美しさと性能をハイレベルで両立させた
凶暴で優しいプランシングホース!
スペックだけ見てもフラッグシップにふさわしいことがわかるが、乗ってみるとなぜ高性能なのかを実感できる。イメージ的に、MRのフェラーリは難しいという先入観があり、しかも試乗した日は雨が降っていたため、かなり慎重に運転した。つばさ嬢のインプレッションはのちほど動画がアップされるのでそちらを見てもらうとして、筆者が運転した限りでは電子制御がカバーしてくれるので雨でも安心で、すぐにいつも通り運転することができた。
ステアリングについているスイッチを「WET」モードにすると、アクセルの開度に対してじわっと速度が出るレスポンスなのでダイレクト感はないものの、うっかり乱暴にアクセルを踏んでしまってもリアがスライドしたりホイールスピンするなどのアクシデントには遭遇しなかった。このスイッチにはWETのほかに「SPORT」「RACE」があり、いわゆるノーマルの状態がSPORTモードである。
また、ボディーにドライバーが包まれる感があり、横幅も2メートル近いが、街乗りでも運転のしづらさを感じないどころか、運転しやすいとまで感じてしまった。
雨も上がったので、高速道路へ走りにいったのだが、渋滞になるとさすがに緊張感が走るが(ぶつけられないかとか)、クリアな状態だとまさに跳ね馬のポテンシャルを発揮してくれた。前回乗ったランボルギーニ・ウラカンもMRだったので同様の気持ちよさがあったのだが、車重が軽いぶん、488 GTBのほうが軽快で爽快だった。公道なので当然制限速度内で走っていたのだが、それでもこんな気持ちのいいコーナリングを体験できるのは、さすがはフェラーリだ。
F1のテクノロジーが詰まったという7速DCTのレスポンスもすばらしく、変速ショックはほぼなく、気がつくと最適のギアで走っている。回転数の一番美味しいところに常に合わせてくれているのだ。なので、加速も減速もスムーズ。パドルシフトを使って自分でも任意にギアを変えられるのだが、シフトダウンすると気持ちよくブリッピング(空ぶかし)して減速ショックをできるだけ消してくれる。何度でも言うが、走っていて本当に気持ちがいいのである。もちろん加速もぶっ飛んでいて、0-100km/hが3秒というのは伊達ではない。たとえば軽自動車ならアクセルべた踏みのところを、488 GTBなら数ミリ踏み込むだけ、感覚的には足の親指をちょっと踏み込むくらいで到達する。スペック的に当たり前の話ではあるのだが。
なぜこんなに気持ちがいいのか。筆者の感覚にはなるのだが、背後にあるエンジンの振動や熱、マフラーからのエキゾースト、アクセルとエンジンのレスポンス、クイックなハンドリング、強力に効くブレーキなど、これらに包まれたコックピットに座っているからなんだと思う。クルマを運転するうえでの楽しさがすべて詰まっていると言っても過言ではない。一般道で走っただけでこの高揚感なのだが、サーキットで走ったらもっと楽しいに違いない。
また、ASCII.jp的な話をすると、フェラーリはApple CarPlayを以前から採用しており、488 GTBも専用のボタンがあるなど、しっかりと対応している。有線接続だったが、Siriとの連動はかなり便利。フェラーリ純正のナビはやや不便な部分が多いのだが、iPhoneのナビを使えばその不便さは補える。iPhoneに入っている音楽を聴いたり、通話もできたりと車内でエンタメ性と利便性を両立させてくれるので、フェラーリに限らずApple CarPlay対応車種に乗ったら、一度は体験してほしい。
スーパーカーの象徴、フェラーリ。小さい頃からの憧れが詰まったクルマは、ときに激しく、ときに優しく、そして安全に夢のようなドライビングプレジャーを感じさせてくれる、憧れそのままのクルマだった。
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