3月のライオンが好きな人は、どんな作品が好き?
── 毎回新しい分析を取り入れられていますが、「2017年冬アニメ」(1~3月期)、「2017年春アニメ」(4~6月期)の調査では何を新しくしましたか?
片岡 「前回、2016年秋アニメの調査で、“ファン層分析”を入れたのですが、ちょっと原始的過ぎたので、そこをきちんとやりたいなと思ったのがひとつ。もうひとつは“Twitter分析”をより深く掘り下げたことですね。
── ファン層分析は、どの作品とどの作品を一緒に観たか(併視聴)に注目して、近い趣向の作品を見つける試みでしたね。
片岡 「はい。前回の調査では、上位20作品の“ファン層分析”を実施しました。横軸に全体の接触率を置き、縦軸にその作品を見たユーザーに限定した接触率を置く。(全体の接触率よりグループ内での接触率が高いので)左上にいけば行くほど、関係性が高いものになるだろうと考えました」
── 理屈としては合っていたと思います。何が問題だったのでしょうか?
片岡 TimeOnブログでは今回から“作品固有ファン層分布”というデータを示しています。そもそもこういう分析をしようと思ったのは、グラフを見ていろいろ比較していたとき、直感的には『この作品とこの作品は“傾向が似ている』と感じるのに、グラフに置いてみると、必ずしもそういう結果にならなかったからです」
たとえば“ガンダム”シリーズのように、アニメファンならとりあえず誰でも見るような“人気作品”をどう扱うのかについて議論がありました。こういう作品の接触率は、全体として高くなるので、別の作品と一緒に観ていたとしても趣向が近いことにはならないのでは? ということですね」
── なるほど。どの作品にも同じ作品が出てきて、差が付かないわけですね。
片岡 「そこで導入したのが“リフト値”(囲み)の概念です。接触率が“量的に大きいか”を単純に見るのではなく、“それぞれの番組の接触率がどれくらい多いか少ないかについて、深夜アニメファン全体と、この番組のファンを比較したもの”を指標にしたんですね。
作品固有ファン層分布として、グラフの構成を、横軸:ある作品を見たグループ内での接触率(併接触率)、縦軸:リフト値にして、大人アニメファン全体での接触率は円の大きさで示すようにしたんです。右に行くほど、一緒に見た人が多い作品ですが、結果を見ると、円は大きい(全体での接触率は高い)けど、下に行ってしまう(リフト値は低い)作品が出てきました」
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