AndroidをベースにしたウェアラブルOSである「Android Wear」が2.0にバージョンアップした。Android Wearは2014年3月にバージョン1が登場以降、細かなアップデートを繰り返してきたが、「2.0」は機能・UIの大幅な変更を含む、これまでにない大型アップデートとなっている。
機能の詳細はすでに別記事「スマートウォッチが大進化する「Android Wear 2.0」5つの変更ポイント」が公開されているが、それらの機能はどういった発想で開発されたのだろうか? そして、Android Wearの開発チームは、なにを重視して開発に臨んでいるのだろうか?
グーグルでAndroid Wearのエンジニアリング担当バイス・プレジデントを務めるDavid Singleton氏に話を聞いた。(以下敬称略)
ユーザーからのフィードバックに合わせ、操作体系をよりシンプルに
Android Wearは、スマートウォッチの一大勢力であることは間違いない。ひとつのメーカーの製品で大ヒット、とはいかなかったが、継続的に多数のメーカーから製品が登場している。OSの機能についても、小まめな改良が続いてきた。
一方で、Android Wear 2.0はこれまでにない非常に広汎なアップデートだ。UIから機能まで大幅な刷新が行われており、必要とするハードウエアパワーが若干上がって重くなった……という声もあるほどだ。スマートフォンのソフトウエア的進化がある程度落ち着きつつある一方で、まだ進化過程であるスマートウォッチはジャンプが必要……ということなのだろう。
では、2014年から継続進化してきた「Android Wear 1」系とこれからの「Android Wear 2」系では、どこが違うのだろうか? そして、それはどんな知見によって改善が決められたものなのだろうか? Singleton氏は「オリジナルバージョンも顧客満足度は高かった」としつつも、次のように語る。
Singleton:ユーザーに話を聞くと、いくつかの点でも不満も見えていたんです。
例えば情報を見る時、これまでのAndroid Wearでは、時々左右に画面を遷移する必要がありました。そのため、今自分がどこにいるのかを見失うことがあったのです。そこで我々はシステムをシンプルにしました。
多くのユーザーが使い、気に入っている機能は「ウォッチフェイス(文字盤のデザイン変更)」と「メッセージング」、そして「フィットネス」です。UI全体を見た時に、もっとも大きな変更が必要であると考えたのが「メッセージング」です。
以前は上下左右にスクロールさせて操作する必要がありましたが、Android Wear 2.0からは単に上下にスクロールさせるだけで良くなりました。メッセージの返信をする時も、単に下へ引っ張るだけです。メッセージング機能をよりよく、素早いものに改善したのです。
ウォッチフェイスはより素早く切り換えられるようになりました。あなたのスタイルにマッチするだけでなく、アプリからの情報を組み込めるようになっています。
今日、わたしがつけている時計でも、いくつかのウォッチフェイスを使い分けています。
クロノグラフ的なウォッチフェイスでは、サブダイヤルに歩数と日没の時間を表示するようにしています。私は色々な場所に移動することが多いので、その土地では何時に日没なのかを知りたいんです。今いるサンフランシスコと、先週いたロンドンでは日没時間がまったく違いますからね。「いつ暗くなるか」が、私にとっては非常に重要なんです
PCのように見通しのいい画面と異なり、スマートウォッチの画面は小さい。メニュー構成はシンプルでないと「自分の位置」を見失いやすい……というのは確かだ。操作に必要な要素は、スマートウォッチには少ない方がいい。Android Wear 1系はメニューの階層が深かったので、そこを大胆に修正したい……というのが彼らの狙いだったのだろう。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります