週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

Dellの新モデルでNVIDIAの新技術をベンチマークテスト

新ALIENWARE 15 試用レポート Max-Qで1080の最高速度は出るのか!?

2017年08月30日 10時00分更新


 デルは6月29日にゲーム用モニターやマウス、キーボードとともに、ゲーミングノート「ALIENWARE 15」の新モデルを発表した。NVIDIAが6月にCOMPUTEX 2017で発表した「Max-Qデザイン」を採用することによって、同型としてはじめて、最上位GPUであるGTX1080を搭載している。

 従来は1070までしか搭載できなかったボディで、1080のパフォーマンスがどこまで実現されているのか!? 実機で探ってみた。

底面積は広いが、厚みは25ミリで圧迫感のないデザインである。

Max-QのおかげでGTX1080搭載
発熱はだいじょうぶなのか!?

 ALIENWARE 15の最新モデルは、元々、Corei5またはi7の4コアCPUに、GeForceのGTX1060または1070を内蔵していた。15インチというボディサイズでは、1070の発熱と消費電力を制御するのがギリギリだったということだ。

 NVIDIAが公開したMax-Qデザインは、コントロール方法をこれまでとは変えて、電力効率を良くし、よりスリムで小型のボディーやバッテリーでも上級のGPUを搭載できるようにする技術である。

天版はシルバーで、エイリアンマークはもちろん好きな色で光らせることができる。後部のふくらみ部分に排気口とインターフェースが並ぶ。

 GPUそのものは従来と変わらないので、その使い方、回しかたを変えるということだ。100%回してしまうと、消費電力が上がり、発熱も最高になってしますうが、それをうまくコントロールすることで、かなりのパフォーマンスを出せるということである。でないと無理して上位GPUを積む意味がない。

 ALIENWARE 15の場合は、ボディデザイン、内部構造ともに従来モデルと同じだ。サイズは横幅389×奥行305×厚み25.4ミリと、15型のモバイルノートと比べるとかなり底面積が広いが、厚みは抑えられている。重さも約3.5キロと、「モバイル」するには勇気がいる重さだが、バッテリーは99Whと、15型とは思えないほどの量を積んでいる。

 発表会の説明では、今回のMax-Qデザインを採用することによって、TGP(Total Graphic Power)は115Wから110Wへ下がり、なおかつGTX1080のフルパワーの98%近いスピードが出せているという。

底面の半分近くは冷却のための空気吸入口となっている。

ボディデザインは変わらず
発熱はだいじょうぶなのか!?

 全体のデザインはまさにゲーミングノートの典型に見えるが、直線をうまく使って、スマートさも醸しだしている。液晶上部にはWindowsHello対応の顔認識や、Tobiの視線コントロールに対応したカメラとIRセンサーを搭載。顔でのログインはもちろん、視線によるゲームプレイも可能だ。

tobiiのアイトラッキング機能はゲームで使うだけでなく、ユーザーの離席認識にも使え、省エネに有効だ。

 液晶は15.6型のフルHD(1920×1080ドット)のノングレアで、周波数は60Hzと120Hzがあり、明るさは前者が300nit、後者は400nit。もちろんNVIDIAのG-SYNCも有効である。

 キーボードはフルサイズで、ストロークが2.2ミリもあり、もちろんnキーロールオーバーで、フツーのモバイルノートのキーボードとは一線を画す打ち心地だ。タッチパッドは滑り心地がよく、ボタンも別体になっているので、ミスクリックも起きない。オレの大好きなSynapticsのドライバーを採用していて、タップやスクロールを自由にカスタマイズできる。

底面積が広いので、キーボードの配列も余裕である。タッチとストロークもキモチがいい。

キーの左側にある「マクロキー」の設定も、AWコマンドセンターというアプリでやりやすい。

 インターフェースも全部付きで、Type-A×2にType-C×2、有線LAN、HDMIにミニDisplayPort、そして拡張専用ポートが並ぶ。ここには、別売のGraphics Amplifierを接続して、デスクトップPC用のフルレングスのグラフィックカードを利用することができる。

本体右側にType-AとType-C、左にはType-Aのみ設置されている。

本体正面のスリットは吸入ではなくスピーカー。背面には有線LANやディスプレーポート、専用インターフェースが並ぶ。

こちらが別売のGraphics Amplifier(約3万2000円)。フルサイズのグラボをALIENWARE15に接続することができる。

 照明はキーボードのバックライトはもちろん、電源ボタンやタッチスクリーン、本体の側面のエッジに仕込まれていて、専用ソフトで好きな色や変化を指定できる。ゲーミングノートならではのお楽しみだ。

AWコマンドセンターで発光部の色指定ができる。バッテリー駆動時とAC駆動時で変更するなど芸が細かい。

さっそくベンチマークテスト
発熱はだいじょうぶなのか!?

 今回試用したのは、もちろんMax-QデザインのGTX1080+VRAM8GB搭載で、CPUはCorei7-7820HKにメインメモリ16GB、SSD256GB+HDD1TBを内蔵している。直販サイトで一番お高いモデルだ。

 まずは毎度おなじみCPU速度を計るCinebenchR15では、CPUマルチの値は768と、他社の同CPU搭載ノートと同じ値が出た。

 3DMarkのFireStrikeは14335をマーク。Max-QではないGTX1080搭載の17型大型ノート(もちろんCPUは同じ)で計測した値15181の94%が出ていることにある。

 ちなみに、GTX1060搭載ノートでは約9000、GTX1050では5500という値なので、それらのマシンの1.6倍/2.6倍のパフォーマンスである。ゲーム系のベンチマークテストでは、標準1080搭載ノートより速い結果が出たものもあった。Max-Qおそるべしなのである。

 発熱はどうかというと、3D系のベンチマークが始まると、とたんに冷却ファンがブンブンと回る。おかげで(?)本体の底面も上面も少しあたたかくなるくらいで、「アツい」と感じる40度まではいかなかった。

 そのかわりといってはなんだが、排気は非常に勢いがあり、なおかつ背面排出型である.お向かいに人がいるとご迷惑になりそうで、公共の場所で使うときは気をつけよう。

AWコマンドセンターにはオーバークロックの設定もある。温度やファンの回転数をみながらイジることができる。

 搭載していたSSDは東芝のGX4シリーズ「THNSN5256GPUK」で、CrystalDiskmarkではマルチシーケンシャルリード1779、ライト803とPCIe+NVMeの標準的速度であった。

 いつものBBenchによるバッテリー駆動時間は、液晶100%、省エネ設定OFFで満充電から2時間45分駆動した。バッテリーは99Whという未体験な大容量を搭載しているが、400nitの高輝度液晶がエネルギーを消費しているようだ。とはいえ、2時間以上バッテリーで利用できるのはありがたい。

 なお、同梱のACアダプターは、出力がなんと240W(19.5V12.3A)という大物で、ケーブル込みで1キロ近くあった。本体と合計で4.5キロとなるが、充電は、消費と同条件で、50%まで50分、70%まで1時間10分、90%まで1時間30分という高速ぶりを発揮した。

ACケーブルも入れると1キロ近い重量があるアダプター。充電時間が短いのはアタリマエ?

おそるべしMax-Qの威力
第8世代コアとの組み合わせでプレミアムノートの未来が見えた

 というわけで、Max-Qはすんなり速度が出てしまい、「ギリギリまでチューンして速度を出してやる」というオレの意気込みが拍子抜けになったのだが、さすがNVIDIAがあれだけ自信を持って発表した技術である。これからの展開もたのしみなのだ。

 これで1080がフツーに使えるのなら、COMPUTEXで公開したASUSのあの薄型ゲーミングノートはもちろん作れるだろうし、さらに、オレのテーマであるプレミアムノートPCにおいても、1060を搭載しながら、より薄く軽いものが設定できるにちがいない。第8世代の低消費電力型4コアCPUと組み合わせて、次世代のプレミアムノートに期待したいのである。

 ALIENWARE15に戻ると、お値段としては、従来のGTX1070+VRAM8GBをGTX1080+VRAM8GBにカスタマイズした場合の差額は5万9100円となっている。15型で最高速度のゲーミングノートが欲しいキミは買うしかないのである!!

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります