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「セキュリティーAI」実現目指す 誰でもわかる形で不正ログインを防ぐCapy

2017年07月21日 07時00分更新

「利用する側への負担を強いるセキュリティーが多すぎる」

 Capyのソリューションが登場してから4年、岡田氏によれば、実際に攻撃を受けてもその影響での被害はほとんどないというから驚きだ。パズルを使ったセキュリティーは、子供でもわかる非常にシンプルでわかりやすいユーザーインターフェースでありながら、その背景に仕込まれた技術は非常に高度。

 JavaScriptのコード2行でOKというシンプルな導入ながら、たとえ最初の壁が破られても、あやしい挙動に対しては、動的なセキュリティーレベルの調整を行なうなど、十重二十重の体制が敷かれている。岡田氏自身、先を見据えた対策や考えを早くから持っており、もっと攻撃を受けて早く突破されると思っていたが、幸か不幸かその見込みは外れて、使っていない奥の手がまだまだ残されていると語った。

 サービスが開始してからの解約件数もほぼゼロとのこと。一度入れると外せない背景は、用途が非常にシンプルで、一般の使う側にとってわかりやすいセキュリティーを提供するという世界観からだろう。「利用する側への負担を強いるセキュリティーが多すぎる」(岡田氏)という、そのような視点で作られたサービスという点がCapyの強みといえる。

 この先岡田氏が向かうべきセキュリティー市場は非常に大きい。

 セキュリティー市場には、Capyやセキュリティーソフトのようなツールが半分で、もう半分に教育、運用などのコンサル領域がある。岡田氏のCapyはツールをカバーするが、「コンサル領域はAIで自動化する。そうすれば、ワンストップですべてが提供できる」と語る。

 「米国留学中に、トップクラスの人と付き合うことを目標にした。現在もそのつながりはあって、研究やディスカッションを続けている」。その先にあるものはなんだろうか。岡田氏は意外な言葉を述べる――「世界の平和を目指したい」

 全世界のセキュリティーレベルを向上することで、岡田氏は不幸な人を減らしたいと述べる。それはサイバー世界だけでなく、リアルな世界も含めてだ。「世界を変えるという大きなことをやるためには、発言力、成功事例が必要。一番手っ取り早いのは、“シリコンバレーで成功する”ことだと思っている。いまはまだその準備中」と述べる。

 日本における準備期間を経て、現在38歳の岡田氏は「思ったよりも時間がかかっていて、少々焦っています。もう人生、半分終わっちゃったんで」と苦笑いを浮かべた。

●株式会社Capy
2012年10月、米・デラウェア州にてCapy Inc.を設立。同時期に『Capyパズルキャプチャ』をローンチ。国内外で高い評価を得て、大手事業者を中心に製品導入が進んでいる。
資金調達では、創業時にジャフコより100万ドルを調達。そのほか株主には500 Startups、Intecur, K.K.。
現在、エンジニア・セールス・管理部門を募集中。

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