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Skylake-Xから1ヶ月足らずで最速王座を奪取!

Core Xに完全勝利!?「Ryzen Threadripper」で究極のマルチスレッド性能を堪能

2017年08月12日 19時50分更新

コア半減&メモリーレイテンシー抑制モードもある

 なぜRyzen Threadripperの構造に触れるかといえば、今回Ryzen Threadripperのメモリーアクセスモードは「Distributed」と「Local」という2つのモードが用意されているからだ。デフォルトのDistributedモードは全メモリーを等しく扱うため、コアが2基あるメモリーコントローラーの中の遠い方にアクセスする場合、レイテンシーが犠牲になる。そこでコアが自分のCCXに近い方のメモリーのみにアクセスするLocalモードにすれば、レイテンシーは大きく改善する。

 AMDはメモリーレイテンシーが効くゲームにはLocalモードが有効としているが、Localモードではメモリーコントローラーをまたぐようなメモリーアクセスが発生した場合、大きなペナルティーとなる。後のベンチでも示すが、万能のモードではないといってよい。

デフォルトではDistributedモード、あるいは「UMA」と呼ばれるアクセスモードとなる。2基あるメモリーコントローラーを区別せずに扱う

Localモード、別名「NUMA」モードは自分(コア)から見て一番近いにメモリーにのみアクセスするモード。メモリーアクセスは高速化するぶん、対岸のメモリーにあるデータにはアクセスできなくなる

Distributedモード(左)ではメモリーレイテンシーは平均86.9ナノ秒に対し、Localモード(右)では66.2ナノ秒となる

 このDistributedモードとLocalモードの切り替えはOCツール「Ryzen Master」で随時行える(ただし再起動が必要)。さらに多コアのCPU環境を苦手とするゲームのために、コア数を半減させる「Legacy Compatibility」モードもRyzen Masterで設定可能だ。1950Xであれば4+4コア、1920Xであれば3+3コアとなるので、Ryzen 7 1800XやRyzen 5 1600Xに近い構成となる。

 どのように無効化されるコアが選別されるかは明らかでないが、Legacy Compatibilityモードを使ってコア数を半減させてもメモリ搭載量は変化しないことから、2つあるCCXのペアのうち片方を無効化していると考えられる(CCX全体が無効になるとそれに付随するメモリーコントローラーも使えなくなるだろう、ということからの推測だが……)。

Ryzen Threadripperの温度監視やOC等をWindows上で設定できる「Ryzen Master」。上部に並ぶ16個のスライダー(1950Xの場合)で、コアごとにクロックを設定できる

 これらのモードはひとつひとつ手動で組み替えることもできるが、Ryzen Masterのウィンドー下端には「Creator Mode」と「Game Mode」という簡易的な切り替え機能が実装されている。前述のLegacy CompatibilityモードとDistributed/Localモードは次のような組み合わせになっている。

●Creator Mode(デフォルト)
CPUコア:全コア使用可能
メモリー:Distributedモード
●Game Mode
CPUコア:半数のコアのみ使用可能(Legacy Compatibilityモード)
メモリー:Localモード

Ryzen Threadripperの動作の標準設定はCreatorモードに準ずる。つまり全コアが使え、メモリーアクセスはDistributedモードとなる

Gameモードでは、Legacy Compatibilityモードが有効になり、さらにメモリもLocalモードとなる

 今世に出ている多くのゲームはコア数よりもメモリーレイテンシーの方が重要なのでその2つを組み合わせたGameモード、そうでない場合はマルチスレッド性能とメモリー帯域を優先させたCreaterモードを切り替えて使おう……というのがAMDのメッセージである。

 ただ、後で反例をひとつ示すようにGamerモードに切り替えたからといってどんなゲームも高速化する訳ではない。厳密にやるならCPUコア数とメモリーモードの4通りの組み合わせがどのゲームに合致するかを見極めていく必要があるだろう。

CreatorとGameモードの違い。Legacy Compatibilityモードを使わずにメモリーをLocalモードにしたい場合は、Ryzen Master上でプロファイルをつくる必要がある

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