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「SIM内蔵」こそスマートウォッチの生き残る道

2017年07月17日 17時00分更新

 日々取材をしていると、一時ほどスマートウォッチの話がすっかり聞かれなくなっています。

 スマートウォッチだけあれば何でもできるようになるなんて話もありましたが、現実にはスマートフォンあってのスマートウォッチ。腕時計サイズの小さい画面できることは限られてしまいます。

SIMの入る腕時計型デバイスが増えている

スマホなしで使えるSIM内蔵ウォッチ
ヘルスケアなどの用途特化型が多い

 最近は、アプリを入れる高性能なスマートウォッチよりも、運動量を計測できるアクティビティートラッカーのほうが新製品の数も多いようです。

 また、子供や年配者の安全を確認できる通信機能内蔵の時計も種類が増えました。いまや日本でもMVNOの台頭により、格安料金でSIMを運用することができますよね。海外で売られているSIM内蔵腕時計は、ぜひ日本に来てほしいものです。

高機能が売りではなく、単体利用可能なSIM内蔵ウォッチ

 台湾で販売されている「Guider 800H」も、派手な機能を売りにしたスマートウォッチではありません。年配者の安全確認を第一にした製品で、LTEに対応。スマートフォンが無くともこれ単体で通話やデータ通信が可能です。

 機能はSOSボタンによる緊急発信、心拍数を計測する日々の健康管理。そして、スマートフォンがあれば医者からの健康アドバイスをうけられるなど、ヘルスケアを考えた製品なのです。

ヘルスケアに特化した時計だが、単体通信可能は大きな魅力

カメラも付いている「みまもり」タイプ
普段使いにも耐えられるようになってきた

 また、中国では子どもの誘拐が多いこともあってか、子ども用のキッズスマートウォッチが流行しています。

 数年前の製品はつくりが甘く防水処理も悪かったため、腕にはめて数日もすると内部に水分が入って動かなくなったり、ベルトがすぐに切れてしまうなんて製品ばかりでした。しかし、最近の製品は子供が毎日使っても壊れにくいだけの高品質なものになっています。

中国では子供用ウォッチが流行

 子どもが毎日腕にはめて使うものですから、IP65相当の防水防塵性能に対応。また、スマートフォン不要で、単体での通信が可能です。データ通信はEDGEで60kbps程度と低速ですが、メッセージのやり取りくらいなら十分できるでしょう。こちらの「糖猫COLOR T3」の価格は599元(約9800円)と気軽に購入できます。

低価格で高品質。子どもに安心して持たせることができる

 しかも、この糖猫COLORはカメラを搭載。カメラスペックは非公開ですが、VGAクラスでしょうか。240×240ドットのディスプレーに撮影した写真を表示、「SNOW」のような加工もできます。

 さらには、動画も10秒間撮影できるので、緊急時のみならず日常の風景も切り取れます。2GBのクラウドスペースも提供されるので自動保存が可能。これは子どもだけに使わせるのはもったいない製品でしょう。

カメラは動画撮影にも対応。クラウドへ自動保存できる

 実は、このメーカーはLTE対応の上位バージョンも開発中。ウォッチ部分の横に筒状のパーツがついていますが、これは5メガピクセルのカメラユニット。ここまで高画質であれば腕時計型カメラとしても使えそうですね。

 こちらは今年の秋発売予定、価格は1500元台になりそうとのこと。シックな色合いの大人向けバージョンも出してほしいものです。

LTEに対応し、5メガピクセルカメラを搭載する上位モデルを開発中

省電力なLPWA通信の対応に今後注目

 しかし、LTEに対応となると電池のもちが心配なところですね。スマートウォッチで一番電池を食うのは実は通信回線かもしれません。

 ということで、アクティビティートラッカーや位置情報確認用のウォッチには、LPWA (Low Power, Wide Area)の通信モジュールを搭載した製品が向いているのかもしれません。すでに韓国では全国でLPWA規格のひとつであるLoRaネットアークが構築され、LoRa内蔵で単体通信可能なウォッチが出てきています。

LoRaネットワークに対応したウォッチ製品。単体で利用できる

 日本でもドコモなどがLoRaのテスト運用を始めていますし、Sigfoxなど、ほかのLPWAネットワークの展開も始まっています。スマートウォッチは今後高速通信可能なLTE対応製品と、低消費電力を売りにするLPWA対応製品のように二極化してくかもしれません。

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