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AK70 MKIIとAK CD-RIPPER MKII

小型ボディーに高出力アンプを詰め込んだハイレゾ機「AK70 MKII」

2017年09月20日 11時00分更新

ボリューム感がある低域の再現、ドライバーが軽々と動く

 気になる音質はどうか。最初に感じたのはSP1000以降、Astell&Kernの音の方向性が確実に進化(変化)したという点だ。

 まずは持ち込んだ無印の「Michelle」と組み合わせてみた。ボリューム感のある低域が、ダムの堰を切ったようにどっと流れ込んでくる感じで、ドライバーが非常に軽くスムーズに動く印象だ。特にバランス駆動でそれを強く感じた。豊かな低域に支えられた安定感を感じさせるサウンドだ。

 次にイヤフォンをDITAの「Dream」に替えて、より詳しく聴き比べてみた。

 AK70は中高域が鮮やかに聴こえるが、低域は引き締まっており、AK70 MKIIと比べ、量感は抑えめ。そのためか、比べると少し腰高に聴こえる。AK70 MKIIではさらに高域も伸びるため、よりワイドレンジの再生になった印象だ。AK70 MKIIは位置づけとしては第2世代のAKシリーズの延長線上にある。しかし説明の通り、その音はSP1000を意識した新しい方向性を目指していると実感できた。海外では駆動力のあるアンプで、ガツンとヘッドフォンを駆動するのが主流になりつつあるが、その傾向も積極的に取り入れているのではないか。

 興味を持ったのでSP1000(ステンレスモデル)とも比較してみた。もちろん明白な差があり、中高域の抜けがちょっと悪かったり、情報量の差があるためか音像が少し平板で、立体感やダイナミクスが物足りない。しかし、両者は30万円以上の価格差がある機種である。むしろこのサイズと価格で、ここまでスケールの大きな表現ができる点を賞賛すべきだろう。

 AK70MKIIには携帯性に優れる。SP1000は音質優先の設計のため、大きくて重い。屋外に気軽に持ち運べ、かつ少々鳴らしにくいヘッドフォンでも安定して駆動できる点はメリットになるだろう。買い替えや最初のハイレゾ機として購入するだけでなく、品質の高いサブ機を持ちたいというニーズにもアピールできるのではないか。

 筆者は最近SP1000を使い始めたが、小型で手軽であるためいまだにAK240を取り出して持ち運ぶことが多い。機会があればAK240との差もじっくりと聴き比べてみたい気がした。

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