10月3日から6日まで幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2017」には、大企業だけでなく、町の小さな企業やスタートアップ企業といった「うちの技術、製品、サービスをいろんな人に見てもらいたい」という熱意溢れる中小企業もたくさん出展している。今回はその中から、東京都や東京都中小企業振興公社などが連携した中小企業世界発信プロジェクト推進協議会がサポートする「中小企業世界発信プロジェクト2020」のパビリオンを紹介しよう。
小型のAIロボットがお出迎え
株式会社ハタプロのフクロウ型小型ロボット「ZUKKU」は、IoT専用SIMカードを搭載し、顔認証によりお客さんの年齢や性別、感情を判断。クラウドへ接続して情報を取得しディスプレーに商品情報を表示さたり、簡単なアンケートを実施したりといったことが可能。来店者情報もログに残せるなど、さまざまな用途に活用できるロボットだ。手のひらサイズなので設置もしやすく、現在NTTドコモのジョイントベンチャーと組んで、IoTプロダクトの企画支援、試作・量産製造や商品化コンサルティングなどを行なっている。
顔認証による広告モデルは、株式会社アーツエイハンも手掛けており、年齢や性別はもちろん、注目時間や気分の認識、服の色、見ている方向といった情報を取得。Androidの端末やセットトップボックス、筐体一体型などのデジタルサイネージの提供を行なっている。最近は、デジタルサイネージなどのディスプレー広告にどのくらい注目しているか、どの程度人通りがあるのかという情報にニーズがあるという。そういった需要に対応したシステムを安価に構築できるのが特徴だ。
ほかにも、広告動画制作を安価に請け負う、株式会社サムシングファンも出展。文化放送と組んでラジオ番組に出演とプロモーションムービー制作を合わせた企画も行なっている。
動きを認識してレッスンも
ARとモーションセンシングによるトレーニングシステム「ARC Mirror」を開発したFunLifee株式会社は、ミラーに映る自分の姿と同時にインストラクターの姿が映し出され、トレーナーの指示に従って運動したりダンスしたりといった動きがきちんとトレースできているのかを、センシング技術で判断。画像認識ではなく3次元的に動きを認識しているので、きちんと体を動かさないとだめ。マッチョな人がパビリオンの受け付け横にいるのでぜひ体験してみてほしい。
画像認識では株式会社フューチャースタンダードが、いくつかの画像認識アルゴリズムを安価に提供するプラットフォーム「SCORER」を立ち上げ、年内にはクラウド上で操作解析できるサービスの提供を目指している。「画像認識で何ができるか」と聞かれることが多いそうだが、「こういうことをしたいけど画像認識でなんとかできるか」と相談すると可否を含めいろいろ提案できるとのこと。交通量調査や屋外広告の効果、施設での監視など、幅広い分野でのソリューションを提供できるとしている。
株式会社SELTECHでは、人感や温度・湿度といった各種センサーを利用し、そこから得られる情報を元に、行動の先回りをするAIシステムを開発中。たとえば、朝起きたときに、人の動きを感知し自動的にカーテンを開けるとか、電気を点けたり消したりなど、行動の先読みをして実行してくれる。現在社員がセンサー類を備えた家に住み、情報の蓄積をしているとのこと。今後が楽しみだ。
光をコントロールして演出
面白いところでは、パイフォトニクス株式会社の提供するホロライトは一見の価値あり。指向性の高いLED光により、直線や虹、円形といった目的に合わせた形状の光を照射できる。逗子海岸で波に照射し青い幻想的な波を演出するなど、観光資源として、また工場で危険な場所を明示するといった使い方も可能で、実用からアートまで活躍している。
株式会社新栄スクリーンでは、高機能スクリーン印刷により、2種類のLED光源に対し違う絵柄や文字を表示させる「可変表示機」を展示。安価に文字表示の切り替えを可能にする。
顔でも指紋でもなく、音声認証するシステムを開発しているのが株式会社アンサム。千葉大学との共同研究で、登録した音声と一致した人のみ認証されるというもので、たとえば、ICカードの使いまわしの防止などに役立つという。実用的かどうかはともかく、ユニークな取り組みといえよう。
まだあるさまざま技術やサービス
ほかにも、SIシナジーテクノロジー株式会社の、LAN回線を利用した放送システムは、遠隔地から複数の場所へ同時放送でき、システムはハードウェア化しているので電源が落ちても壊れることなく、電源が復活すればすぐ復旧するなど、災害時のインフラとしても活躍。
小型のサーマルカメラとリアルタイム配信する通信システムにより、作業現場での安全を確保するインフィニテグラ株式会社。
サテライトオフィスや賃貸住宅などに最適なネットワークセキュリティを提供するパソコンサポート株式会社。UTM(Unified Threat Management・統合脅威管理)でネットワークの入り口でまとめてセキュリティ管理することで、社内全体を守ってくれる。公式キャラクターパソサポちゃんのコスプレでお出迎え。
東京高専と秦興物産株式会社の共同開発で、電気量を非接触・無給電で計測するIoTデバイスは、電気のコードにクランプ型のセンサーをかますだけで、流れる電流により発生する磁束を読み取りつつ、微小電力として計測機器を動作させるという画期的なもの。
セールスワン株式会社では、各種センサー、RFID、IP-Phoneなどが感知した情報をクラウドへ投げ、それに対してコメントを点けたり指示を出したりが可能なシステム「StempFlow」を展示。たとえばガスボンベの残量を検知し、残量がないことを通知、それに対して指示を出し対応したことを報告できるシステム。
ジーデバイス株式会社の展示は、米粒より小さいセラミックで覆われた振動センサー。中に小さい球が入っており、それが動いたり跳ねたりする動きを感知する。電気をほとんど使わず、高感度なため、ソフトウェアで読み取り情報を加工し活用できる。
株式会社ビッツは、tokyobikeと自転車レンタルシステムを共同開発。クラウド経由で予約を受付け、効率よく管理できる。ほかにも、このシステムを使いベーススポーツシステムのレンタルやレストランの予約なども開発可能。
加速度センサーを内蔵したケースを身に着けることで、移動した場所を計測するサイトセンシング株式会社のシステム。GPSの効かない室内で利用可能。ビーコンと組み合わせて精度も上げられるが、たとえば原発で放射線量の高い範囲にどのくらい入室しているか、ということを読み取るといった使い方ができる。
株式会社M2モビリティーでは、Apple Homekitに対応した、サムターンの自動施錠システムを展示。Siriに「鍵がかかっている?」と聞くと状態がわかったり、タップ1つで施錠したりが可能。
インフラの老朽化はかなり深刻な問題。ドローンを使った高精度・低コストのインフラ点検を可能にする地域エネルギー株式会社のシステム。人間の目視より正確かつ高速で判断でき、効率よく老朽化の判断が可能に。
フィット・デザイン・システムの指静脈認証システム。認証制度/他人拒否率は0.0001%という高い保証レベルを実現。
以上、中小企業世界発信プロジェクト2020は4ホールの入口近くにあるので、CEATECへ訪れた際にぜひ足を運んでみよう。
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