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NTTデータのオープンイノベーション「豊洲の港から」定例会

「アベンジャーズができる」ベンチャー・NTT連合が最新スポーツ・エンタメテクノロジーを披露!

2017年07月24日 07時00分更新

 NTTデータによるオープンイノベーションプログラム「豊洲の港から」第2回定例会が2017年6月30日に開催された。同イベントは、ベンチャー企業、NTTデータの大手顧客、そしてNTTデータの3者が互いに「Win-Win-Win」の関係となるような新規ビジネス創発を目的としたオープンイノベーション活動。

 今回は「スポーツ・エンタメ」をテーマとして、同領域にて新サービスや製品を生み出し、ビジネス展開しているベンチャー企業やNTTグループの関係者が登壇。各人が現状行っているサービスや研究内容を披露した。

開会の挨拶は、ファシリテーターとして参加した「豊洲の港から」を運営するNTTデータの残間光太朗氏

被写体中心の360度動画、次世代楽器、高レベルロボットハンドが登場

 会の冒頭にスペシャルトークショーとして登場したのは、AR三兄弟長男の川田十夢氏。自身が携わってきたVR・ARに関連する内容として、ANREALAGE 2017 S/S PARIS COLLECTIONやきゃりーぱみゅぱみゅの動きをセンシングして映像とシンクロさせた舞台内容などをプレゼンした。

 AMATELUS JAPANの創業役員CTOである松田光秀氏が披露したのは「Swipe Video」。一般的な風景が回転する360度動画ではない、被写体を中心に360度回転するを展開する動画を提供するサービス。市販のスマホで簡単に撮影可能で、そのまま外部サイトなどに埋め込んでHD画質での動画を配信できる。

 発表後に実施されたデモでは、優れたアルゴリズムによって行なわれる短時間処理に、来場者は驚きを見せていた。

 しくみデザイン代表取締役の中村俊介氏は、3Dでの画像認識によってPC上で演奏可能な楽器「KAGURA」をプレゼン。中村氏は「KAGURA」での身体を使った演奏と、直感的で優れたユーザーインターフェスを壇上で解説した。

 メルティンMMIの取締役技術責任者(CTO)關達也氏は、筋電センシングによるロボットハンド/筋電義手についてプレゼン。

 高レベルな独自の生体電気信号の処理技術による生体との同期は、元となる人の動きを高精度でなぞる。これまでにない高出力な義手を生み出す技術は研究外でも評価を受けている。2016年10月にスイスで初開催されたサイバー義体者による五輪「サイバスロン」にもメルティンMMIはチームの一員として参加を果たしている。

3D映像、スポーツ解析……NTTサイドによる研究成果

 ベンチャーのプレゼンの一方で、NTTサイドも大手ならではの研究成果を披露した。

 NTTサービスエボリューション研究所の宮武隆氏が発表したのはイマーシブプレゼンス技術「Kirari!」の取り組み。被写体抽出技術、4K映像のリアルタイム処理、音・映像の低遅延での伝送処理、臨場感のある音像定位技術を組み合わせた3Dリアルタイム中継を実現するのが「Kirari!」だ。

 従来の映像・音声だけのライブ中継を超えた、別の空間にそのまま対象となる人物を抜き出すような仕掛けだが、スポーツのパブリックビューイングやライブエンターテイメントへの活用が期待されている。

ニコニコ超会議で反響を呼んだ超歌舞伎でもKirari!の技術が活用されている

 プレゼンのトリとなったNTTコミュニケーション科学基礎研究所の西條直樹氏は、自身が手がけるスポーツ脳科学プロジェクトでの研究成果を発表。

 アスリートがプレイ中に発揮する潜在的な脳機能を学習し、従来の人がなかなかトレーニングできなかった「脳を鍛えるトレーニング手法」開発を目指した研究を行っている。

 ソフトボール界ではイチロー並みとたたえられるプロ選手とルーキー選手の比較では、ボールが放たれてからわずか0.1秒単位での認識の違いからバッティングを調整する”違い”に驚きの声が上がっていた。

最後に川田氏は、会場でのイベント内容そのものをリアルタイムでの3DモデルにARデータ化したものを披露

 六者六様のさまざまなスポーツ・エンタメに関連する最新テクノロジーや知見が盛りだくさんとなった会をまとめて、川田氏は「今回集まったメンバーでアベンジャーズができる、そんなレベルの高い内容だった」と締めくくった。

 このようなテクノロジーがスポーツやエンターテインメントの現場に導入され、今までになかった新しい体験やプレイ、コンテンツの誕生がいまから楽しみだ。

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