5月14日、東京ビッグサイトにて国内最大級のアナログゲームイベント「ゲームマーケット2017春」が開催された。
ゲームマーケットは「電源を使用しない」アナログゲームのイベントで、出展者が製作したさまざまなジャンルのボードゲームやカードゲーム、テーブルトークRPG、シミュレーションゲームなどが販売されている。購入を検討している人向けの体験卓があるブースもあり、1日中アナログゲームを楽しめるイベントだ。今回のゲームマーケット2017春では1万3000人が来場した。
ファミ通のVRを活用したアナログゲームだニャ-
ファミ通編集部が制作した初のアナログゲーム「ウルタールの化け猫のぼくたちがVRを奪い合って呪われた屋敷から脱出するゲーム」(略して「うるばけ」)の体験会が開催されていた。アナログゲームが好きな同編集部の小川紗恵子氏が企画したゲームで、攻略にVRを使用することが特徴だ。
ゲーム内容はオリジナルのダイスとカードを使ったすごろくだ。プレーヤー同士で、VRゴーグルを奪い合いながら制限時間内にVR空間に隠された文字を組み合わせてキーワードを完成させる。
VRゴーグルを見る権利はすごろくで決定され、権利を得たプレーヤーは「ニャー!」と叫ぶ。VRゴーグルを見ているプレーヤーは、叫んだプレーヤーにVRゴーグルを渡さなければならない。この叫んで権利を主張する仕組みはおもしろく、参加している大人たちが「ニャー!ニャー!」と大声で騒いでる様はとても賑やかであった。
ウルタールの化け猫のぼくたちがVRを奪い合って呪われた屋敷から脱出するゲーム
デザイン:下嶋健司/ titanheads
イラスト:ねこいた/Nyoro
プレー人数:3~6人
プレー時間:15~25分
対象年齢:10歳~
対応OS:iOS 8以降/Android 4.4以降
価格:4629円+税
発売:5月20日より全国書店にて発売予定
東京ドイツゲーム賞の注目タイトルが製品化!
「ニューゲームズオーダー」ブースでは「第2回東京ドイツゲーム賞」で審査員特別賞を受賞した「六次化農村」と、最終候補作品に残った「ハツデン HATSUDEN」の製品版を販売。
東京ドイツゲーム賞はテンデイズゲームズとニューゲームズオーダーの共催によるゲームデザインコンテストで、1990年代から隆盛を誇った「ドイツゲーム」というジャンルをリスペクトしている。第1回で大賞を受賞した「枯山水」は、プレーヤーが禅僧となり枯山水庭園を造るゲームで、独特なプレー風景がソーシャルメディアで拡散され大きな話題を呼んだ。第2回は2016年12月に募集要項が発表され、8ヵ月間にわたり選考が実施された。
六次化農村は、普段は円卓Pとして活動する神田恒太郎氏が考案したボードゲーム。六次化産業とは一次産業(農業)、二次産業(製造/加工業など)、三次産業(流通/サービス業など)が連携した経営形態のことをいう。プレーヤーは農業を営み、どれだけ村に貢献したかを競う。
同ゲームの大きな特徴は「議会」での政治要素だ。議会ではプレーヤーの利益に関わる公営の加工場や橋の建設場所、補助金制度による作物の販売や土地購入の優遇が採択される。議会で影響力を持つには資金やほかのプレーヤーとの協力が必要となる。神田氏は「和ティストのボードゲームで、実社会でのドロドロとした人間関係を再現しました。細かく書き込まれたドイツゲームらしいデザインのディティールにも注目してください」と語った。
六次化農村
プレー人数:3~4人
プレー時間:120分
対象年齢:大人向け
作者:神田 恒太郎
画:西村 優子
ゲームマーケット販売価格:6500円
「ハツデン HATSUDEN」はサークル「itten」が考案/デザインした2人用カードゲーム。5種類の自然エネルギー(太陽・地熱・風力・水力・バイオマス)を利用した発電所をつくり、街への送電網を完成させ、相手より多く発電できるように競うゲームだ。各発電所が電線で接続し、街へと送電されてく過程がビジュアル的に理解できるデザインになっている。
ittenの島本直尚氏らは「子供にも電力問題が理解できるゲームにしたいと考えて開発しました。デザイン面で苦労した点は抽象的になりすぎず、わかりやすい見た目にするバランス調節です。”ひっくり返す”というカードゲームならではのアクションをぜひ楽しんで欲しいです」と語った。
ハツデン HATSUDEN
プレー人数:2人
プレー時間:30分〜
年齢対象:10歳〜
価格:1800円
HATSUDEN_PV from itten-games on Vimeo.
オンライン対戦も可能!? 石川県能登町の伝統ゲーム「ごいた」
ごいた保存会東京支部ブースでは、竹駒やカードを使用した「ごいた」の体験会を実施していた。
ごいたは石川県能登町に伝わる伝統ゲームで、将棋の駒に似た竹の駒を使って2対2のチーム戦で得点を競う。ランダムに配られた手持ち駒を順に出してゆき、最初にすべての駒を出した人のペアが得点を獲得する。あがる駒ごとに得点が異なり、150点を獲得した組の勝利となる。ごいたの駒と将棋の駒のちがいは、「桂馬」は「馬」、「歩兵」は「し」と書かれており裏面には何も表示がないことだ。
近年ごいたのカード版が発売されたことで認知が広まっている。「能登ごいた保存会」は東京や大阪をはじめ各地区に設立されており、全国大会も開催されている。オンライン対戦が可能な「ごいたオンライン」というサイトも存在する。
ごいたで正式に使用する竹駒は製作者が少ないゆえに、あまり流通されていない。筆者もカードでプレーしたことはあるが駒を使用した対戦は初めてで、小さな竹駒をパチパチと並べる感覚がとても心地よかった。
ブースでは、ごいた専用の駒ではないが裏面には何もかかれていなので竹駒のように遊べる「受け将棋」という駒を1000円で販売。さらに、ごいたカードやごいたグッズなどをラインアップしていた。
剣をブンブン振り回す!TRPG生身で再現した「LARP」
「TRPGフェスティバル」ブースでは、TRPG(テーブルトークRPG)を生身で再現する「LARP」(ライブ・アクション・ロールプレイング)の戦闘体験会が開催されていた。
普段のLARP戦闘はサバイバルゲーム用のフィールドで実施されており、参加者各々が制作した武器や装備を着用してプレーする。武器は人に当たっても怪我のしづらい軽い素材を採用し、肩から腰までのヒットポイントを制限して戦う。インストラクター同士の戦闘は動きが洗練されており、アクション映画の殺陣のようであった。
神経衰弱で戦う「関ヶ原」がシブい
TUCGAMEブースでは新作タイトル「慶長五年 関ヶ原」を販売。神経衰弱に戦術性を組み込んだ遊び方が特徴で、石田三成率いる「西軍」と徳川家康率いる「東軍」に分かれて対戦する。
両陣営は20種の武将ユニットが揃っており、神経衰弱なので各プレーヤーは合計40個の駒を使用する。基本的なルールは相手陣地の武将をめくってゆき、ペアで武将をめくることができた場合はその武将を排除できる。各軍の大将を排除することがゲームの目的だ。
大将「石田三成」や猛将「島左近」などの特定の武将はプレーヤーの攻撃回数が変化したり、ペアでめくられても排除されないといったスキルを保有している。また、戦略要素として「戦場」にいる武将を相手にめくられることのない「本陣」に戻すことが可能だ。本陣にいる武将をコストとして戦場に出撃させることで「戦術」を実行でき、対戦を有利に運べる。
本陣や駒に描かれた家紋の作り込みはもちろんのこと、「寝返り」という戦術を徳川軍は0コストで実行できるなど各軍の史実に沿った特徴をゲームにうまく反映させている点も素晴らしい。
慶長五年 関ケ原
ゲームマーケット価格:4500円
製品を増産しだい、委託などの方法にて販売予定
次回の「ゲームマーケット2017秋」は東京ビッグサイトにて12月2、3日の2日間で開催予定。7月から出展者の1次募集を開始する。
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