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DTMを自在に使いこなす桃井はること、ショルキーの深い関係

2017年10月10日 18時00分更新

ショルダーキーボードに対する熱意

 シンガーソングライターとしての桃井はるこ氏のトレードマークのひとつは、肩から下げて動きながら弾ける「ショルダーキーボード」だろう。

 桃井はるこ氏のキャラクターや音楽性とも深い親和性のある機材だが、話をきけば、単なる機材としてではなく、音楽性を確立させる段階で大きな役割を担う存在だったことがわかる。

ーーショルダーキーボードは、桃井さんのトレードマークのひとつにもなっていますが、その思い入れはどこから来ているんですか。

 「ショルダーキーボードは……昔、ヤマハの『SH-S10』という機種がありまして。それを私は誕生日かクリスマスかに買ってもらったんですね。それで、子どものときから家でよく弾いていたんです。ラジカセに合わせて弾いたりとか。

 中学生くらいになってから、ギターの練習もはじめたんですけど、結局ダメで。手が痛くてうまくいかなかったんですよ(笑)。それで、『私はやっぱりショルダーキーボードがいいな』ってなって」

ーー音楽家としての出発点にもつながっていそうですね。

 「ショルダーキーボードを弾き始める前は、家にピアノがあったので、幼稚園で習ったりした歌を弾いて遊んでいましたね。

 私はなぜか、楽譜がなくても聴いた曲が弾けたんですよ。そうすると、お母さんに褒められるので、うれしくてずっとピアノを弾いていましたね。

 小学校に上がってからは、学校にヤマハのエレクトーンがあったので、『スーパーマリオ』とか、『ドラクエ』とか、ファミコンの曲とかを弾いていましたね。

 ドラクエはまだ楽譜があったんですけど、もっとマニアックな『スペランカー』とかまで弾けたんです。それで、友だちも『なんで弾けるの!?』ってなって(笑)。そのときに、『楽器が弾けると、会話のきっかけになる』『楽器は人と仲良くなる手段になるんだな』って思った記憶があります」

クラビノーバで作曲をしていた

ーーDAWの操作は、また別の能力が必要になりますよね。

 「あるとき、家で『そろそろ、ちゃんとした楽器が必要だね』ってなったんです。それで、ヤマハの『クラビノーバ』を買ってもらったんですね。

 買ってもらったのが、フロッピーが入るモデルで、自分で弾いた音を録音できたんですね。それを重ねて曲のようなものを作ったのが、はじめて作曲に触れた瞬間だと思います」

ーーなるほど、自然な流れでしていたことが、DTMに置き換わったようなイメージですね。

 「そうですね。それから、DAWになってからは、可視化できるのがなにより大きいと思いましたね」

ーーショルダーキーボード以外の機材も集めていたりするんですか?

 「新しい機材を常にチェックしているというよりは、本当にショルダーキーボードが好きで。ショルダーキーボードだけは常にチェックしているんです(笑)」

ーーボーカロイドキーボード「VKB-100」にもご興味があるとか?

 「そう、これは発表された時から注目しています。ショルダーキーボードって、ギターに寄ったデザインになることが多いじゃないですか。

 VKB-100は、デザインも『ショルダーキーボードとしてのノームコア』という感じがしていいですよね。

 つるっとしているから、シールとかでカスタマイズしやすいと思うし。iPhoneカバーみたいにぱかっとかぶせるのもできそう。

「ゆめのばとん」のジャケットでは「SH-S10」 が見られる

 そんな感じで、ショルダーキーボードは、家にもあるし、事務所にも大量に置いてありますね。『KXシリーズ』もありますし、ジャケットの撮影で使ったモデルとかも。

 『ゆめのばとん』のジャケット撮影で使ったのは、ヤマハの『SH-S10』を、外国の人が改造したやつ。ディストーションがかかったような音が出るように改造されているのを、ebayで買いました(笑)。シールド(※1)をさすジャック変わると、ディストーション(※2)の具合が変わるっていう(笑)」

(※1)楽器と、アンプやスピーカーなどの出力装置をつなぐケーブル。(※2)音を歪ませる行為や、歪みを指す言葉。広義には歪みを与えるためのエフェクターなども指す。

海外通販のヘビーユーザー!

ーーその時期、ebayなんてハードルが高かったんじゃないですか?

 「うーん、そうかもしれないですね。私はでも普通に買って、メールのやりとりをして、個人輸入したりしていましたね。

 最近も、海外の通販サイトから買い物をしたり、すごいしてますね。ゲームのTシャツとか、あまり日本には売っていなくて。日本で売っていないスニーカーとか。

 送料が高いから、まとめ買いした方がいいなと思って、Tシャツを色違いで大量に買ったりするんですよ。そうしたら、税関から電話がかかってきて、『大量の輸入がありますが、業者ですか?』って聞かれたこともあります」

ーー(笑)

 「『いやいや、普通に自分で着るんです!』って説明したりとか(笑)。でも、服はいろいろあっても、楽器に関しては日本が一番あるんじゃないですかね。新品、中古、含めて。海外の楽器屋さんとかも色々行きましたけど、日本の楽器店さんくらい色んなものを置いているところは、なかなかないですよ」

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