ファーウェイは5月23日にドイツ・ベルリンで同社としては初のクラムシェル型のモバイルノート「MateBook X」と「MateBook D」を発表した.そして7月4日に日本向けモデルとしてタブレット型2in1の「MateBook E」と13型の「MateBook X」の2機種を発売.オレをヤキモキさせてくたれのだが、ついに15型のDも、9月4日に日本でも発売となったのだ!!
13型の高級モデル「MateBook X」とは違うコンセプト
15型ノートに「スリム+パワー」という新風
13型のMateBook Xはすでに試用レポートを実施したとおり、コアi7/5を搭載しながら、ファンレスを実現し、なおかつ液晶の縦横比率が3対2と、中身も見た目も、さすがファーウェイがPCに挑戦するモデルという派手さがあった.
今回のMateBook Dは、15.6型のフルHD解像度なので、液晶画面は16対9とおなじみのルックスである.しかし、狭額縁でベゼル幅は6.2ミリを実現しており、画面占有率は83%で床面積は14型ノートレベルに抑えられている.ボディはアルミニウムで強度を保持しており、厚みは16.9ミリとスリムである.
ライバルとしては、デルのXPS15やASUSのZenBookProがあげられる.本体サイズを比べると・・・
MateBook D 358×239×16.9ミリ
XPS15 357×235×17ミリ
ZenBook Pro 365×251×18.9ミリ
というわけで、MateBook DとXPS15はほぼ同じサイズである.
今回日本で発売となったのはコアi7-7500に メモリはDDR4の8GB、GPUはGeForce 940MXにストレージは1TBのHDDというスペックだ.海外ではi5やSSDを搭載したモデルもあるのだが、今回は1機種に絞ってきた.
上記のライバル2機種は外部GPUとしてGeForceのGTX1050様を搭載しているのに対し、MateBook Dは940MXを積んでいる.こちらは、2016年頭に発表となったGPUで、初代のSuefaceBookが搭載していたGeForce 940Mの後継モデルで、Maxwellアーキテクチャで、パイプライン数は384ながら、VRAMとしてより高速なGDDR5を使えるのが特徴である.実際MateBook DにはGDDR5のSDRAMが2GB搭載されている.
キーボードはクリック感+静音で好感触
インターフェイスはType-A×3で便利
日本で発売ながら、13型のMateBook Xと異なり、DのほうはUS配列のキーボードをそのまま積んでいるのも特徴である.オレ的には大歓迎で、キーボードも右シフトキーもリターンキーも長くてステキなのである.JIS配列派のみなさんは@を探しそうだが、いまどきキー配列入れ換えソフトはいくらでもあるので、キーの表示と異なるが、いくらでも入れ換えは可能である.
キー配列としてはリターンキーの右側に1列特殊キーが並んでおり、これに慣れるほうが必要である.キーピッチは19ミリで、クリック感もあり、とても打ちやすいうえに静音で好印象である.
タッチパッドは少しざらつきがある表面だが、感度はよく、ボタンのクリック感もいい.ただし、キーボードのホームポジションに対してタッチパッドがやや右にずれているのが気になった.キー配列をセンター中心にするか、タッチパッドを左にずらした方が使いやすいだろう.
電源ボタンはMateBook Xと同様にキーボードの右上にあるが、指紋センサーは内蔵していないのもちょっと残念である.
インターフェイスはUSB3.0のType-A×2に2.0のType-A×1、HDMIにヘッドホンとシンプル.Type-Cがないのがちょっと残念である.
3Dマークは通常モバイルの2倍
バッテリー動作時間も十分
いつもどおり、まずはCinebenchR15でCPU値は367、OpenGLは76となかなかいい値である.
注目の940MXの能力だが、3DMarkのFireStrikeで2178という数値を出した.7500Uのみ搭載のモバイルノートの約2倍の速度である.XPS15やZenBook Pro15はCPUが4コアの7700HQでGTX1050を搭載しており、FireStrikeでは2倍の値を出す.MateBook Dはちょうど間を狙った製品なのである.
ストレージはHDDのみなので、ベンチマークテストをしてもSSDの10分の1程度の速度しか出ない.底板を開けてみたところ、M.2のコネクタが見事にわかりやすい場所にあり、ここに自分でSSDを増設できる.ちなみにメインメモリもスロット型なので、増設可能だ.
試しに、編集部のSSD(M.2/SATA)を差してみたところ、問題なく認識され、ベンチマークテストも同等ドライブと同じ値となった(分解・改造はメーカー保証対象外になりますのでご注意ください).
搭載しているバッテリー容量は43Whとあまり多くないが、いつものBBenchで液晶最大輝度、省エネ設定OFFのいちばんキビシイ設定で3時間30分動作した.軽量タイプの13型モバイルノートとほぼ同じ値なので、不便はないだろう.ACアダプターは20V2Aの40W型で、小型軽量なのでいっしょに持ち歩いても苦にならないだろう.充電速度は、マシンを使用しながら(消費テストと同じ条件)で、50%まで38分、70%まで56分、90%まで75分とMateBook Xより高速で、これは便利だろう.
15型モバイルの新世代モデル
940MX搭載が流行の予感がする
13型モバイルノートは狭額縁化と軽量化の競争が一段落した感じだで、これからは15型も同じく、狭額縁による設置面積の縮小と、軽量化が進む予想である.
MateBook Dは、狭額縁を実現したうえで、あえて上位CPUではなく、モバイルの主流であるUプロセッサーを搭載しつつ、GPUはGeForce 940MXと、渋いところをついたマシンだ.ベンチマークテストの結果のとおり、Uプロセッサーのみのピュアモバイルノートと、4コア+GTXを積んだプレミアムノートのちょうど間の存在となる.
今回日本で発売となったモデルはSSDを搭載していないにしても、このスタイルとこの速度で10万円はとてもお買い得だ.オレ的には第8世代コアと4K液晶を搭載してほしいところだが、10万円で買える魅力は捨てないでほしいのである.
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