スタートアップの成長曲線からウェブマーケティングの未来まで語られた特別セミナー
B2Bマーケティングに近道なし 時代の変遷に応える立ち位置のヒント
世界の流行りからAI、IoTまで
重要テーマについてトークセッション
第2部では主催者であるASCII STARTUPのガチ鈴木がテーマを用意し、各講師がそれについて語っていくという形式で、トークセッションが行なわれた。
“ウェブにおける流行の取り入れは重要か?”というテーマでは、倉橋氏が「新しいサービスに触れ続けることが重要。慣れ親しんだものについつい傾斜してしまいがちだが、自然に新しいものにキャッチアップする必要性があると思う。今後も新しいサービスはどんどん出てくるはずなので、その背景の流れを考えるべき」と発言。これに洪氏も同意し、「実際に触ってみるのは大切。ただ我々は、新しいものに手を出しても、すでにあるものを疎かにはしないという方針。今あるものを見直しつつ、方針がぶれないように選択していくのが重要」と持論を展開した。
続いての“オウンドメディアの重要性”というテーマでは、平田氏が「オウンドメディアは、スタートアップにはとても重要。Reproもオウンドメディアを運営しているが、最初のオリジナル記事がバズった結果、営業先でのお客さんの反応がとても良くなった。記事作りから自社プロダクトの改良にもつながるため、ぜひ活用すべき」と、自らの経験を元に力説。続いて、洪氏も「我々は、BiNDのユーザー育成という側面を主軸においている。スキルアップを意識した記事作りを心がけている」と、オウンドメディアの必要性を説明した。
3氏の答えが「自社のプロダクトに真摯に向かい合うことを最優先にすべき」と共通したのが、“最少人数のスタートアップでの取捨選択を考える際に重要視する順番は?”というテーマ。スタートアップ企業にとって切実なテーマだが、平田氏は「スタートアップ企業は、結果を出さないとすぐに潰れる。いろいろな起業家や投資家等との人脈づくりも大事だが、それよりもプロダクトの質を上げ、結果を出すことに集中したほうがいい」と強調。これに同意した倉橋氏も「スタートアップは新しい価値を作り、急成長を目指すべき。本質を愚直にやることが最重要」と語り、これに洪氏が「プロダクトに真摯に向き合うと同時に、ユーザーと向き合った内容も大事にする必要がある。ユーザーから視線が離れると危ない」という注意点も追加した。
“ウェブマーケティングの世界の流行は?”というテーマでは、平田氏が「ウェブとアプリのデータ連携からのマーケティングは、間違いなく来ると思う」と回答。さらに一歩進んで、その流れはIoTにまで行くのかもしれないと考えており、「ReproもIoTの事業には将来的に参入したい」という意向を明かした。それに対して、倉橋氏は「解析ツールがどうなっていくかが重要。データ分析だけでなく、アクションにつなげる機能が求められている」と説明。さらに「オフラインのデータ(これまでデータ化されなかったもの)をどう使うか、どう分析するかが重要になるだろう」と答えていた。
このテーマの流れで“AIなどによって自動化が進むと、人の仕事はどう変わるのか?”という話題に話が及ぶと、3氏ともに「人の仕事が減ることはない」という認識で一致。倉橋氏は「AIは万能だと考えられがちなので『AIの搭載はまだですか?』とよく聞かれる。自動化されたものの感動は長続きしない。今後も“人間らしい”対応の必要性が高まり、人の仕事の重要度は確実に上がると思う」との見通しを披露。平田氏も、多くの企業で導入したツールがあまり活用されていない現状を指摘し、「導入ツールの活用法のコンサルティングなど、人によって運用されることはまだ多いし、そのあたりの人材はまだ不足している」と語った。
それぞれの講師のマーケティングに対する考え方と実例、将来予測などが披露された今回のセミナー。来場者も多くの学びを得て、充実感を胸に帰路についたようだった。
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