東プレは、都内でメディア向け説明会を開催。静電容量無接点方式を採用したPC用キーボード「REALFORCE」について、2001年の発売以来、初となる大幅リニューアルとなる「R2シリーズ」の4モデル8機種を発表した。
業務用で鍛えられた信頼性と耐久性を持つキーボード
REALFORCEは、圧倒的に軽やかなキータッチで、職業として大量のタイピングを行なう層に“疲れにくく打ちやすい”キーボードとして、非常に根強い人気を誇る。
ただ、東プレという企業において、PC周辺機器はメイン事業というわけではない。主に自動車の部品として用いられるプレス製品が売上の7割を占めており、さらに物流トラックの冷凍装置やコンテナ、空調機器などを製造している。その過程で電子機器にも進出。金融、医療、放送といった業界用にカスタマイズされた特殊な入力装置を納入し、耐久性が重視される分野で実績を積んだのちに、コンシューマー用のPCキーボードとして2001年に発売されたわけだ。
物理的な接点が無く、一定レベルまで押し込めばキー入力を認識する静電容量無接点方式は、シンプルな構造なので信頼性に優れるのが最大の特長。キーも軽く設定されているのと、完全に押し込む必要がないので、ユーザーにとっては疲れにくいという点でも評価が高い。
また、キーの素材はPBT(ポリブチレンテレフタレート樹脂)というプラスチックを用いている。PBTはより一般的なABSと比較して、加工は難しいものの、耐久性や耐熱性に優れ、キーが消えにくい昇華印刷が可能なほか、プラスチック焼けのような変色も起きにくい。実際に若干高価であっても、一度購入すれば数年単位で長く使えるというのもREALFORCEの人気の秘密だ。
静音モデルや入力までの深さを可変にできるモデルなど
4モデル8製品がリリース
この定評があるキースイッチ自体はR2シリーズでも基本的にそのまま継承されているが、キーボード全体では16年の時間のぶんだけ、大きく進化している。
まず、キーピッチが19mmのままでありながら、筐体を省スペース設計にすることにより、16%コンパクト化。また、キー配列を最適化することで(なにしろオリジナルモデルが出た頃はWindowsキーもなかったのだ!)、日本語配列でもスペースキーを80mmと拡大している(従来は47mm)。
また、机の上で滑りやすいという声に応えて、ラバー面積が4倍に拡大。チルトスタンドの底面も柔らかい樹脂素材で同様に滑りにくくなっている。さらにCapsLockなどのインジケータ―LEDの色を7色から選べたり、キーボード内の鉄板部分に防さび加工も施されている。
実際の製品は標準モデル(税抜1万9800円、10月6日発売)、静音モデル(税抜2万1300円、11月上旬発売)、APCモデル(税抜2万2800円、12月上旬発売)、APC+静音モデル(税抜2万4800円、12月上旬発売)の4タイプ。
静音モデルは標準モデルから30%ほどの静音化がなされている。接点がないREALFORCEでは主にキーが戻る際に「カチャ」とした音がするが、キーに緩衝材を加えることでその音が抑えられている。
続いてAPCはActuation Point Changerの略で、キー入力が認識される位置を1.5mm、2.2mm、3mmの深さから、キーごとに変更できるというモデル。昨年発売されたゲーマー向けの「REALFORCE RGB」において初めて導入された機能で、たとえば頻繁に入力するキーを1.5mmにして素早く入力することが可能。さらにキーの下に敷くことでキーストロークを短くできる、2mm厚と3mm厚のスペーサーも同梱されており、APC機能と組み合わせることでさらに高速なキー入力が可能となる。
それぞれのモデルにはアイボリーとブラックの2色を用意。アイボリーはキーが30/45/55gの変荷重タイプ(ホームポジションから遠いキーなどが軽い)、ブラックは45g固定となっている(APC+静音モデルのみ両色とも30g固定)。
キートップの印刷はアイボリーは昇華印刷でかな文字あり。ブラックは標準と静音がレーザー印刷で、APCとAPC+静音が昇華印刷。ともにかな文字なしとなっている。
今回発表されたのは日本語配列+テンキー有りタイプのみ。となると気になるのがバリエーションモデルの展開だが、英語配列、Mac向け、テンキーレスについては順次リリースの予定があるとのこと。ワイヤレスモデルもどうやら開発中のようだ。今後の楽しみと言える。
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