気になる「格安SIM」の品質は? なぜ安いのか
月額1000円台のプランと聞いてまず気になるのは、料金と通信品質だろう。ここまで安いと、サービスやエリア、通信速度など品質の面で不安さを感じてしまう。まずは、格安SIMがなぜ安いのかから見ていこう。
格安SIMの料金の代表的な例として、IIJmioの料金プランを紹介する。格安SIMブランドは数多くあるが、その多くが近い料金で提供している。
【IIJmio 音声通話機能付きSIM月額料金】
※パッケージ価格/初期費用3240円を除く
●3GB ミニマムスタートプラン:1728円
●6GB ライトスタートプラン:2398円
●10GB ファミリーシェアプラン:3521円
なぜ格安SIMの提供会社は低価格で携帯電話サービスを提供できるのだろうか。
その答えのひとつが、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)という運営方法だ。簡単に言えば、携帯電話サービスを提供したい企業が携帯電話の全国ネットワーク設備を持つドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクのいずれかから通信設備を有償で借りてサービスを提供している携帯電話会社を指す。格安SIMの事業者は、この借りた設備に対して多くの契約者を集めることで安い月額料金を実現している。
また、格安SIMはこの仕組みに加えて契約やサポートの手続きをネットや電話での対応を中心にするなど、サポートの規模や人件費を抑える取り組みで月額料金を低くしている。
格安SIMの利用エリアは?
携帯電話会社の設備を借りるMVNOの利点として、エリアの広さがある。たとえばドコモの通信網を借りた格安SIMなら、全国のドコモのエリアをそのまま利用できる。KDDI(au)やソフトバンク網を借りた格安SIMの場合も、それぞれの全国エリアで利用可能だ。
これは、契約する格安SIMは月額1000円台のプランでも変わらない。ドコモの通信網を借りている格安SIMと、ドコモの通信網に対応したスマホさえあれば、人口カバー率99%以上のエリアで通話や通信を利用できる。
通信速度は格安SIMブランド次第、昼間は遅いことも
一方で、通信速度についてはドコモ、au、ソフトバンクと、格安SIMのあいだで月額料金なりの差が出てくる。
下記の表は、渋谷駅前で平日の通信速度を比較した表だ。特に昼の12時台や夕方18時ごろは、ビジネスマンや学生などの昼休憩や帰宅が集中して通信が混雑する。なかでも、格安SIMは通信速度の落ち込みが大きい。
速度低下の理由だが、格安SIMはドコモなどから通信設備を有償で借り、より多くのユーザーで共有することで低価格を実現している。このため、多くのユーザーが一斉に通信を利用すると通信設備が混雑し、通信速度が極端に遅くなるというわけだ。
ドコモやau、ソフトバンクは長年の膨大な設備投資で全国ネットワークを構築しており、自社の持つ通信回線を最大限に活用できる。格安SIMでもサブブランド系のY!mobileとUQ mobileもほぼ同じ立場だ。このため、混雑する時間帯でも十分な通信速度で利用できる。
では、格安SIM側も借りる通信設備を増やせば通信速度が改善すると思うはず。しかし、借りる通信設備を増やすとそのコストが値上げにつながってしまい、ドコモやau、ソフトバンクに対する“格安”という魅力が失われてしまう。
なお、格安SIMブランドによってはmineoのように月額864円で通常よりも高速な通信を利用できる「プレミアムコース」の提供といった取り組みを進めているところもある。
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