0.001mmナノダイヤフラムで勝負するHiFiMAN「SHANGRI-LA」
平面駆動型の老舗であるHiFiMANはフラッグシップモデル「SHANGRI-LA」が受注生産開始を宣言。ナノ粒子でコーティングされた0.001mm以下の薄さを誇るナノダイヤフラムを使うことで、歪みがほとんどゼロで7Hz~50kHzのワイドレンジ再生を実現した。
電極にはグリッド幅が0.05mm以下になる金属メッシュを使っている。また、ダストカバーにもナノメーターサイズの細かいものを採用。ドライブするアンプはドライブ段に傑作真空管300Bをプッシュプルで使用、その裸特性の良さを生かすためコンデンサーとトランスを使わない回路設計となっている。
ボリューム調整には可変抵抗を使わず、リレーを使った高精度な固定抵抗切り替え型を採用、23個の抵抗を使って、24ステップで音量調整ができる。ダイナミック型の「SUSVARA」はステルスマグネットと呼ばれる技術で固定電極間を抜ける時の音の反射や屈折の影響を劇的に減少させたという。どちらのヘッドフォンも真空管ハイブリッドアンプで駆動され、平面駆動型ならでは繊細な音と広大な音場感に加えて、HiFiMANらしい華やかな高域を聴かせてくれた。
密閉型にこだわるMrspeakers「AEON FLOW」
市販の平面駆動型ヘッドフォンのカスタマイズからスタートした生粋の平面駆動型メーカーがMrspeakersである。設計者でCEOでもあるダン・クラーク氏は独自開発したV-Planner型振動板を使ったオリジナル設計の「ETHER」でデビュー。その完成度の高さに驚かされた。
この時に密閉型の「ETHER C」も同時に登場した。当時の発表会では、妻にうるさい音漏れを直さないと離婚すると言われたので密閉型も作ったと冗談めかして語ったダン・クラーク氏が会場を沸かせていた。
今回、登場したのはティアドロップ型のポータブル用ヘッドフォン「AEON FLOW」である。小型軽量であると同時にETHERシリーズの全ての技術を搭載して、上位モデルの性能と快適さを引き継いだコスパに優れたモデルであるという。
小型化するために振動板の面積が減り、これを補うためにV-Planner型振動板の導体間の幅を0.18mmから0.127mmまで狭めている。さらに振動板から出た音が固定電極に開いた穴から出る際に回折と反射の影響を受けることを嫌って、空気の流れを阻害しないガイドパーツをはめ込んでいる。
これがTrue Flow Technologyウェーブガイドである。ケーブルはさらにソフトで接続部が頑丈なDUMMERケーブルを新採用した。「AEON FLOW」は低域から解像度が高くフォーカスがシャープな平面駆動型の特性を発揮した音であり、密閉型でも開放型でもその音質にブレがないことを実感した。
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