妄想する余地があるかどうか”だと思います。Pixivなどをみていても、魅力的な人物やキャラクターがいる作品は話題が長く続く傾向があるようです」
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