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「SSDは低容量」は過去の話! 最大2TBの『ウルトラ 3D SSD』をクリエイティブ&ゲームで徹底検証

2017年09月25日 11時00分更新

サンディスクの『Ultra 3D SSD』

 SSDがHDDに比べて高速なのは、いまや周知の事実と言っていいだろう。ここ数年でPCのシステムドライブをSSDに換装した、あるいはSSDドライブ搭載のPCを買って速度に感動した、という人も多いはずだ。とはいえ、SSDにも弱点はある。一般的なSSDはその構造上、1ドライブあたりの容量を増やすことが難しく、いまだにメジャーな容量は250~500GB、多くても1TB程度にとどまる。対してHDDは2~4TBモデルが当たり前で、最大12TBのような超大容量モデルもあるため、データ保存のために別途HDDを用意している人も少なくない。

 データはたくさん保存したいが、なるべく速いドライブを使いたい――そんなジレンマを打破してくれるのが、2017年8月に発表となった最大2TBモデルをラインアップするSSD『サンディスク ウルトラ 3D SSD』シリーズだ。この新SSDについて、性能面から実力に迫ってみよう。

大容量のヒミツはズバリ“3D NAND”の採用

各モデルの主なスペック。価格は250GBモデルが1万3000円前後、500GBモデルが2万2000円前後、1TBモデルが4万円前後、2TBモデルが7万7000円前後となる。さすがにHDDに比べれば高価だが、容量と速度の両立は魅力的だ

 SSDを始め、SDカードやスマホのストレージにまで利用されているNAND型フラッシュメモリー(以下、フラッシュメモリー)。HDDと違って物理的な駆動部のない半導体で、衝撃や振動に強く小型化しやすい、また静音性に優れていることから、多くの機器で採用されている。これまでフラッシュメモリーの大容量化は製造プロセスの微細化によって実現されてきたのだが、ある一定以上の微細化が進むと、データを保存している領域(メモリーセル)の距離が近くなりすぎて、お互いが干渉してしまうという問題が起こる。つまり、単純な製造プロセスの微細化を進めるだけでは大容量化が難しいのだ。

 そこで以前から注目を集めているのが、“3D NAND”技術。これは、製造プロセスの微細化が密度を上げて面積あたりの容量を大きくしていったのに対し、平面ではなく、縦方向にメモリーセルを積み重ねることで容量を大きくするものだ。同じ面積でも積層数を増やすだけで容量を大きくできるため、製造プロセスを微細化するよりも大容量化が容易という特徴がある。また、メモリーセルが干渉しにくく高速化や省電力化も実現できるなど、多くの優れた点があるのもポイントだ。

 例えるなら、賃貸住宅で住人を増やすには部屋の数を増やせばいいが、そのために壁を薄くしてしまうと騒音問題(干渉)が起こってしまう。これに対し縦方向、つまり階数を増やして高層化すれば、壁を薄くすることなく多くの住人が増やせるのと似ているだろうか。

 『ウルトラ 3D SSD』が2.5インチドライブの形のまま2TBという大容量を実現できたのも、64層3D NANDを採用したことが大きい。データ容量が2TBを超えてくれば、システムにSSDを使うだけでなく、データ保存用としても有望となってくる。1TB超えのSSDは非常に高価だが、さすがに価格も少しずつ落ちてきており、現実的な選択肢に近付きつつある。

 もうひとつ『ウルトラ 3D SSD』の特徴として、速度面も忘れてはならない。公称で最大560MB/sというのは、SSDの一般的な接続規格であるSATA 3のほぼ限界速度だ。これは3D NANDだけでなく、高速なバッファーを利用して最適化する“nCache 2.0”技術を採用していることも大きい。容量だけでなく、高速性も限界まで高められた製品だといえるだろう。

最大2TBという容量にまず驚くが、速度面でも既存のSATA接続SSDの中でトップクラスを誇る。

ベンチマークソフトで『ウルトラ 3D SSD』の実力チェック

 さて、3D NANDを採用した『ウルトラ 3D SSD』への期待が高まったところで、実際の性能をベンチマークソフトを使って見てみよう。まずは定番の速度計測『CrystalDiskMark』を使ったテストから。なお、『ウルトラ 3D SSD』は1TBモデル、対抗となるHDDは一般的な容量3TBの製品(5400回転)を試用した。

試用したのは1TBモデルだが、公称スペックでシーケンシャル読み取り560MB/s、書き込み530MB/s。これは2TBモデルと同じだ。

左がウルトラ 3D SSD、右がHDDの結果。SSDの実速度は最大564MB/s。これに対してHDDは最大157.7MB/s。SSDのほうがHDDと比べ、約3.6倍も高速だ。

 SSDが圧勝なのは当然だが、シーケンシャルのライトでも535.1MB/sと高速な点に注目したい。また、4Kのランダムでもリードライト共に350MB/sを超えており、システムドライブとして使うのに申しぶんない性能だ。HDDはランダム性能が厳しい傾向にあるが、実際の計測でも2MB/s前後と遅く、SSDと比べると150倍以上もの差が開いている。一度SSDの速さを知ってしまうとなかなかHDDに戻れないのも、この数値を見れば納得だろう。

 もうひとつのベンチマークソフトとして、『ATTO Disk Benchmark』でもチェックしてみた。こちらはデータサイズを512Bから64MBまで倍々に増やしていき、それぞれの性能をグラフで表示してくれるのが特徴だ。

左がウルトラ 3D SSD、右がHDDの結果。HDDの方がバーが長いので一瞬速いのかと勘違いしてしまうが、よく見るとグラフの目盛りがまったく違う。SSDは最大でリード約566.2MB/s・ライト約535.7MB/s。

 ATTO Disk Benchmarkでも最大速度はCrystalDiskMarkのシーケンシャルとほぼ同じ。ベンチによってスコアが大きく変わることはなかった。なお、データサイズによる速度の変化に注目してみると、リード・ライトの両方が500MB/sを超えるのが64KB以上。HDDと比べ、最大速度に到達するまでが緩やかという特徴がある。512Bと1KBに限った話だが、この2つだけはHDDとライト性能がほぼ同じというのが面白い。

 なお、SATA 3の限界近くまで速いとなると発熱が心配になるが、実際は、手で触れてもほんのり温かい程度。CrystalDiskMarkを3回連続実行した直後の温度を自己診断機能のS.M.A.R.T.を使って読み出してみたが、たったの36度しかなかった。これだけ温度が低ければ、長時間の利用でも安心できる。

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