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ニューロコンピューティングに期待される新たな素子

産総研、スピントロニクスを用いた人工ニューロンで音声認識に成功

2017年07月28日 16時00分更新

スピントルク発振素子を用いた人工ニューロンの回路図(左)と音声認識の成功率(右)

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)は7月27日、スピントルク発振素子を用いてニューラルネットワークコンピュータを試作、音声認識に成功したと発表した。

 スピントルク発振素子は強磁性体中のスピンを用いるスピントロニクス技術を素子に利用したもの。直流電流を流すと交流電流を発生する発振素子で、直流電流値を変化させると出力交流電圧値も変わるが、この際に緩和時間と呼ばれる時間的遅れと非線形な電流変化を伴うことからニューロコンピューティングにおける短時間記憶や非線形の処理に使えると着目した。

 スピントルク発振素子からなる人工ニューロン回路を試作し、音声信号入力して生じる緩和時間と非線形性により、「0」から「9」までの数字10個を学習させ、話者5人の10回のデータから認識率99.6%の音声認識に成功したという。

 スピントロニクス素子はナノメートルサイズと、光学式ニューラルネットコンピューターなどに比べると大幅に小さいにも関わらず同等の性能を示した。産総研では、今後この種の人工ニューロンを用いた大規模なシステムを開発に進むとしている。

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