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iPhone Xは次の10年を意識した意欲作! 石川温氏によるiPhone X、iPhone 8/8 Plus実機レポ

2017年09月14日 16時00分更新

文● 石川温 編集●ASCII編集部

iPhone X、iPhone 8/8 Plusを早速ハンズオン!

 アップルは9月12日(現地時間)、新社屋のスティーブ・ジョブズ・シアターにて、新製品となる「iPhone X」「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」を発表した。

 デザインやスペックなどは「事前にネットに出ていた噂通り」とも言えなくないが、実際に触ってみると、その印象はがらりと変わることもある。

 発表会後に行なわれたハンズオンでのファーストインプレッションをお届けしたい。

これまでにないiPhoneになった意欲作
ホームボタンレスの「iPhone X」

 iPhone Xはアップルが次の10年を意識した意欲作だ。これまで、iPhoneのシンボル的な存在であったホームボタンを廃止。筐体のほとんどが画面、という印象だ。画面は凹型になっており、へこんだ部分にカメラやセンサーがぎっしりと詰め込まれている。その左右のディスプレー部分にアンテナピクトや時計、バッテリー残量が表示されている。

 画面サイズは5.8型だが、縦に長い比率となっているため、片手で持ちにくいということはない。このようなディスプレーの比率はGalaxy S8やLG V30などでも取り入れられており、いまのトレンドのひとつと言えるだろう。

 iPhone Xでは、Galaxy S8やLG V30と同様に有機ELディスプレーを採用している。一昔前の有機ELディスプレーは「色がどぎつい」といった印象を持っている人もいるかもしれないが、iPhone Xの場合はどちらかといえば、自然な色合いに仕上がっていた。画面は明るく、美しいと感じるほどだ。

 本体背面はガラス素材となっている。アップルでは強度には問題ないと言うが、実際に落としてしまったときに割れてしまわないかちょっと心配になる。周辺はアルミのフレームだ。

   ホームボタンがなくなったことで、操作体系も大きく変わっている。初期画面に戻りたいときは、下から上にスワイプする。アプリを切り換えたいときは下から上へのスワイプを途中で止めればいい。コントロールセンターの呼び出しはディスプレイの右上から下方向にフリック。一方、左上から下方向にフリックすると通知が表示される。

 また、Apple Payを呼び出すときは、側面のボタンを2回押せばいい。スクリーンショットの撮影は電源とボリュームの上を同時に押す。これまでホームボタンに慣れている人は、しばらく戸惑ってしまうかもしれない。

 ホームボタンがなくなったことで、当然のことながら指紋認証である「Touch ID」も使えなくなった。iPhone Xでは、新たに顔認証として「Face ID」が搭載されている。画面上部にあるカメラや赤外線センサーで。顔の表面を3万の点で認識し、本人かどうかを確認する。実際に登録済みの説明員のロック解除の様子を見せてもらったが、本当に一瞬で解除されている様子に驚かされた。指紋認証は、ホームボタンに指をかざすという動作が必要だが、Face IDであれば、iPhone Xをチラ見するだけでロックが解除される。これはかなり便利そうだ。さらにFace IDはApple Payにも対応する。

 顔認証というと、写真やビデオなどの顔も認識してしまうのではないかという不安があるが、iPhone Xでは顔の凹凸も判断しているため、そうしたなりすましは防げるという。また、帽子や眼鏡などのアクセサリーを身につけていても、問題なく認識できるようだ。毎日のようにロック解除を行なうので、日々顔の状態が学習され、太ったり痩せたりしても安心のようだ。

 アップルでは顔認証の技術を生かし、ユーザーの顔の動きに合わせて絵文字が動く「Animoji」を開発した。このあたりは、スマホ本体のセンサー技術とOS、さらには機能を一緒に開発している、アップルの垂直統合モデルによるものづくりの強みが発揮されているように思える。

これまで通りの操作がいいならiPhone 8/8Plus

 iPhone 8とiPhone 8 Plusは正面から見ると「iPhone 7sとiPhone 7s Plusかな?」と錯覚するほど、ぱっと見の印象は前モデルのマイナーチェンジといった感がある。

 とはいえ、背面は金属ではなくガラス素材が採用されているため、かなり違った印象だ。他メーカーでも、背面を金属素材からガラス素材に変えたところがあったが、残念ながら前モデルに比べて安っぽい印象になってしまい、ガッカリさせられたことがある。だが、iPhone 8とiPhone 8 Plusの場合、なんとかアップルの高級感を維持したテイストに仕上がっており、安っぽいような印象はない。

 そして前モデルと比べると、ちょっと重たい。今回、背面がガラス素材になったためか、非接触充電(Qi)対応でコイルが内蔵されているためなのかは不明だが、いずれにしても、ちょっと重いと感じるのは否めない。

 本体カラーに関しては、シルバー、ゴールド、スペースグレイの3色だ。ガラス素材にもっとも合うのはシルバーのように思える。今回からローズゴールドがなくなってしまったが、ゴールドがやや赤みがかった雰囲気になっており、女性はゴールドを好む傾向が出てくるかもしれない。

 カメラはiPhone 8がシングル、iPhone 8 Plusはデュアルレンズを搭載する。

 ディスプレーは液晶となっているが、「True Tone」により、環境に合わせて液晶の色味が変わるようになっている。これまでiPad Proに搭載されていたが、今回からiPhone 8とiPhone 8 Plusにも対応した。

 iPhone 8とiPhone 8 Proは、どちらかといえば、マイナーチェンジ感が強いが、「やっぱりホームボタンが欲しい」「いままで慣れてきた操作体系を変えたくない」という人にはオススメの機種となりそうだ。

石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『ケータイ業界52人が語る「戦略」の裏側』(毎日コミュニケーションズ)など、著書多数。

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