増加する請求業務の軽減が課題
青木 私たちの事業部はもともと親会社からの委託を受けて事業を展開していましたが、2016年度に自社の事業として自営化を行ないました。
その結果、請求業務の負担が一気に増加することがわかり、それを軽減できる仕組みを用意する必要ができたんです。
高柳 以前の請求書の発送業務では、請求の元となる月次の課金データをKDDIに送り、KDDIから顧客への請求が行なわれていたんです。KWCでは営業やシステムの運用、サポートを担当し、請求・契約に関してはKDDIが行なっていました。それが、自営化にあたり請求業務を一任することになって。
これまでもBtoB向けの請求業務は行なっていましたが、業務移管により、一気に件数が増加したんです。一気に5倍ほどになりました。この業務移管は2016年4月に顧客とKWCの直契約になって以降にスタートしたんですが、実際に移管が行なわれるのは契約の更新が行なわれたお客様から順次という形で、数が徐々に増えてきまして、特に7月に入るとその数が増え、エクセル作業にも限界を感じいよいよシステム化したほうがいいという話が出てきました。
また入金消込については完全に目視確認だったので、ダブルチェック体制は必須。以前の請求業務でも2人で作業してすべての件数をこなすのに丸1日がかりという状態だったので……。一カ所でも確認漏れやミスがあると不安になってしまい、また確認作業を繰り返しで余計に時間をかけてしまい非効率だったと思います。
経理システム化への道-クラウドサービス導入へ
山田 時系列でいうと、2016年1月の時点ですでに手作業だとまわらなくなることがわかっていたので、まずはExcel上でのコピー&ペーストによる作業ではなく、VBAを使ったマクロで自動化を行ないました。これが2016年前半までの対応でした。
ただマクロでは件数が多いと作業が遅いうえに、セルを1つ移動するだけで動作しなくなります。また、件数の多い入金消し込み作業などをマクロでやるのはあまり現実的ではないという結論に至りました。この半自動化を担当したのは私なんですが、本来は別のシステムのエンジニアリングがメインで、そこまで手をかけたくなかったというのもあります。
7月の作業量を鑑みて、さらに増えていくことも分かっていたので、このままマクロで継続していくのは無理だろうということになり、この段階で代替システムの選定に入りました。
実はその7月の時期に社内の組織改編があって、Twilio事業部が一緒の事業部になったんです。そのTwilio事業部では、すでに「請求管理ロボ」を使っていて、「こんなのありますが、一緒に使いませんか?」ということで紹介してもらったんです。
他の請求管理システムも検討したんですが、Twilio事業部ですでに利用実績がありましたし、なにしろ入金消込機能が使いやすい。これが決定打だと言ってもいいくらいです。もちろん、消込作業だけでなく、請求書作成も一貫してできるという面で競合と比較しても便利だと判断しました。
経理システム導入に合わせ、社内システムと連携
山田 Twilio事業部での「請求管理ロボ」の利用はExcelのCSVファイルを読み込んで請求書を作成するという非常にシンプルなものでしたが、われわれの事業部ではそうもいかないので、社内システムとの連携で割と作り込みを行なっています。もともと使っていた課金システムと連携する仕組みを実装しました。
導入決定が9月で、2~3ヵ月掛けて、その3分の1くらいの時間を作り込み作業にあてたので、工数的には1ヶ月ほどですかね。実際の運用は12月にスタートしました。システム開発において問題になったのは、システムに合わせた作業フローに切り替える必要であったり、提出する帳票のフォーマット変更や消費税の扱いなどです。ただ、これは社内調整の部分なので、最終的には「請求管理ロボ」に合わせた形で落ち着いています。
請求件数が劇的に増えているにも関わらず、作業時間は大幅に短縮
高柳 手作業からVBAに切り替えたタイミングで、それまで2~3日かかっていた作業時間がまず3時間程度になり、「請求管理ロボ」導入で1時間にまで減少しました。2016年夏を境にKDDIで処理していた作業の多くが引き上げられ、作業量自体が増えているにもかかわらず、作業時間そのものは減っていったんです。今の作業量を、たぶん、昔通りのやり方でやっていたら終わらないんじゃないですかね(笑)。少なくとも3日以上はかかります。システム化したことで、ダブルチェックを中心とした人的な確認コストも減りました。
月初の第2営業日に請求業務が一斉に発生するんですが、以前は手作業で作ったものを経理に送り、経理でチェックして間違いがあったら戻して、といったことを繰り返していました。これが月初の残業につながっていたのです。今は請求書で発行したものが「請求管理ロボ」を通して帳票になっていくという流れになったことで、経理との連携もスムーズになり大幅な時短ができました。請求処理の締日でも定時での退勤が可能になってますし、1日の中でも集中して作業しなければならない時間も限定されていて、気持ちに余裕をもってやれるようになりましたね。
Twilio事業部では、未入金のお客様に対し、催促メールを自動で送信する機能なども使っていて、そういったところで無駄な作業時間を減らすこともできています。
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