週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

医療事務検定に合格できることが開発エンジニアの証!?

クラウド電子カルテのセキュリティを支える「Clipla」の開発体制

2017年07月06日 11時00分更新

文● 小池晃臣  編集●村山剛史
提供: クリニカル・プラットフォーム

2016年1月にサービスを開始したクラウド電子カルテ「Clipla(クリプラ)」。ブラウザだけで利用でき、誰でもかんたんに利用することができるようシンプルなインターフェースを実現するなど、従来型の重厚な電子カルテとは大きく異なる「Clipla」は、日本の医療にどう貢献しようとしているのか──6回にわたって探っていきたい。

開発エンジニア・チームのチーフである岩崎匡寿氏にお話を伺った

顧客のデータの安全を最重視し
医療専門知識のあるエンジニアチームが開発

 本連載ではこれまで、クリニカル・プラットフォーム社のクラウド電子カルテ「Clipla」が従来の電子カルテとはどこが異なるのか等について、さまざまな角度から検証してきた。

 昨今、電子カルテは比較的ポピュラーなソリューションになりつつあるが、クラウド電子カルテの本格的な普及はこれからだ。低コストと機能拡張性は魅力的なものの、なんとなく二の足を踏んでいるクリニックも少なくないのでは。

 医療分野を支えるサービスは、先進性やシンプルな解決を旨とするB2Cサービスとは根本的に異なるアプローチが必要だ。その点、クリニカル・プラットフォーム社は「安定性を重視」「拡張性を考慮した各種技術の選定」「業務への理解に基づいた、実用的な機能の実装」の3つをプロダクトポリシーとして掲げており、クリニックの日々の業務が当たり前に回ることを第一に開発を進めている。

 今回は、新しい時代のクラウド電子カルテ「Clipla」がどのような人々によって、いかなる考えのもと作られているのかを紹介したい。ご登場いただくのは、開発エンジニア・チームのチーフである岩崎匡寿氏だ。

エンジニア同士の相互監視など徹底的なセキュリティ対策が肝

── 岩崎さんは、開発チームのチーフとして特にどのような点を重視していますか。

岩崎 やはり、お客さまの大事なデータが万が一にでも漏えいなどすることのないよう、徹底的に対策しています。

 一般的に、大規模なデータ漏えい事件というのは大半が内部による犯行ですが、外部が原因の場合もずさんな運用管理によることが多いのです。そこで当社では、「Clipla」の開発エンジニアがいるなかで、運用データに触れることができるのは限定された社員のみで、それぞれ厳しい相互監視を行っています。

 そのほか、ビジネスチャットツールの運用においても、情報保全の観点から、個々人が入室できるチャンネルが明示的に分けられています。データの取り扱い等については必要最低限に行うようにしており、安全と安心を確保しているのです。

カスタマーサポート・チームと打ち合わせ中。情報保全はもちろんだが、各チーム間の情報共有もまた重要だ。サポートに寄せられた相談内容を素早く反映できるのはクラウド型である「Clipla」のメリットと言える

エンジニアも医療事務検定を受験!
だから現場の声を理解した開発が可能

── エンジニアでも医療分野の知識は必要だと感じますか。

岩崎 必要だと考えております。電子カルテの場合、厚生労働省と経済産業省、総務省による「3省4ガイドライン」があり、ガイドラインを読み込み、理解することが非常に重要です。事業開発や法務の専任スタッフとともにガイドラインを適宜確認しながら、電子カルテとして満たすべき情報と要件をまとめ、そのなかで開発チームが理解しておくべき情報を適宜共有しています。

 また、レセコン(レセプトコンピュータ)と呼ばれるシステムに対する知識が多く要求されるため、医療事務に携わる職員や担当者が取得している医療事務検定の資格を、当社では顧客とのコミュニケーションを担当するカスタマーサポート部門だけにとどまらず、開発に携わるエンジニアも取得しています

―― なるほど。第3回の眼科クリニック院長へのインタビューでも開発スタッフとの密なやり取りがあったと聞きましたが、カスタマーサポートやエンジニアスタッフともに医療分野の基礎知識が備わっているからこそ可能なのですね。

クリニカル・プラットフォーム社では、エンジニアも「医療事務検定」取得相当の基礎知識を保持している。写真の検定向け冊子などを手に日々勉強を続けているという

Cliplaはこれからも「医療者が質の高い医療を少ない労力で実行できる環境」の提供を目指す

── 開発エンジニアとして働きがいを感じる瞬間を教えてください。

岩崎 何と言っても、お客さまの医療現場で役に立ったという声をいただいたり、喜んでもらえたときですね。実際にお客さまのクリニックに赴いて、日々のオペレーションや導線まで考えたうえでサービスの設計、開発をしていますので、サービスや新しい機能が医療現場の生産性やコミュニケーションの改善につながった際の喜びは大きいです。

―― 最後に、「Clipla」の開発姿勢や目指すべきゴールについて教えてください。

岩崎 「Clipla」の開発にあたっては、医療分野の課題解決を目指す開発体制であること、医療の仕組みを着実に実装すること、この2つが重要になります。

 そのためには、前述した3省4ガイドラインを網羅し、各クリニックにおける使い勝手も見極めたうえで、何よりも安定性を重視します。エンジニアは確実に動き続けることを第一に開発を進めますので、新しく登場したソフトウェアやサービスに安易に飛び付くことはありません。

 一方で、クラウド電子カルテのメリットである拡張性の高さも活かしていきます。実際、現在は安定性を維持しつつ毎週のように新機能を実装しています。

 そして繰り返しになりますが、「Clipla」は高度に入り組んだ医療業務を支えるためのものですから、開発者たちも医療分野の知識を積極的に身につけています。クリニックへの導入時には、クリニックスタッフの皆さんとエンジニアが直接話し合うことで、現実の業務に即した形で改善や新機能実装を行なうことができます。

 なお、クラウド電子カルテ「Clipla」のご提供先は、国内約10万件のクリニックさんです。1つのクリニックごとに仮に3名が使うとすれば、ユーザーは30万人ほど。アクティブにご利用される時間帯は診療時間となります。こうした仕様は、コンシューマ向けサービスのような、システム規模やアクセス負荷をエンジニアの腕で制するような「エキサイティングな仕事」ではありません。むしろ「Clipla」の持つ社会的意義について重んじ、また魅力を感じることができるような人に仲間に加わって欲しいですね。

 “Better Quality with Less”──この言葉に表されているように、医療者が質の高い医療を少ない労力で実行できる環境を提供することこそが、我々の目指すゴールです。

(提供:クリニカル・プラットフォーム)

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事