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ハードウェアベンチャーは儲からないがロマンがある

旧ウォークマンのものづくりを受け継いだDJオーディオ機器「GODJ Plus」秘話

2017年08月11日 07時00分更新

儲からないがロマンがあるハードウェアベンチャー

 ヒットにつながった「GODJ Plus」のものづくりから学ぶべき点は多い。

 まずは既存のスマホにつなぐようなガジェットとは異なり、単体での価値を徹底的に追求している点。ドングルでのネット接続が後からできるようになる点など、IoTブームには逆行するような形だが、ハード単体での魅力を高めることは、商品の価値につながってくる。

 だが商品価値に結びつく技術がきちんと評価されるためには、ことコンシューマー向けハードウェアの場合、ストーリーも必要だということもわかる。ただのDJ用機器ではなく、音楽の楽しみ方を再発見できる新しいオーディオ機器という点と、かつてウォークマンを製造していた石巻でのものづくりは、訴えかけるに十分なストーリーがある。

 とはいえ宮崎氏は、これまでハードウェアベンチャーをやってきた結論として、「やっぱり儲からない」と笑う。トータルで考えて、それほど大きな利益が出ない。特に、クラウドファンディングの値付けは赤字のようなものだそう。

 「でもロマンはある。ソフトウェアを書くだけでは得られない達成感がそこにはある。そのため、今はハードに関しては赤字にならなければいいという感じで作っている。とにかく多くの人に使ってほしい」(宮崎氏)

 ユーザーが増えれば、DJ機器としてのプラットフォームの可能性が出てくる。そうすれば、音楽配信サービスと連携してロイヤリティーを得たり、製品に機能追加するソフトウェアアップデートを有償化することも考えられる。会社を維持発展させて行くには当然必要なことだ。現在の所は赤字だが、設計そのものや高く付く金型が手元にあるので、次のロットは利益が見込めてくる。今はそこを狙っているステージだ。

 クラウドファンディングの実施に関しても、手数料なども考えると、お金を集めるためという目的ではなくなってくる。「こんなモノを作れる会社があるんだ」という評判を広めたかったのだ。「GODJ」を出すことで、受託の案件も増えた。実力があるハードウェアスタートアップではよくあることで、今は技術を出し惜しみせずいろいろとチャレンジしているとのこと。

 ちなみに、「GODJ Plus」の1stロットは2000台で、Makuakeの発送分で一千数百台が発送済み。残りもすでに量販店や楽器店に出してしまい、在庫はない。9月上旬を予定している2ndロットの完成がいまから楽しみだ。

●株式会社JDSound
2012年2月2日設立。各種デジタルオーディオ製品の受託開発、全世界で大ヒットを果たしたDJシステムハードウェア「GODJ」、その次世代機「GODJ Plus」を展開。
資金は政策金融公庫からの借り入れ。
スタッフ数は2017年8月時点で7名。

JDSoundの宮崎晃一郎代表取締役が登壇!
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