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アニメ「第1話切り」の実態も“見える化”

レグザ視聴データとTwitter比較で見えた「アニメ視聴スタイル」

2017年10月22日 12時00分更新

5つのグループに分類してみた

── 同人誌では、このデータを元に、作品のグループ分けがされています。

片岡 「冬アニメ40作品、春アニメ38作品のうち、自分自身を除いた39作品/37作品の作品固有ファン層分布を紙に出力して、配置と大きさを俯瞰的に調べてみました。直感を刺激しながら、自分が似ている作品だなと思うものを並べ、その似方を考えてみたんですね。結果、顕著なパターンがいくつかあるのが分かりました。コツコツと試行錯誤しながら、“この作品が好きな人”は“何が好きなんだろう”と個別に掘り下げた結果です。なかなかの自信作になりました」

── 親和性の高い作品がより明確になったということですね。

片岡 「はい。同人誌のほうでは、リフト値が高くて、接触率が高いものに黒矢印を入れています。作品それぞれのグラフを見比べていくと面白いんですが、“常に近い場所にいる作品”と“付いたり離れたりする作品”があるのが分かります。前者は同じグループに入り、後者はサブというか、ついでに見るような作品になります。

 まずはお互いが右上にプロットされているのを探す。メイングループを見つけて、サブとしてそういう作品も入るよね……と、メインとサブの優劣を付けたら傾向が分かりやすくなりました。具体的に言うと、“武術魔法系”“萌え系”“ダークファンタジー系”などですね。このグルーピング作業ははやっていて面白かったです」

リフト値とは?

 “リフト値”とは簡単に言えば、作品の親和性を示す指標だ。作品Aと作品Bの親和性が高いか低いかを見てみよう。

 まず特定の「作品A」を最後まで観た人の集合と、(作品を問わず)大人アニメのいずれかを最後まで観た人の集合を作る。前者は作品Aのファン。後者は大人アニメのファンで、15万台稼働しているレグザのうち、大人アニメを好きな人がどのぐらいいるかの目安になる。「最後まで観た」の定義は「最終4話のうち3話は観た」だ。

 次に接触率に注目する。作品Aのファンに絞った場合、「作品B」の接触率がどのぐらいになるかを算出する。同時に深夜アニメファン全体に絞った場合の「作品B」の接触率も算出して、その差を比べる。

 つまり【リフト値】=【作品Aのファン集合における作品Bの接触率】÷【大人アニメファンの全体集合における作品Bの接触率】だ。

 このリフト値が1よりも大きければ「親和性が高い」作品、1よりも小さければ「親和性が低い」作品となる。

 たとえば、三月のライオンを最後まで見た人の集合に限定して『昭和元禄落語心中』の接触率を調べると、大人アニメファン全体の集合よりも1.65倍数値が大きいことが分かった。この「〇〇倍大きい」がリフト値になる。

 お分かりいただけただろうか?

 三月のライオンを最後まで見た人に絞って、昭和元禄落語心中の接触率を調べてみると22%ほどだった。一方、機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズや青の祓魔師は、25~30%を超していた。一見するとオルフェンズ/青の祓魔師のほうが親和性が高そうに見えるが、そうではない。

 三月のライオンを基準としたオルフェンズ/青の祓魔師のリフト値はともに1.0前後だった。つまりこの2作品は、三月のライオンのファンだけでなく、大人アニメファンならとりあえず押さえていた作品だったということだ。

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