コカ・コーラ――まさかの大勝利
さて、炭酸飲料にフィールドが移ります。別にフィールドを積極的に移したいわけでもなく、身もフタもないことを言うと早くやめたいのですが、用意してしまったものはやりきるしかありません。
ちなみにサルミアッキは全部食べています(飲み物は1日かけて全部飲みました)。当たり前ですが、しんどいです。もうちょっとおいしいものをテーマにしなかった自分を恨んでいますが、後の祭りです。
まずは炭酸飲料の代表格、コカ・コーラです。コカ・コーラの風味はトップシークレットの香料「7x」と柑橘系およびスパイス系のフレーバー7〜8種類ほどの配合によるものと言われています。アメリカ大企業の機密は北欧の悪魔を打ち倒せるでしょうか。
おそらく、本記事最大のサプライズ。コカ・コーラを一緒に食べると、サルミアッキのイヤな味が消えるのです。「イヤな味」と言い切るのは我ながらひどい気もしますが……とにかく、コーラの独特の香り、強い甘み、炭酸の刺激。すべてがサルミアッキを少しだけ上回る。
これには驚かされました。さすがアメリカは強い、メイクアメリカグレートアゲイン、資本主義万歳といったところでしょうか。人類はコカ・コーラによってサルミアッキを打ち倒せるのです。繰り返しますが、本当に、驚かされました。
炭酸水――飲んだら最後
炭酸飲料でサルミアッキに勝てることがわかり、筆者のテンションもだいぶ持ち直してきました。人間というのは愚かな生き物で、危機に立たされているときは戦々恐々としていても、いざ自分が安全圏にいるとわかると、途端に攻撃的になるものです。
そんな甘い人間の目論見をサルミアッキ with T(炭酸水)がぶち壊してくれました。マズいです。破格のマズさ。水のせいでサルミアッキの風味が口の中に広がり、炭酸の刺激がケミカル分を後押しします。
起きてはいけないことが起きてしまいました。これは絶対にダメです。まったく推奨できません。反対に、「アタシ、サルミアッキで口の中をどったんばったん大騒ぎにしたい」というフレンズなら試していいかもしれません。何の保証もないですし、する気もありませんが。
ライフガード――お口の中が工業地帯や~
炭酸飲料でもう一つ、チェリオの「ライフガード」を追加してみることにしました。コカ・コーラだけでは、「甘い炭酸飲料ならなんでも正義」なのか「コカ・コーラが際立って正義」なのかわかりません。あえてちょっとケミカルな本製品で比べてみます。
あとはまあ、ゲン担ぎというか、本気で筆者のライフをガードしてほしいという神頼みもないではない。
ただ、これはどうもダメでした。ライフガードのケミカルな風味と、サルミアッキの科学的な風味がグシャグシャに混ざりあい、口の中が重工業地帯になります。逆説的に、コカ・コーラの香料と強い甘さがいかにサルミアッキに強かったがわかります。あれが奇跡だっただけで、炭酸飲料ならなんでもよい、というわけではなさそうです。
レッドブル――翼がまったく授からない
最後はエナジードリンクの大御所であるレッドブル。まあ実際問題、コカ・コーラがセーフでライフガードがアウトだったために、勝敗は火を見るよりも明らかなのですが……一応やります。
結果は案の定、大敗です。レッドブルはエナドリの中でも飲みやすい方で、甘さもそれほど強くはない。したがって、サルミアッキに勝てるわけがない。これではまったく翼を授かることができない。それどころか、エナジーが根こそぎ持っていかれたような感覚に陥りました。
サルミアッキの味が強すぎる
そんなこんなで8種類の飲料とサルミアッキの相性を見てきました。表にまとめてみます。
飲料 | 評価 | 備考 |
---|---|---|
緑茶 | △ | 効き目なし |
コーヒー | × | 砂糖、ミルク入りは危険 |
レモンティー | △ | 同上 |
オレンジジュース | ○ | 果物の香りが強いものがいい |
コカ・コーラ | ◎ | ベスト |
炭酸水 | × | ワースト |
ライフガード | △ | ケミカルな味は合わない |
レッドブル | △ | 対抗するには甘さが弱い |
結果から言うと、コカ・コーラが最強。あのサルミアッキの極悪テイストを、かなりマスキングしてくれます。どうしてもサルミアッキを食べないといけない、でもあの味は耐えられないというシチュエーションがあったとすれば、コカ・コーラに頼るといいでしょう。オレンジジュースも悪くはないですね。
しかし、「サルミアッキに合わせると最高!」と心から思える飲料は見つかりませんでした。何がいけなかったのでしょうか。やはり味が強すぎる。どうしようもない。マリアージュもへったくれもありません。
サルミアッキ、みなさんもゴールデンウィークにぜひ! と締めくくろうかと思いましたが、まったくそんな気分にはなれません。本当にキツかった。これ以上続けるとフィンランドが嫌いになりそうです。
フィンランドには「カレワラ」という国民的な民族叙事詩があります。それによると、天地創造は以下のような物語になっています。ある日、大気の娘イルマタルは大海原に降り立ち、風に身ごもって、身重のまま700年も海をさまよいました。そこへカモが飛んできて、イルマタルの膝に舞い降り、6つの金色の卵と、1つのくろがねの卵を生みました。
しかしカモが卵を温めていると、イルマタルはその熱さに耐えきれず、膝を動かしてしまいます。卵は転げ落ちて、下の部分は大地となり、上の部分は大空になりました。黄味の上の部分は太陽、白味の上の部分は月になりました。その他の部分は大空の星に。そして、黒いものは天空の雲となったそうです。
筆者は思うのです。もしかしたら、このイルマタルの膝から転げ落ちた黒い卵は、実は雲になっただけではなく、フィンランドのサルミアッキともなって、その摩訶不思議な味で神話の世界を我々に垣間見せているのではないかと……。
一応、フィンランド料理にはおいしいものもたくさんあるそうです。空気がおいしくて、白夜のシーズンは一日中ずっと日光浴ができて、ムーミンがいるフィンランド。大好きです。でも、サルミアッキに関してはもう知らない。絶対に許さない。それではまた。
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コジマ
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。ショートコラム「MCコジマのカルチャー編集後記」ASCII倶楽部で好評連載中!
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