Skylake-Xから1ヶ月足らずで最速王座を奪取!
Core Xに完全勝利!?「Ryzen Threadripper」で究極のマルチスレッド性能を堪能
装着方法も大きく変化
検証に移る前にX399マザーボードの話とCPUの取り付け方を軽く見ておこう。Ryzen ThreadripperはRyzen 7のソケットAM4やX370チップセット等とは互換性がなく、専用の「ソケットsTR4」を備えたX399チップセット搭載マザーを利用する。
今回評価キットに含まれていたASUS製のハイエンドX399マザー「ROG ZENTH EXTREME」
Ryzen Threadripperが持つもう一つのアドバンテージはCPUに直結するPCI Expressバスのレーン数の多さだ。インテル製のCPUではメインストリームが16レーン、エンスージアスト向けで28ないし40レーンであったが、Ryzen Threadripperでは64レーン利用できる。うち4レーンはチップセット用に消費されてしまうが、それを差し引いても60レーンは大きい。
4-WayのSLI/CrossFire構成をする場合でも、4枚のビデオカードに16レーンのフル帯域を割り当てることができ、その上でさらに余裕がある(余った帯域はNVMe SSDに使うこともできる)。ゲーマーにとってのマルチGPUソリューションは縮退傾向にあるとはいえ、究極のパワーを持ったマシンを組みたければ、Ryzen ThreadripperとX399マザーボードは非常に面白い存在だ。
Ryzen ThreadripperはCPUに64レーンのPCI Expressバスを接続することができる
Ryzen ThreadripperにX399マザーを組み合わせた時のシステム構成。4-WayのマルチGPUに各々16レーンずつ提供しながらも、x4接続のM.2 NVMe SSDを3枚接続できるなど、足回りの構成が非常に強力。ただこの全てを実現するには、相当ゴツいマザーボードが必要になるだろう
さてRyzen ThreadripperではCPU形状が大きく変化したが、ソケットへの取り付け方も非常に独特だ。ここで簡単にRyzen Threadripperの装着手順をまとめてみた。
ソケットsTR4は3本のトルクス(ヘキサローブ)のT20ネジで固定されている。なぜ普通の+ネジにしなかったかといえば、ナメにくく確実にトルクを与えられるからだろう。3本のネジには番号が振ってあり、ソケットを開ける時と閉める時で回す順番が決まっている
ソケットを固定するネジを開け、カバーを解放したらさらに中ぶたを引き起こす。中ぶたには保護用のプレートが固定されているので、まず最初にこれを外す
保護用のプレートを外したら、CPU周囲に付いているオレンジのタブを持って、保護用のプレートがあった場所に滑り込ませる。中ぶたのフレームは結構ヤワい印象なので、丁寧に扱わなくてはならない。装着したらソケットを保護するカバーも外しておこう
中ぶたの奥までCPUを入れた状態で中ぶたをソケット側に倒して固定(クリック感があるまで押す)する。最後にカバーをネジ止めして終了だ
Ryzen Threadripperに同梱されるT20のトルクレンチは15Nm以上がの力がかかると空回りするようになっている。逆に言えばこのレンチが空回りするまでネジをしっかりと締め込む必要があるのだ
簡易水冷式のCPUクーラーを装着。Ryzen Threadripperに同梱されたアタッチメントを使うのが、現時点では一番確実な冷却方法だろう。ただ今後sTR4専用クーラーも出そろってくるはずだ
今回検証に使った簡易水冷(CRYORIG A40)を装着した際の水枕のカバーする範囲は、CPUの中央のこの領域のみ。これでも十分冷えているようだが、OCを強く意識するならヒートスプレッダーをフルカバーできるsTR4専用クーラーの出現を待った方がよいだろう
エンスージアスト向けCPUだからなのか、今回テストしたマザーボードはEPS12V電源のコネクターが2系統用意されていた。写真中のEATX12V_1の方に接続しても普通に動作はするが、「高負荷やOC時にオーバーヒートする可能性があるからEATX12V_2の方にもケーブルを接続せよ(意訳)」というメッセージがPOST後に表示されるようになる