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Skylake-Xから1ヶ月足らずで最速王座を奪取!

Core Xに完全勝利!?「Ryzen Threadripper」で究極のマルチスレッド性能を堪能

2017年08月12日 19時50分更新

圧倒的なマルチスレッド性能

 では「CINEBENCH R15」を利用したCPUの馬力比べから始めよう。Core i9-7900Xに比べ1950Xはマルチスレッド性能で38%上回るというAMDの謳い文句は本当だろうか?

「CINEBENCH R15」のスコアー

 1950Xのマルチスコアスコアーは圧倒的。ただ圧倒的としか言いようのない差を見せてくれた。1950XはCore i9-7900Xに対し実測値で37%高いスコアーを示しており、早くもAMDの謳い文句は正しいことが示された。さらに1920XもCore i9-7900Xをやや上回っている。もしかすると日本におけるRyzen Threadripperの価格設定は“性能なりの価格”で再設定されたのではと邪推してしまえる程だ。

 また全CPUコアを使用したDistributedモード(Creatorモード)と全CPUコアを使用したLocalモードではマルチのスコアーに差はないが、シングルコアテストのスコアーが若干上がる傾向が見られた点が面白い。メモリーのレイテンシーが低下したためその分シングルスレッドの処理も微妙に速くなると考えられる。

 そしてGameモード(Legacy Compatibilityモード+Localモード)では、コア数に比例したスコアーの落ち込みを見せた。1950XとRyzen 7 1800Xのスコアーがほぼ同じだが、シングルのスコアーが若干向上している点は、メモリー帯域が2倍になっている結果かもしれない。

 では次に同じCGレンダリング系である「V-Ray Benchmark」でも試してみる。こちらはマルチスレッド性能しか測定できないが、CINEBENCH R15のスコアーの裏付けになるだろう。このテストの結果は“時間”なので短い方が優れたCPUとなる。

「V-Ray Benchmark」における処理時間

 ここでも1950Xと1920XがCore i9-7900Xに対し勝利。CINEBENCH R15ほどスコアー差はついていないが、マルチスレッド性能において現在のAMDはCore Xシリーズを完全に上回ったと評価してよいだろう。

 ここでDistributed/Localモードの違いに目をむけてみると、わずかではあるがLocalモードの方が短時間で終わる気配を見せており、Gameモードで動作させた1950Xの方がRyzen 7 1800Xよりも短時間で処理を終えている。メモリレイテンシーの低下が性能向上に繋がると判断してよいだろう。

 次は「TMPGEnc Video Mastering Works 6」を利用し、再生時間3分のAVCHD動画をMP4形式にエンコードする時間を比較する。エンコーダーはCPUを利用する“x264”“x265”を利用し、いずれも2パスで処理を行なった(ビットレートなどのパラメーターはデフォルト値を使用)。

「TMPGEnc Video Mastring Works 6」の処理時間

 CINEBENCH R15やV-Ray Benchmarkで好成績を収めるCPUはエンコードでも当然速い。1950Xと1920XはCore i9-7900Xに対し勝利したが“x264”のみという限定されている。これまでRyzenのレビューを続けてみて、TMPGEncにおけるx265系の処理はインテル製CPUに比べ遅い傾向が観測されてきたが、これはRyzen Threadripperにおいても同じだった(CPUのダイが同じだから当然なのだが)。x265でエンコードする状況ではCore i9-7900XはRyzen Threadripperに一矢報いた格好だ。

 だがそれ以上に興味深いのはDistributedモードとLocalモードの違いだ、V-Ray BenchmarkではLocalモードの方が若干処理が速くなっていたが、TMPGEncにおいては全く逆どころか、目に見えて処理が遅くなる(ま、それでも結構速いのだが)。処理の内容が違えば、最適なメモリーアクセスモードも変わるという一例がここに示されたわけだ。

 次は総合ベンチマークソフト「PCMark10」を利用する。WebブラウズからCG作成、ゲーミングまで総合的なパフォーマンスを調べられる“Extended”テストを行なった。グラフが2つあるが、Extendedテストの総合スコアーと、そのスコアー算出の根拠となったテストグループごとのスコアーも比較する。

「PCMark10」Extendedテストの総合スコアー

「PCMark10」Extendedテスト実施時のテストグループごとのスコアー

「PCMark10」実行中のCPUクロック(左:1950X、右:1920X)。どちらもクロックのピークは4.1~4.2GHzの間、低い部分で3.7GHz近辺となった

 PCMark10ではコア数の多さよりもIPCが高く、高クロックで回るCPUが高評価を得る。ここでトップに立ったのがCore i7-7700Kなのはこのためだ。だがRyzen Threadripperもかなり健闘している。このスコアーの源泉はGamingとDCC(Digital Contents Creation)であり、ProductivityとEssentialsはRyzen 7にも負けるケースも見られた。Core i9-7900Xの処理中のクロックは電源プラン(バランス)のおかげで大きく上下するのに対し、Ryzen 7やRyzen Threadripperはほとんど下がらない事もスコアーの底上げに大きく貢献しているようだ。

 さらにこのテストではLocalモードの方がDistributedモードよりも高スコアーを上げている。Essentialsテストでも動画(ビデオチャット)のエンコード・デコード作業があるが1950X/1920XともにLocalモードの方がスコアーが良い。エンコードではLocalモードはダメというよりも、アルゴリズムや扱うデータの量で最適なメモリーアクセスモードが決まるといった感じだろう。

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