パナソニックは10月12日、同社ミラーレス一眼「LUMIX GH5」による4K HDR撮影の説明」および視聴会を開催した。
GH5は今年1月に発表され、3月末に発売された同社ミラーレス一眼のフラッグシップモデル。現在のボディーのみの実売価格は23万5000円前後だ。
ミラーレス一眼としては初となる4K60pの記録や、デジタル一眼で初となる4:2:2 10bit記録ができる動画撮影機能が話題となった。
発売後、その人気は高く、特に海外では計画以上の生産・販売台数となっているという。
そんなGH5が去る9月27日、本体のバージョンアップを実施。民生用デジカメとして初めて4K HDRの記録に対応した。
ついに実現したデジカメでの4K HDR撮影
HDRは「High Dynamic Range」の略で、文字通りダイナミックレンジを広げる技術。現在、テレビなどの放送で使われることが多い「HLG」(Hybrid Log Gamma)と、Blu-rayなどで利用されている「PQ」(Preceptual Quantizer)と呼ばれる2方式がITU(国際電気通信連合)の標準化規格として制定されている。
今回GH5が対応したのはHLG方式で、10bitで記録するすべてのモード(圧縮方式、アスペクト比)でHLG記録が可能だ。
なお、HDRは10bit幅がなければ実力を発揮できない、ということで10bit記録ができることが重要だという。
4K HDR記録は低圧縮のALL-Intra方式でも記録が可能。ALL-Intraは、いわゆるMotionJPEGのような圧縮方式で、ほかのフレームを参照して圧縮せず、ほぼ1枚絵として記録されるため編集作業時にあまり大きな負荷がかからないが、一方でビットレートは最大で400Mbpsにもなり、その映像をテレビなどで再生することはできない。
より高い圧縮率のLongGOP方式でも記録が可能だが、それでも4K HDRでは150Mbpsとなり、やはりテレビなどでの再生は難しい。
そこで、GH5はUltra HD Blu-rayなどにも採用されている最新映像コーデック「HEVC」(H.265)での記録に対応。LongGOP方式となるが、ビットレートは72Mbpsとなり、100Mbps以下に抑えられる。
そして、同社の大画面テレビ「ビエラ」の2017年モデル(EZ1000/EZ950/EX850/EX780/EX750/EX600)であれば、GH5の4K HDR映像(HEVC)を再生可能だ。
本体モニターはHDR非対応だが
2つのモードを切り替えてHDR映像を確認できる
HDRでの記録が可能になったGH5だが、本体のモニターやEVFはHDR表示に対応していない。正確に色味などを確認するならHDRに対応した外部モニターなどを使わなければならないが、本体のモニター/EVFでもある程度確認できるように2つの表示方式を搭載している。
1つはSDRのレンジにHDRを圧縮して表示する方式。被写体が暗く表示されるが高輝度領域は飛ばない。
もう1つは中間輝度を優先する方式。被写体の明るさは適正となるが高輝度域は飛んでしまう。
この2つのモードを切り替えて確認することで、本体モニター/EVFでもHDRの画質を確認できるようになっている。
より高解像度撮影が可能になったアナモフィックモード
このほか、最新ファームウェアを適用することで、高解像度(4992×3744)のアナモフィックモードの撮影が可能となった。
アナモフィックとは、映画などで使われるアナモフィックレンズを使用した撮影技法。ワイドスクリーンの映像を35mmのフレームに収めるため、特殊なレンズで半分の幅で記録。上映時は引き延ばして表示する。
アナモフィックモード自体は前からあったのだが、解像度は3328×2496だった。
しかし新ファームウェアでは、6K(6000×3000)解像度の写真を秒間30コマ記録できる「6K PHOTO」機能を応用することで高解像度記録を可能とした。
さらに従来のアナモフィックモードにおいても、新ファームウェアを提供することでALL-Intra記録が可能になった。
PCでのリモート撮影用ソフトも用意
GH5本体とは別の話だが、同社はファームウェア公開のタイミングで「LUMIX Tether Ver.1.0」というソフトウェア(Windows/Mac用)も公開した。無償でダウンロード可能だがGH5の製造番号が必要となる。
これはGH5とUSB接続をしたPC上からリモート撮影が行なえるソフトで、PC上でさまざまな設定変更が可能。スタジオ撮影などでPCの大きな画面でライブビューを確認しながら撮影が可能だ。
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