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消しゴム0.002ミリの変位も察知!モアレで物体計測を変える4Dセンサー

2017年09月22日 07時00分更新

4Dセンサーの売りは高速性

 技術をいかにビジネスにするかは、大学発ベンチャー永遠の課題と言っていいだろう。需要の点や規模の面などもあるが、生半可な技術だけでは市場を変えるのは大変難しく、だからこそ達成された際のインパクトも大きなものとなる。

 4Dセンサーが売りにしているのは高速性にあるという。柾谷氏いわく、精度の点は他社でも優れているものもあり、また根本的なモアレの特許も大学側に紐づいているため、同社専売というわけでもないという。

 競合も多い状況だが、こと”変形量”を出すものは少なく、その点においてひずみゲージのような既存のモノの代替といった分野や、精密機械での検査市場で同社独自の部分では、一気にグローバルベンチャーになる可能性も秘めている。設立から5年を経た同社のブレイクスルーが楽しみだ。

 現在、同社は役員も入れて13名体制となっている。リアルテックファンドから出資を受け、2年前から人数は倍増しており、研究開発体制を強化している。それまでは、機能の改良も外注に出しており、動きが遅いという悩みがあったそうだ。とは言え、現在でも営業力が足りないと柾谷氏。今後は、売った後のフォロー体制を構築していくという。

 「最近、営業は実験だと思うようにしており、生のデータが得られるとモチベーションが上がっている。毎年正念場とは言っているのですが、この1年は本当に正念場」(柾谷氏)

 研究者らしい、「営業は生データの得られる実験」というキーワードに納得してしまった。モアレの研究から生まれた技術力に裏打ちされた4Dセンサーの製品が、計測市場にインパクトを与える日も近い。

●4Dセンサー株式会社
2012年2月設立。和歌山大学発ベンチャーで、モアレ技術を応用した計測システムを開発・販売している。
資金調達は、テクノロジー系VCや銀行系VC、科学技術振興機構からも出資を受け、多国籍なメンバーで最先端4D技術の社会実装を目指す。
スタッフ数は2017年7月時点で13名。

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