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WSD-F20は外遊びを俄然、始めたくなるツールだ

カシオ魂炸裂!プロトレックスマート「WSD-F20」の開発秘話

2017年07月06日 17時00分更新

GPS搭載の理由とオフライン地図選びのこだわり

実装系の責任者である新規事業開発部 第三開発室 室長 鈴木晃氏

 F10がGPSを搭載しなったのは、当時はスマートフォンとセットが前提だったので、位置情報はスマートフォンからきちんと取ればいいと判断。しかし、第2弾F20に搭載することになった。「F10を購入していただいたお客さまからの声や市場の反応をみる中で、アウトドアはもっと広く、いろんなシーンで使いたいというニーズがあることがわかったんです。例えば、スマートフォンの電波が入らない所へ行ってしまうと、電波を探しまくって電池を消耗してしまいます。そうなると肝心のライフラインが使えなくなってしまいます。そういったアウトドアの中で、スマートフォンを使うシーンが非常に多いことがわかり、それならスマートウオッチにGPSを載せることができれば、スマートフォンがなくてもウオッチ単体で、世界のどこにいても今の自分がどこにいるかわかるようになります。そういったものをきちんと基本価値として組み入れようと、F20の開発に取り組みました」(坂田氏)。

回路系の責任者である新規事業開発部 第二開発室 室長 水野公靖氏

 F10とF20のサイズはほとんど変わらず、しかも重さは1g軽くなっている。GPS機能を時計の中に組み込むにあたり、かなり苦労したという。「GPSの搭載にあたっては、いろいろと参考にしつつ試行錯誤して取り組んできました。非常に微弱の電波を扱うため、中の機器が動いている最中に、どんな動作になるのか、あまりわかっておらず、本当にいろんなものを試してきました」(鈴木氏)。

 アメリカのGPSだけでなく、日本の「みちびき」、ロシアの「GLONASS」にも対応。極力多くの衛星を捉えることで、精度の高い位置情報を提供できるように努力してきた。「GLONASSだけが若干周波数帯が違うんです。このため両方の周波数帯に最適なアンテナを設計したのですが、それはカシオの中のノウハウのひとつとしてやっています。非常に微弱な電波なので、金属帯がそばにあることがネックになります。なのでアンテナはベゼルの下にあるガラス部分に載せています」(水野氏)。

アンテナは、ベゼルの下の赤い線で示した位置に入っている。フィールドチェックを重ねてこの位置に落ち着いた

 搭載するGPS処理機能は、低消費電力タイプを採用。Lowパワーでも高精度を実現するため、デバイスメーカーと協力して取り組んできたそうだ。「今回採用したGPSチップは、一般的なチップに比べて1/3から1/4の消費電力で動かせるようになっています。そのデバイスメーカーとは、ソフトウェアに関してもいろいろとアイデアを出しながら、チューニングしていくことによって、さらにLowパワーで高精度を実現しています」(水野氏)。

オフラインで利用する地図はMapbox社のものを採用。アウトドアでの利用を考慮した結果だ

 GPSを搭載することで、オフラインで地図を利用できる仕組みを取り入れた。その地図にMapbox社製のものを採用したのにも理由があった。「Mapboxの地図には、等高線の入ったものや衛星画像など、アウトドアに実用的なデザインがいくつかあります。例えば釣りへ行ったとき、普通の地図だと道と地形は載っているけれど、消波ブロックは記載されていないんですよ。でもそんな時に岩場や消波ブロックの衛星画像があれば、釣りのポイントとなりますし、自分が釣った場所が地図に記録もできます。そういったアウトドアで多彩な表現ができ、実用的で見やすい地図を考慮しました」(坂田氏)。

「トラベラー」には、地図も表示できる。その地図もMapbox社のものを利用している。地図表現のバラエティーに富んだところも採用した理由のひとつ

 「また、ウオッチフェイスのひとつに「トラベラー」というのがあり、従来 のPRO TREK PRX-8000シリーズのデザインを踏襲しつつ、時刻を表示しながら、画面の下半分に現在地の地図を表示することができます。その地図にもMapbox社のものを使っています。実用的な地図だけでなく、普段お客さまが目にする時計として、世界のどこにいても自分の位置がわかるというコンセプトを入れたかったので、デザイン的におしゃれで、ダークな階調の地図を活用しました。実用面+デザイン性の両面で、地図を選定して搭載しています」(坂田氏)。

 アウトドアとしてのスマートウオッチの魅力を増すための努力を惜しまない。カシオの魂を感じた。

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