『Is This The Life We Really Want?』
Roger Waters
ロジャー・ウォーターズの『死滅遊戯』(1992年)以来25年ぶりのニュー・アルバム。彼のBlu-ray Disc作品TheWallは、圧倒的な高画質とDolby Atmosのイマーシブサラウンドにて、私の映像イベントの定番だ。
1曲目When We Were Young。冒頭のぼけたナローレンジ音から、徐々に鮮鋭感、解像感が上がり、明瞭にワイドレンジな語りになり、アコースティックギターが加わり、ついにはロジャーの歌が出現する。冒頭のボケとの対比が鮮やかで、低音の偉容感、安定感をベースにピアノ、ストリングスが主張し、ロジャーの力強いヴォーカル音は、音楽の剛性感をいやが上にも高める。爆発音、ジェット音やサウンドイフェクトが効果的に使われている。ナレーションを初めさまざまなSEがクリヤーに聴けるのは、ロジャーの典型的な作風だ。
FLAC:48kHz/24bit
Columbia、e-onkyo music
坂本冬美のカバーアルバムシリーズ「LOVE」シリーズからのベスト集。典型的な歌謡曲音調。主役は圧倒的にヴォーカルだ。センターに定位した音像がものすごく大きく、肉付きが豊潤。音の粒子がそのなかにぎっしりとつめ込められている印象も。イコライジングでは中域が強調され、艶艶としている。オーケストラもきらきら煌めく、まさに邦楽的なブリリアントなサウンドだ。ハイレゾは、歌謡曲的なキャラクターの特徴をさらにブーストする方向に働くようだ。名曲「オリビアを聴きながら」は粘性が高く、こぶしも聴ける坂本節。
FLAC:48kHz/24bit
Universal Music、e-onkyo music
1/7レコーディング・ライブ『しょうことスタインウエイのお正月』
鈴木祥子
銀座・音響ハウスでのDSD11.2Hz録音。ひじょうにクリヤーで、中味が詰まった音だ。タイトルにもあるスタインウエイが実に堂々と音を発し、倍音を豊かに放出している様子を、11.2Hzは余すところなくとらえている。ヴォーカルの実体感も充実しているが、リニアPCMの場合のように、ストレートにヴォーカルの音が飛んで来るというより、ヒューマンなフィルターを通過させて、濃密な空気感を纏って、スピーカーから発音させる印象だ。DSDのもともとの特質は2.8MHzからも感じていたが、11.2MHzでは、音の情報量が圧倒的に増えたなかでも、そんなDSDのヒューマンライクな音調は変わらないのが嬉しい。2017年1月7日、音響ハウス第一スタジオでのレコーディング・ライブ。
WAV:96kHz/24bit、FLAC:96kHz/24bit
DSF:11.2MHz/1bit
BEARFOREST、e-onkyo music
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