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日本イスラエル双方の強みをIoTソリューションでレバレッジIQPの挑戦

2017年08月17日 07時00分更新

 今回はイスラエル発、コードフリーのIoTアプリケーションプラットフォームを開発、展開するスタートアップ、IQP Corporationの日本法人 (日本法人名: 日本IQP株式会社)の石井氏(以下敬称略)に、イスラエル人CEOとのコミュニケーションや当社の今後の展望をお伺いした。

日本IQPについて

――まずは会社のことを教えてください

石井:IoT、 エンタープライズ向けのコードフリーアプリケーション開発プラットフォーム”IQP”の開発と提供を行なっています。最大の特徴は、システム開発経験のない方から経験豊富な方まで誰もが、ユーザーフレンドリーなウェブベースのUIで、直感的にプログラミングをすることなく、IoTアプリケーションを開発することが可能な点です。現在はイスラエル、アメリカ パロアルト、日本の三拠点で活動をしています。

――ほかにはどのような特徴があるのでしょうか?

石井:IoTのアプリケーションにとって必要な機能要素は大きく“モニタリング”と“コントロール”に大別することができますが、IQPではそれらを迅速に実装し、実現する仕組みのみならず、アプリケーションに “ヒューマンセントリック” の要素をくわえることができるようなシステムを提供しております。これが製品開発のコンセプトの中心にあります。

 IoTの世界では最終的には人が介在し、人が判断とアクションを起こす仕組みが不可欠であると考えており、IQPはセンサーデータ (Static DB) とビジネスデータ (Dynamic DB) の両方に対応した柔軟なDB設計と、複数の条件に応じたイベントを処理することが出来るCEPエンジンをシステムの内部に保有することにより、前述のようなシステムを高度にかつ迅速に構築頂けるような環境を用意しています。

 各種デバイスから上がってきたデータの可視化、イベントマネジメントとロジック設計、デバイスに対するコマンド、コントロールに至るまで、全てドラッグ・アンド・ドロップ操作で行なうことが可能です。

 もちろん、外部DBや外部システム (ERP、 発注システム) との連携も可能で、インドでの案件ではデバイス(機械やセンサー) から取得したデータと他システム連携で取り込んだ部品の在庫情報、発注システムへのデータ出力、連携を行なった実績もあります。これらを合わせて、現場主導のシステム開発を実現することにより、生産性の向上に貢献しました。

日本とイスラエルの連携について

――はじめ日本に拠点を出された点はユニークですよね、どういった狙いがあったのでしょうか?

石井:日本企業はグローバルで通用するモノづくりの技術や組織力、OTのノウハウを持っているにもかかわらず、ソフトウェア技術に関する競争力や理解が不十分なため、海外に比べると少し出遅れてしまっているような傾向があります。我々はそこを、イスラエルが得意とするソフトウェアと、IT技術を日本の持つOTの技術、ノウハウと融合させることにより、うまく補完しあえるのではないかと考えています。

 IQPのプラットフォームでは、コードフリー (プログラミングなし) で、高速に、自分たちの作りたいIoTアプリケーションを開発することができるので、従来アウトソーシングしていたシステム開発業務を内製化することも可能にし、結果として開発にかかる時間とコストを圧縮した形で独自のIoTの仕組みを形成することが可能なので、削減できたコストと時間を重要な業務に投資することが可能になります。

 実際に私は前職で、海外のインフラ構造物のセンサーを用いた異常検知のプロジェクトに携わっていたのですが、その際に新規ビジネスの立ち上げプロセスにおけるシステムの高速開発の必要性を感じていました。IQPのようなプラットフォームを活用することによりアジャイル的にアプリケーション開発をすることができますので、ビジネス開発のスピードアップのお役に立てている実感があります。

――実際にどのようなユーザーがいるのでしょうか?

石井:弊社のクライアントは大きく2つで、1つはまさに上の例にあるような製造業のお客様です。IoTで何かしたい、色々なシステムをコスト効率よく試したいそして、実際の開発に取り掛かるまでの心理的、予算的なハードルがあるために思うように進められていない企業様などにお声がけをいただいています。もう一つは、IoT Platformと呼ばれるプラットフォーム事業を展開しているような企業様です。イスラエルではこれまで、GE DigitalやIBMのアクセラレータープログラム(イスラエル)に採択され、“Predix”や“Bluemix”といったIoT Platformとの連携を進めてまいりました。国内では、出資もいただいている富士通のIoT Platformとの連携などを行なった実績もあります。

――イスラエル人チームはいかがですか?

石井:よくも悪くも「無駄なことをしない、結果重視」というのが特徴だと感じています。いい意味では課題をシンプルにして、ゴールに対して必要なことだけを行う、そうすることで日々の意思決定が非常に速い一面があります。スタートアップでは常に意思決定を迫られることがありますので、根回しのようなものもなく、常に早いスピードで企業を回すことができます。逆に、日本人によってはその“意思決定のスピードとロジック”についていくことができず、苦労することも時々あります(笑)

今後について

――今後の展望についてお聞かせください。

石井:IoTのアプリケーション開発の基盤としてデファクトスタンダードを目指すことです。継続的な機能拡張はもちろんのこと、その後の展開にはユーザーのコミュニティ形成というのも良いかと考えております。弊社のプラットフォームは、現場のやり方次第で様々な使い方とユーズケースが考えられます。ユーザードリブンで色々なことを発案、ハックしていただくことによって、それぞれのアイデアやシステムが有機的につながり、一種のエコシステムを形成することが出来るのではないかと考えております。弊社システムもビジネス、経営に対して気づきを得られるようなシステムへと進化していけるようなフィードバックを生み出していきたいのです。そのためにも多くの日本企業の方に使っていただき、ユーザーを増やしていきたいですね。

■関連サイト
Aniwo

植野力(COO & Co-Founder/Aniwo)

著者近影 植野力

2014年にイスラエルに渡り、独自のアルゴリズムでイスラエルのスタートアップと世界の投資家をつなぐ。マッチングプラットフォーム「Million Times」を運営するAniwo社を共同創業。2015年末より日本支社を担当。

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